上肢・手指の後遺障害について 

1. 上肢・手指の後遺障害

上肢とは、医学的な用語であり、一般的には「腕」の部分、すなわち、肩から指先までを指しています。また上肢のうち、手指とは、いわゆる手首(手関節)、つまり手のひらと前腕を繋ぐ部分だけでなく、手首(手関節)から5本の指までの全てを指します。

交通事故で怪我を負った場合に認められる、上肢・手指の後遺障害には、欠損障害、機能障害、変形障害、醜状障害などの種類があります。

1-1.欠損障害

欠損障害とは、上肢や手指の一部または全部を失ってしまうことをいいます。交通事故の衝撃によって切断されてしまった場合だけでなく、交通事故で負った怪我を治療する際に、治療の必要から切断を余儀なくされた場合にも、後遺障害として認定されます。

1-2.機能障害

機能障害とは、欠損は生じていないけれども、上肢や手指の動きに障害が残った場合をいいます。

機能障害が後遺障害として認められるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

(1)事故時に骨折などの器質的損傷が確認されること

まず、交通事故によって、骨折、脱臼、靭帯の損傷、神経の損傷などがレントゲン(XP)やMRIなどの画像によって確認できることが必要です。

(2)症状固定時に機能障害の原因が確認できること

さらに、症状固定時に、骨の変形癒合や関節周囲の軟部組織の損傷など、関節機能障害の原因が判明している必要があります。

1-3.変形障害

変形障害は、骨折した部分が正常に癒着しなかった場合に認められる後遺障害です。

骨折した部分が癒合せず、骨折した部位が本来の関節と同じように曲がるようになってしまったり(偽関節)、骨が歪んだ状態で癒着してしまったりした場合をいいます。

1-4,醜状障害

醜状障害とは、傷跡、組織陥没などが外形的に身体に残ってしまった場合をいいます。

交通事故で負った怪我によって直接生じたものだけでなく、交通事故による怪我の手術によって生じたものも後遺症の対象となります。

2. 上肢・手首の後遺障害等級

2-1.欠損障害

欠損障害については、欠損が生じた範囲の大きさによって等級が決まります。上肢と手指に分けて等級が決められています。

<上肢の欠損>

第1級3号

両上肢をひじ関節以上で失ったもの

第2級3号

両上肢を手関節以上で失ったもの

第4級4号

一上肢をひじ関節以上で失ったもの

第5級4号

一上肢を手関節以上で失つたもの

<手首の欠損>

第3級5号

両手の手指の全部を失ったもの

第6級8号

一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失ったもの

第7級6号

一手のおや指を含み三の手指を失ったもの又はおや指以外の四の手指を失ったもの

第8級3号

一手のおや指を含み二の手指を失ったもの又はおや指以外の三の手指を失ったもの

第9級12号

一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの

第11級8号

一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

第12級9号

一手のこ指を失ったもの

第13級7号

一手のおや指の指骨の一部を失ったもの

第14級6号

一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

2-2.機能障害

機能障害については、次の3段階の基準で等級が決まります。

(1)用を廃したもの

(2)著しい障害を残すもの

(3)機能に障害を残すもの

「用を廃したもの」とは、関節が強直したもの、関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態、若しくは、人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節で可動域が正常な側の可動域角度の50%以下に制限されている場合をいいます。

「著しい障害を残すもの」及び「機能に障害を残すもの」は、上肢や手指の全部又は一部が動かなくなったり、正常な状態に比べて可動域が狭くなってしまったりした場合をいいます。

可動域の制限は、怪我をした側(患側)と怪我をしていない側(健側)とを比較して、その程度の制限が生じているかを比較するのが一般的です。

怪我をしていない側と比べて、可動域が2分の1以下に制限されている場合が「著しい障害を残すもの」、4分の3以下に制限されている場合が、「機能に障害を残すもの」とされるのが一応の目安です。

<上肢・手指の機能障害>

第1級4号

両上肢の用を全廃したもの

第4級6号

両手の手指の全部の用を廃したもの

第5級6号

一上肢の用を全廃したもの

第6級6号

一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの

第8級6号

一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

第9級13号

一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの

第10級7号

一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの

第10級10号

一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

第12級6号

一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

第13級6号

一手のこ指の用を廃したもの

第14級7号

一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

2-3.変形障害

変形障害の場合は、次のとおり、程度によって7級から12級の等級に認定される可能性があります。

第7級9号

一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

第8級8号

一上肢に偽関節を残すもの

第12級8号

長管骨に変形を残すもの

2-4.醜状障害

醜状障害は露出面(肩関節から指先まで)に傷跡が残っている場合に認められます。但し、認められるとしても下記のとおり14級が認められるのみです。ただ、例外的に、傷跡の大きさが手のひらの3倍以上あるような程度の著しいケースであれば、12級の規定が準用される場合もあります。

第14級4号

上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

3.上肢・手指の後遺障害について

以上のとおり、交通事故によって上肢・手指に障害が残ってしまうと、程度の差こそあれ、「腕」という日常生活を送るうえで非常に重要な部分の機能が損なわれ、不便を強いられることになります。

ですから、適切な治療を受けることはもちろん、適切な後遺障害の等級認定を受けて、正当な損害賠償の支払いを受けることが大切です。

そのためには、医学的にも法律的にも専門的な知識が欠かせませんから、交通事故に強い弁護士に早めに相談されることをおすすめします。

 

 

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