任意保険の種類

1はじめに

自動車保険には、被害者を救済するために法律によって加入が強制されている自賠責保険があることはご存じの方が多いと思います。

しかし、自賠責保険は、被害者を救済するための最低限の金額しか支払われませんし、物的損害は補償の対象とされていません。

そこで、自動車を運転する方は、自賠責保険に加え、損害保険会社が販売している自動車保険に加入していることが多いです。この保険は、法律によって加入が強制されてはいないため、任意保険と呼ばれています。

では、任意保険にどのような種類があるのか、説明したいと思います。

2任意保険とは

任意保険とは、損害保険会社が販売している、自賠責保険によっては補償しきれない損害を補償するための自動車保険のことをいいます。

このような性質を有していることから「上積み保険」と呼ばれることがあります。

上積みの補償として、どのようなものが必要なのかは、契約する方が判断することになります。

3自動車保険の自由化による保険商品の増加

かつては、SPA(自家用自動車総合保険:対人賠償責任保険・自損事故保険・搭乗者傷害保険・無保険車傷害保険・対物賠償責任保険・車両保険がセットになった保険商品)、PAP(自動車総合保険:SPAから車両保険を除いたもの)、BAP(自動車保険:対人賠償責任保険・対物賠償責任保険・車両保険のうちから必要なものを選択できるという保険商品)のみが認められており、どの保険会社で加入しても、補償の内容には大した差がありませんでした。

しかし,平成10年に自動車保険が自由化されました。

自由化によって、現在では、各保険会社ごとに様々な特色ある自動車保険が発売されており、保険料も異なってきています。

保険の内容をしっかり把握して、きちんとした保険商品選びをすることが重要になっているのです。

4 任意保険の種類

任意保険には、以下の種類の保険が含まれています。

(1)対人賠償責任保険

交通事故を起こして、相手に怪我をさせてしまったり、死亡させてしまった場合、被害者に対する損害賠償責任を負うことになります。この人身損害に対する損害賠償責任を補償するのが対人賠償責任保険です。

通常、「上乗せ保険」とは、この対人賠償責任保険のことを指しています。自賠責保険で賄いきれない損害賠償金の支払いについて、この対人賠償責任保険によって補償されるためです。

対人賠償責任保険は、被害者保護の観点から、自賠責保険と同様に被害者からの直接請求が可能となっています。

(2)対物賠償責任保険

自動車事故によって他人の財産に損害を与えた結果、損害賠償責任を負うことになった場合に、その損害賠償責任を補償する保険のことです。

対人賠償責任保険の場合と同様,被害者からの直接請求が可能です。

(3)自損事故保険

自損事故保険は、保険の対象となっている自動車が自損事故を起こしたことによって生じた人身損害を補償する任意保険です。

(4)搭乗者傷害保険

搭乗者傷害保険は、保険の対象となっている自動車に搭乗中の人が死傷した場合に保険金が支払われるという任意保険です。

(5)無保険車傷害保険

加害者が任意保険の対人賠償責任保険に加入しておらず、かつ、支払能力がないために十分な損害の填補を受けられない場合に、その不足部分を補償するという任意保険です。

なお、無保険車とは、加害者が任意保険に加入しているけれど、支払限度額以上の賠償責任を負った場合や、免責によって保険金支払いがなされない場合も含まれます。

(6)車両保険

自動車事故や盗難などによって、保険の対象となっている車両が損壊するなどの損害を被った場合に、その損害を補償するのが車両保険です。

(7)人身傷害補償保険

人身傷害補償保険は、自動車事故によって被保険者が傷害を被った場合に、過失割合にかかわらず、発生した損害を補償するという任意保険です。

人身傷害補償保険に加入している場合、加害者に対して損害賠償請求ができるためでなく、自分の加入している保険会社に対しても人身傷害保険金の支払いを請求できることになります。しかし、加害者に対する損害賠償請求と人身傷害保険金請求とは、調整がなされるため二重取りはできません。

人身傷害保険を先行して受け取るか否かによってトータルの受取額が変わる場合があります。従って、人身傷害保険金の請求をいつの段階で行うかは、弁護士に相談されるべきです。

5各種の保険特約

上記の主たる保険商品に加えて、特約として付されるサービスもあります。特約には、以下のようなものがあります。

(1)示談代行サービス

被害者との示談交渉を、被保険者(加害者)に代わって、保険会社の担当者が行うサービスです。これを示談代行サービスといいます。

(2)弁護士費用特約

弁護士に依頼して交渉や裁判を行う場合、弁護士に対して報酬などの費用を支払う必要があります。この費用を保険によってまかなうのが弁護士費用特約です。なお、弁護士費用特約は使っても保険等級には影響がないため、保険料があがりません。

6まとめ

保険にはさまざまな種類があることが、ご理解いただけたでしょうか。補償内容が重複する保険に入っている場合にどちらの保険をつかうか、どのような順番で使うかによって受取額が変わる場合もあります。

弁護士費用特約に入っていなくても、弁護士を使った方が保険金の受取額が大きくなる場合も多いので、事故でお困りの際はぜひ一度弁護士に相談してください。