【脊髄損傷】頚髄損傷によって四肢麻痺となった被害者について、生活の場所、将来介護費などが争われた事案

【事案の概要】

被害者は、バイクに乗って交差点を直進しようとしていたところ、同じ交差点を右折してきた自動車と衝突しました。
この事故によって、被害者は、第3頚椎骨折、第3・4頚髄損傷などの障害を負いました。この頚髄損傷によって、被害者は、四肢麻痺(首から下を動かせない状態)となり、寝たきりの生活になってしまいました。

この事案における主な争点は、
・ 被害者の生活場所は、自宅/病院・施設のどちらが適切か
・ 将来介護費の金額
・ 過失割合
でした。


【裁判所の認定】


1 被害者にとって適切な生活の場所

被害者は、四肢麻痺の状態になったため、自分でできることはほぼなく、日常生活のあらゆることに介護が必要な状態になりました。
また、呼吸は、横隔膜と胸郭筋を使って行われますが、胸郭筋に麻痺があるため、深い呼吸ができなくなっていました。
被害者は、既に病院を退院して、自宅での生活を続けていました。しかし、保険会社は、
・ 症状が重篤であり、感染症の危険性があること
・ 十分な介護を受ける必要があること
を根拠に、保険会社は、自宅での生活は適切ではなく、病院・施設で生活させるべきだと主張してきました。
かかる主張に対する反論として、
・ 本人が自宅での生活を強く望んでいること
・ 退院後、2年以上も自宅での生活が継続していること
・ 自宅でも十分な介護態勢が整えられていること
・ 近親者の努力もあって症状は安定していること
・ 現実に入所できる施設を見つけることが困難であること
などを主張しました。
その結果、裁判所は、現状の通り、自宅での生活を続けさせることを前提として、将来介護費などの認定をしました。

2 将来介護費

被害者は、重篤な後遺障害を負ったため、全ての日常生活において介護が必要な状態になっていました。
近親者だけでは、どんなに頑張っても全ての介護を担うことは難しく、もしも全ての介護を近親者だけで行うとすれば、近親者に過度の負担が集中し、短期間で介護を継続できなくなることが見込まれました。
このため、可能な範囲内で職業介護人による介護サービスを利用していました。
この様な事情を主張した結果、1日1万8000円の将来介護費を認定してもらうことができました。
なお、将来介護費の外に、1日約1500円の将来雑費も認定してもらうことができました。これらを合計すれば、2万円近い費用を認めてもらうことができました。

3 過失割合

保険会社は、被害者に40%の過失があると主張していました。
当然、被害者は、これ程の過失を主張されることに承服できず、被害者の過失がより少ないことを主張しました。
この結果、裁判所は、被害者の過失は25%であると認定しました。


【弁護士のコメント】

この事案では、被害者は、当初、他の弁護士に依頼していましたが、その弁護士の対応が十分でなかったため、不信感を感じ、私の事務所に依頼してきました。
弁護士に対する不信感があったため、まず、その不信感を払拭し、安心してもらうことに気をつけて対応しました。

依頼を受けた時点では、被害者は、入院中でした。受任する際は、病院まで行って被害者と話をしたのですが、沈んだ様子が印象的でした。
その後、自宅での生活に移ったのですが、自宅では、落ち着いた表情をしていました。また、ペットの犬とふれ合う様子を見た時、本当にリラックスした表情をしたので、これは自宅での生活が最善の選択だと確信しました。

被害者にも、近親者にも、ご満足頂ける結果を得ることができたと思います。