レンタカーで事故を起こした場合の責任

車を「所有」する人が減る一方、レンタカーの市場規模が徐々に伸びているそうです。また、車には、公共交通機関よりも便利な面がありますが、事故を起こしてしまった場合に責任が重いという特徴もあります。
もし、レンタカーで事故を起こしてしまった場合、どういった責任が発生するのでしょうか。今回はレンタカーのトラブルについて解説します。

レンタカーを運転して事故を起こしたときの責任

レンタカーを運転しているときに交通事故を起こすと、以下5つの責任に問われます。

1.刑事責任

相手側が怪我をしたり、亡くなったりした場合は、刑事責任に問われます。
不注意(過失)で事故を起こしてしまった場合は、「過失運転致死傷罪」に該当することになります。これは「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に規定があります。

“自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 第5条 (過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。”

かつては刑法に規定されていましたが、平成25年11月27日の法改正で刑法から独立して規定されています。

2.行政上の責任

刑事罰とは別に、行政罰も課されます。一般的には「減点」と呼ばれる処分ですね。
違反点数によって免許停止や取消といった処分になることもあります。

3.民事上の責任

相手方に対する治療費や車の修理費用などが民事上の責任として課されます。ただし、一般的に民事上の責任は保険の適用対象になることが多いでしょう。ちなみに日本国内のレンタカー会社であれば、レンタカー会社が自賠責・任意保険に加入しています。ただし、保険が適用される賠償責任額の限度を超えていれば、自己負担が必要です。できるだけ補償が手厚い保険を選んでおきたいですね。通常はレンタル料金の中に保険料が含まれているため、事前に補償内容を確認しておきましょう。

4.NOC(ノン・オペレーション・チャージ)

NOCは、「レンタカー会社に対する営業補償」です。レンタカーが何らかのトラブルに見舞われると、レンタカー会社はその車で収益をあげられなくなります。その分を補填する意味をもっているのがNOCです。自走可能な場合は2万円、レッカーが必要なレベルであれば5万円+レッカー費用程度が相場でしょう。NOCは、例え保険が適用される事故であっても、別途支払う必要があります。

5.その他事故対応

基本的には自家用車での事故と同じです。けが人の救助と身元確認、救急車と警察への連絡、事故状況の記録、保険会社への連絡などです。レンタカーの事故では、これらに加えて「レンタカー会社への連絡」も必要になります。

レンタカーの事故に使える補償制度

自家用車の自賠責保険や任意保険とは異なり、レンタカーには独自の補償制度が設けられています。

・CDW(免責補償制度)
通常の保険では補填されない部分の賠償をカバーする制度で、1時間当たり1080円~2160円を支払います。通常は自己負担になる部分が免除されるため、もしもの時も安心の制度です。ただし、CDWへの加入は任意です。

・自動車保険特約
自分が加入している保険が「他車運転危険補償特約」に対応していれば、補償が受けられることがあります。

CDWや保険特約でカバーできない場合もある?

レンタカーの交通事故では、レンタカー料金に含まれる自賠責保険、任意保険を使い、それでも足りない場合にCDWや特約が適用されるというイメージです。

しかし、これらをフル活用してもなお、自腹で賠償しなければならないケースもあります。
それは、以下のようなケースです。

・無免許運転の事故
・酒気帯び運転の事故
・レンタル期間を無断でオーバーし、使用している間の事故
・事故を警察に届けなかったとき
・保証限度額を上回る損害
・タイヤがパンクしたときの損害
・タイヤのホイールキャップが紛失したとき
・リース貸借約款に掲げる事項に違反があった場合
・故意に事故を起こした場合
・レンタカーの管理に明らかな過失があった場合
・申請者以外が運転して事故を起こした場合

レンタカー事故で判断に迷ったら…

レンタカー運転中の事故では、自家用車とは異なる賠償責任が発生します。また、高額な損害賠償を請求される可能性もゼロではありません。自賠責保険、任意保険、CDW、特約などを事前にチェックし、どこまでカバーできるかを把握しておきたいところです。また、これらをチェックしても判断に迷う場合は、交通事故に強い弁護士への相談も視野にいれておきましょう。