高次脳機能障害の症状など

1 主な症状
 

⑴ 高次脳機能障害の主な症状は、主に認知障害と人格変化に分類されます。

「認知障害」には、記憶・記銘力障害、注意障害、遂行機能障害、病識欠落
などが含まれます。

例えば、新しいことを学習できない、周囲の状況に合わせた適切な行動ができない、危険を予測・察知できない、複数の仕事を並行して処理できない、行動を計画し実行することができない、などの症状のことをいいます。

「人格変化」とは、感情のコントロール障害(感情易変、易怒性)、幼稚性、羞恥心の低下、自発性の低下、被害妄想、などの症状を挙げることができます。

⑵ これらの症状のため、自分の生活を管理できない、対人関係を維持できない、社会参加ができない、障害を自分で自覚できないなどの問題が現れます。

そして、就学や就労ができず、自宅に引き籠もりがちになったり、家庭内での衝突が起きるようになり、本人だけでなく家族への負担も大きくなって
きます。

2 個別の症状についての説明

  • 記憶・記銘力障害
  • 注意障害
  • 遂行機能障害
  • 病識欠落  

(1) 注意障害

注意障害とは、

  • いくつかある刺激の中から、特定の対象に注意を向けられない(注意選択の障害)
  • 注意を集中し続けることができない(注意集中困難・注意の持続障害)
  • 注意が他の関係のない刺激へと逸れやすい(注意転導性の亢進)
  • 1つの刺激から他の刺激に注意を切り替えることができない(注意転換の障害・注意の固着)
  • 2つ以上の刺激に同時に注意を配ることができない(注意分配の障害)

といった症状の総称です。


注意障害があると、作業の能率が低下して、家事や仕事などにおいて所定のことを行うのに時間がかかってしまいます。

また、日常生活で、誤って器具を扱ったり、火を消し忘れて外出したり、
外出の際に信号を見落とすなどの不注意な行動をとってしまい、事故に遭ったり、怪我を負ってしまうなどの危険な状況を引き起こす可能性があります。

障害のある人に、どの程度までのことなら1人で安全に行えるかを知ってもらい、1人で行う時はその範囲内で行動をしてもらうように納得してもら
うことが重要です。

本人に障害についての理解がなく、行動の制限を納得してもらえない場合は、絶えず見守りが必要となることもあります。 

(2) 記憶障害

記憶の過程は、記名(覚える)・保持(貯える)・想起(想い出す)という3段階に分けて考えられています。

頭部外傷を原因とする高次脳機能障害では、

  • 日常生活の出来事についての記憶(エピソード記憶)が困難になる(健忘症)
  • 新しいことを覚えられず、学習ができなくなる(記銘力障害)
  • 発症以前の出来事が思い出せない(想起障害)

などがあります。

記憶に障害があると日々の生活に多大な支障が生じることになります。

また、記憶障害が重度な場合、帰り道が分からないのに外出してしまうなどの危険性があるため、見守りが必要になる場合もあります。

(3) 遂行機能障害

遂行機能には、

  1.  目標の設定
  2. プランニング
  3. 計画の実行
  4. 順序だった効果的な行動

という4つの要素が動員されます。

また、①~④までの過程を通じて、自分の行動を常に監視・評価していく機能も必要とされています。

遂行機能に障害がある場合、知能検査などの成績には特に支障がなくても、
一定の仕事を継続していくことが難しくなります。以下のような問題点が遂行機能障害に関連すると言われているようです。

行動・思いついたことを何も考えずに行動に移す。

  • 自分の問題の深刻さを正しく理解できず、将来について現実的な見通しを持てない。
  • ごくささいな事で腹を立てる。
  • 状況を考えて、どう振る舞うべきかを気にしない。
  • 落ち着きがなく、少しの間でもジッとしていられない。
  • 自分の行動を他人がどう思っているかに関心がない。認知・実際にはなかったことを本当にあったかのように思いこむ。
  • 物事に集中できず、すぐに気が散ってしまう。
  • 物事を決断できない。情動・物事に対して無気力である。

(4) 行動と感情の障害

この障害では、

  • 感情の起伏が激しくなった。
  • 暴言・暴力など人への攻撃が激しくなった。
  • 自分から何もやろうとしなくなった。
  • いつも不安を感じている。

などの症状が訴えられます。

これらの症状があると、対人トラブルを起こしやすいため、本人が困るだけでなく、一緒に生活している家族にとっても大きな負担になることが多い
です。

また、行動と感情の障害によって生じる問題は、就労の場面においても大きな支障となってしまうため、実際の就労を阻害する要因となってしますます。

 

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