脊髄損傷の診断

脊髄損傷の診断

鑑別方法

⑴ 画像所見

XP・CT・MRI
※ 脊髄損傷を後遺障害として認定してもらうためには、画像所見によって客観的に損傷の存在が証明されることが重要です。

⑵ 体性感覚誘発電位検査

脊髄に器質的損傷があるか否かを明らかにするための検査です。この検査で異常の存在が明らかになれば、脊髄に損傷があることの裏付けとなります。
これとは異なり、この検査で異常が明らかにならないことは、何らの損傷もないことの根拠になるわけではありません。脊髄の損傷が比較的軽微であれば、正常範囲内の値を示すにとどまる場合もあります。

⑶ 反射(腱反射・病的反射)

⑷ 徒手筋力検査

2 診断の順序

⑴ 中枢神経の損傷か否か(反射・症状の現れている範囲)

⒜ 病的反射
ホフマン反射・トレムナー反射・バビンスキー反射などの病的反射は、中枢神経(錐体路)に損傷がある場合に出現する症状です。
⒝ 発症領域
神経根や末梢神経の障害であれば、当該神経根・末梢神経の支配領域にのみ知覚低下や運動機能障害が生じます。上肢・下肢などの全体に症状が生じているか否かを観察する必要があります。

⑵ 頭蓋内由来の症状か否か

⒜ 受傷機序
頭部に外力が加わったか否か
⒝ 画像所見・脳波
頭部XP・頭部CT・頭部MRI・脳波
⒞ 症状
脳に損傷がある場合には、失禁の傾向を示すことが多いので、直腸膀胱障害の症状を観察します。
また、脳の損傷が原因で右半身の知覚低下や運動機能障害が生じたのであれば、右顔面にも知覚低下や運動機能障害が生じているはずなので、この点も観察します。

⑶ 頚髄損傷か否か

⒜ 受傷機序
頚部に過伸展が生じたか否か
⒝ 画像所見
頚部XP・頚部CT・頚部MRI
⒞ 症状
頚部に痛みがあるかどうか。
頚髄が損傷していれば、下肢のみならず、上肢にも知覚低下や運動機能障害が生じるはずなので、この点を観察します。
また、受傷当初に、脊髄ショックといわれる症状が存在したか。例えば、受傷の初期段階には重度の知覚低下や運動機能障害が生じており、独歩も困難な状態であったが、徐々に知覚低下・運動機能障害に改善が見られ、杖を使用すれば歩行が可能な状態にまで回復した。このような「脊髄ショック」に該当する症状があるか

症状のとの整合性

⑴ ブラウン・セカール症候群との関係

ブラウン・セカール症候群は、脊髄の半側が損傷した場合に生ずる症候群であり、損傷側の運動麻痺・深部感覚が低下し、逆側の痛覚・温度覚が低下する。
ただ、ブラウン・セカール症候群は、脊髄のちょうど半分を損傷させた場合にのみに現れる特殊な症状である。刃物などによって障害を受けた場合であれば可能性はあるが、事故などの衝撃によって損傷が生じた場合、ちょうど半分が損傷されることは極めて稀である。
出血や浮腫によって頚髄に損傷が生じた場合、損傷がまだら状に生じている可能性がある。この様な損傷の形態であれば、同側に運動麻痺・深部感覚の低下、痛覚温度覚の低下が出現することもあり得る。

⑵ 脊髄ショックが受傷から間をおいて出現することがあり得るか

完全損傷など重度の損傷が生じていれば、受傷直後から脊髄ショックが現れる。
しかし、脊髄に加わった衝撃が軽微である場合、脊髄の周囲の血管からの出血、浮腫の発生などによって、徐々に脊髄に損傷が生じることがある。この場合、衝撃が加わった直後から脊髄ショックが発生せず、数日が経過してから症状が現れることも珍しくない。

⑶ 直腸膀胱障害が現れないことがあるか

脊髄損傷が生じた場合には直腸膀胱障害、具体的には尿閉となると言われている。
但し、尿閉となるか否かは、頚髄に生じた損傷の程度に左右される。完全損傷の場合は尿閉が生じるが、不全損傷で、損傷が軽度の場合は、尿閉に至らず、排尿困難などの神経因性膀胱の症状が生じるにすぎない場合もある。

 

脊髄損傷について一覧はこちら

脊髄損傷について