弁護士費用特約

1 はじめに

交通事故の被害に遭って、加害者や保険会社に損害賠償を請求する時、損害額の計算方法に納得できなかったり、過失割合について話がまとまらないことがあります。このようなときは、専門家である弁護士に対し、対処方法を相談したり、対応を依頼することが多いと思います。

弁護士に相談や依頼をする時は、弁護士費用を負担する必要がありますが、弁護士費用を負担することがネックになって、なかなか弁護士に依頼できないこともあると思います。このような時に、自動車保険に弁護士費用特約をつけていれば、保険会社が一定の金額まで弁護士費用を負担してくれるため、弁護士に相談や依頼をしやすくなります。

この弁護士費用特約について、認知度が高まってきたのでご存知の方も多いと思いますが、ここで詳しく説明したいと思います。

2 弁護士費用特約について

交通事故の被害に遭って、弁護士に相談したり、依頼したりする時には、弁護士費用を支払う必要があります。

しかし、弁護士費用は決して安いものではありません。しかも、交通事故の被害に遭っている方は、働けなくなって生活費に困っている方もおられます。このため、弁護士に相談したいとか、弁護士に依頼したいと考えていても、弁護士費用の負担を考えて二の足を踏んでしまう傾向があります。

そこで、日本弁護士連合会と損害保険会社が協同して、平成12年に、弁護士費用保険を商品化しました。

現在では、自動車保険、火災保険などに特約(オプションとなる契約)として付帯されることが多くなっています。

弁護士費用特約は「交通事故により、生命・身体・財産に損害が生じ、その損害の賠償を加害者に対して求めるために弁護士に相談・依頼したとき」にその弁護士費用が保険金として支払われることを約款で規定しています。

支払われる保険金には限度額があり、訴訟費用、仲裁・和解・調停に要した費用、その他権利の保全・手続きに要した費用については、1事故1名あたり300万円となっています。また、法律相談・書類作成費用については、1事故1名あたり10万円となっています。

3 弁護士特約を使える人

弁護士費用特約をつけた保険契約の被保険者が、弁護士保険費用特約を使うことができます。それ以外にも、

  ・ 被保険者の配偶者

  ・ 被保険者またはその配偶者の同居の親族

  ・ 被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子

  ・ その他の者で契約自動車に搭乗中の者

  ・ その他の者で契約自動車の所有者

が弁護士特約を使えることが多いです。

つまり、同居している家族が弁護士費用特約のついた保険に加入している場合や、別居していても親が弁護士費用特約のついた保険に加入している場合にも、弁護士費用特約が使えることになります。ですので、弁護士に相談や依頼をしようと考えている場合には、自分だけでなく、ご親族が加入している自動車保険の内容も調べておくべきです。

4 弁護士費用特約が使えない場合

弁護士費用特約は、被保険者の故意または重大な過失によって、その本人に生じた損害(無免許運転、麻薬吸引、酒気を帯び、闘争行為、自殺行為、犯罪行為の結果、事故が生じた場合)や、被保険者が記名被保険者およびその家族に請求する場合、台風、洪水、高潮により発生した損害等については利用できませんのでご注意下さい。

弁護士費用特約が適用できるかどうかについては、実際に契約をしている保険会社に問い合わせてみるべきだと思います。

5 弁護士費用特約を使った場合のメリット

弁護士費用特約を使えば、示談交渉を弁護士が行うことになります。このため、損害賠償額を算定するための基準は、弁護士基準という最も高額な基準で交渉することが可能になります。これだけで賠償金の額が増額されることがあります。

また、多くの事故では弁護士費用が300万円を超えることは少ないので、弁護士費用を気にせず、示談交渉を依頼したり、必要であれば訴訟を提起することができるでしょう。

弁護士費用特約を使えば、費用だおれを気にして泣き寝入りをする必要がなくなるのが魅力といえます。

また、弁護士費用特約は、物損だけの事故の場合でも利用することができます。

さらに、弁護士費用特約を利用したとしても、保険料は上がりませんので、次回の保険料を気にせずに利用できます。

6 最後に

いつ交通事故にあうかは誰にも分かりません。

自分だけは交通事故に遭わないと思い込んでいても、交通事故に遭ってしまうものです。

交通事故の被害に遭ってしまった時のことを考え、念のため、弁護士費用特約に加入しておくべきだと思います。