自賠責保険の被害者請求について

●はじめに

交通事故の被害にあった場合,加害者との間で、賠償金について協議していくことになります。

加害者が任意保険に加入していれば,その保険会社と連絡を取ることが必要になってきます。そして,事故の賠償について,保険会社と話し合いをしていくことになります。

 

 

●自賠責保険とは

自動車を運転する人はご存知だと思いますが,自賠責保険は自動車の運転者に対して,法律で加入が義務付けられている保険です。交通事故が起きた場合に,被害者に最低限の賠償を確保できるように制度化されたものです。

自賠責保険に加入せずに,自動車を運転すると刑事罰の対象となりますので,気をつけてください。

 

自賠責保険と任意保険の関係が分かりにくいかもしれません。

極端な例になりますが,交通事故の被害に遭って,200万円の損害が生じた場合を考えてみたいと思います。

この場合に,自賠責保険から120万円しか出なければ,残りの80万円の部分を任意保険会社が支払ってくれることになります。自賠責保険と任意保険が適用されるからといって,両方から100万円ずつの保険金が支払われるわけではありません。

 

現実には,加害者が加入している任意保険会社が,支払うべき賠償金の全額を支払ってくれます。そして,任意保険会社は、全額を支払った後,自賠責保険会社に対し,限度額の範囲内で支払ってもらっているのです。

この保険会社の対応は,「一括対応」と呼ばれています。被害者が資料を収集する負担が軽く済むなどのメリットがありますが,「加害者の契約していた保険会社」という本来であれば対立する相手に委ねるという問題があるのも事実です。

加害者に誠意が見られず,示談交渉がうまく進まないときや,保険会社が治療費の打ち切りや不利な条件での示談決着を迫ってくるときは,被害者請求をするようにしましょう。

 

●被害者請求とは

交通事故の被害者が,加害者の加入する自賠責保険会社に対し,直接,保険金を請求することです(自動車損害賠償保障法第16条)。

 

資料の収集に手間取ったり,手続が分かり難かったりしますが,あなたのペースで損害賠償金を受け取ることが可能です。

 

●被害者請求の流れ

被害者請求を行う場合は,保険会社に連絡して,必要な書式集を送ってもらうべきです。そこには,病院などに作成してもらう必要がある診断書や診療報酬明細書,勤務先に作成してもらう必要がある休業損害証明書などの書式があります。また,被害者が収集すべき書類についても説明があります。

必要な資料を揃えることができれば,交通事故証明書の加害者の欄に記載されている自賠責保険会社に対し,資料を送付します。その後,資料は,自賠責損害調査事務所に送られ,調査や審査を経て,支払金額が決定されます。

不足資料などがある場合や追加で資料が必要になった場合は,自賠責保険会社や自賠責損害調査事務所から,直接,被害者に連絡が入ります。

 

●まとめ

自賠責保険は最低限度の賠償を確保するための制度です。

加害者の任意保険会社に手続を任せることも可能ですが,被害者請求があることを知っておき,うまく利用することが重要だと思います。

被害者請求について分からなかったり、自分で手続をとることが難しければ,弁護士に依頼することも考えてください。