交通事故によって頚髄を損傷し、四肢不全麻痺、両上肢・両下肢・体幹の感覚障害、両上下肢の筋力低下、歩行障害などの障害を負って、約3000万円の賠償を受けた事案。

示談による解決 平成30年11月

 

 交通事故によって頚髄を損傷し、四肢不全麻痺、両上肢・両下肢・体幹の感覚障害、両上下肢の筋力低下、歩行障害などの障害を負って、

   現存障害:別表第一第2級1号

   既存障害:別表第二第3級3号

と認定された被害者について、自賠責保険金を含め、約3000万円の賠償を受けた事案。

 

 

【事案の概要】

 被害者は、デイサービスに通うため、施設の送迎用車両に乗っていたところ、車両が急停止した時に、座席から投げ出されました。

 この時に、身体を強く打ち付け、頚髄を損傷しました。

 事故前、被害者は、要介護2に認定されていましたが、この事故で頚髄を損傷し、不全麻痺などの症状が生じたため、要介護4に認定されました。

 

 

【後遺障害等級】

 被害者は、頚髄を損傷し、四肢不全麻痺、両上肢・両下肢・体幹の感覚障害、両上下肢の筋力低下、歩行障害などの障害を負いました。

 この結果、現存障害は、別表第一第2級1号と認定されました。

 ただし、事故前から要介護2に認定されていたため、既存障害が別表第二第3級3号と認定されました。

 

 

【既存障害がある場合の問題点】

 既存障害がある場合、事故前よりも障害の状態が悪化したと評価されなければ、十分な賠償が認められません。このため、後遺障害等級の認定を受ける場面においては、

   現存障害  重い

   既存障害  軽い

と評価してもらう必要があります。

 このため、事故前後の要介護認定において用いられた資料を入手して検討しました。また、ご家族にも被害者の状態が変化した様子などを確認しました。その上で、自賠責保険の請求手続を行いました。

 結果として、被害者は、

   現存障害:別表第一第2級1号

   既存障害:別表第二第3級3号

という認定を受けました。

 「事故によって被害者の状態が悪化した」という認定が得られたため、賠償の手続を先に進めることになりました。

 

 

【損害額計算での問題点】

 この事案で問題になったのは、休業損害、逸失利益、将来介護費です。

 被害者は、事故前から要介護2の認定を受けており、デイサービスを利用していました。そのため、既存障害が別表第二第3級3号と認定されてしまったのですが、3級と認定された以上、休業損害と逸失利益が認められないことは覚悟する必要がありました。

 そこで、主たる問題は、将来介護費の金額となりました。

 これに関しては、

    近親者の介護費       1日 5000円

    介護サービスの利用費    1月   4万円

として解決することができました。

 これによって、当初の提示額よりも、かなりの増額を勝ち取ることができました。

 

 

【弁護士のコメント】

 既に述べた通り、この事案は、既存障害、しかもかなり重度の既存障害があったことが大きな問題でした。

 被害者の側としても、損害額の計算が難しかったですし、計算の結果が複雑になったため、ご家族にご理解いただくことにも時間を費やしました。

 難しい事案でしたが、粘り強く交渉を続けた結果、賠償金の大幅な増額を勝ち取ることができました。