過失がある場合の過失割合と弁護士に依頼するメリット

1 はじめに

交通事故の被害に遭って、怪我を負ったために入院や通院をしたとき、相手が自動車保険に入っていれば、「相手の保険会社から、損害の全額が支払われるから安心だ」と考える方もいるかも知れません。

しかし、交通事故が発生した原因について、被害者にも非(過失)がある場合、自分の過失部分については、相手保険会社から支払を受けることができません。

この点について解説したいと思います。

 

2 過失とは

過失とは、ある行為をするときに果たすべき注意を怠ってしまった状態のことをいいます。

例えば、脇見をして自動車を運転をしていれば、運転する際に果たすべきだった前方を注視して運転するという義務を怠っているため、過失が認められることになります。

そして、過失には、その内容によって、重い過失や、軽い過失があります。

例えば、十分な運転技術がないのに暴走行為をしたり、携帯ゲームに夢中になって前方をまったく見ずに運転していれば、その過失は重大なものだと判断されるでしょう。

交通事故が起こったとき、当事者の一方だけが100%責められる事故は少ないです。多くの場合、被害者にも何らかの過失が認められます。

 

3 過失相殺(かしつそうさい)とは

過失相殺とは、交通事故の被害に遭って損害賠償を請求をする場合に、請求者にも過失が認められれば、その過失の大きさに応じて、損害賠償として認められる金額を減額することをいいます。

例えば、交通事故の被害に遭って100万円の損害を負った場合で考えてみます。被害者は、加害者に対し、この100万円を請求しようとしても、自分に過失が30%あれば、30万円(100万円×30%)が過失相殺によって減額され、受け取れるのは70万円(100万円-30万円)だけになってしまいます。

 

4 自分にも過失がある場合に弁護士に依頼するメリット

(1)適正な過失割合を主張できる

被害者にも過失が認められる場合には、加害者に請求できる金額が減らされてしまうため、自分に過失が認められるのか、認められる過失はどの程度のものかが気になるでしょう。

 

そもそも過失割合は、事故の態様から客観的に決められます。

保険会社や弁護士が参考にする資料には、交通事故を類型化して、過去の裁判例を参考にして過失割合をまとめた別冊判例タイムズ『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』があります。

別冊判例タイムズには、交通事故の類型ごとに基本となる過失割合を定めていますが、個々の事故における特殊事情を考慮して、基本となる過失割合を修正する基準も掲載されています。

 

保険会社は、まずは自分の契約者の説明に基づいて、加害者の過失は少なかったと主張してくることがあります。この場合、当事者双方の言い分が対立しているため、過失割合がすんなりとは決まらないことが多いです。

このような場合、別冊判例タイムズを見たことのない一般の方は、保険会社から「これが判例です」と言われれば、なかなか反論できないと思います。

このような場合、事故状況を詳細に検討し、適切な過失割合についての主張を行えるのは交通事故の事案を多く扱っている弁護士だけです。弁護士が過失割合について交渉することによって、当初の保険会社の提案が、より自分に有利に変わることがあります。

 

(2)保険の使い方のアドバイスをもらえる

事故で怪我を負った場合、自分の保険会社に対して人身傷害保険の請求ができることがあります。

契約者が自動車搭乗中や歩行中などの自動車事故で死傷した場合に、保険金が支払われる人身傷害保険は、請求者の過失割合に関わらず、人身傷害保険の基準で計算した保険金が支払われます。

この保険で支払われる保険金額は、弁護士基準よりも低い基準で算定されます。ですが、過失割合による減額がなされない点が有利な場合もあります。相手保険会社の対人賠償を先に請求するか、自分の保険会社の人身傷害保険を先に使うかによって、受けとれる保険金の総額が変わる場合があります。また、裁判で解決するかということも慎重に検討しなければなりません。

この点の検討は、幾つかの計算を比較しなければならないため、専門家に相談してアドバイスをもらうのが良いでしょう。

 

5 おわりに

過失に関して、「こちらの車は止まっていたので過失はありません」と言われたり、「判例であなたの過失は◯割と決まっています」と言われたりして、しかたがないと諦め、不利な過失割合で合意してしまうこともあると思います。

しかし、本当に車が止まっていたのかは車の傷を見て判断しますし、仮に相手の車が止まっていても、過失が必ず0になるわけではありません。

また、裁判例があっても、その事故が今回の事故とまったく同じ事故態様かどうかは慎重に検討する必要があります。

弁護士に相談すれば、新たな視点で事故のポイントを説明してもらえたり、保険会社に対する対応をアドバイスしてもらえます。気になることがあれば、弁護士に相談すべきだと思います。

 

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