高齢者の事故にどう対応する?慰謝料も含めて解説

日本の交通事故件数は、年々減少傾向にあります。しかし、その一方で高齢者による交通事故が後を絶ちません。運転免許保有者の高齢化によって、さまざまな事故が起こっています。今回は事故を防ぐための対策や、万が一事故が起きてしまったときの慰謝料なども含めて、高齢者と事故の問題を解説します。

なぜ高齢者が交通事故の加害者になるのか?

高齢者による交通事故の件数は年々増加しています。
交通事故全体の件数が減少している中での増加であるため、高齢者特有の事情が絡んでいると考えられます。では、高齢者が加害者になる交通事故の特徴を整理してみます。

・長年の運転キャリアに対する過信
高齢者の中には、20代の頃に運転免許を取得し、ドライバー歴20年や30年という人も珍しくありません。今まで安全運転に努めたため、ゴールド免許を保有している人も多いです。このため、高齢者の多くは、自分の運転キャリアに自信を持っていると思います。反面、高齢になったことによって、注意力や反射神経は確実に低下しているため、自信と実際の能力にギャップが生じてしまうのです。このギャップが、交通事故の遠因になっているという指摘が少なくありません。

・車の進化についていけていない
近頃の自動車の進化は目覚ましく、自動走行や車間距離を維持する機能が普及し始めています。また、現在販売されている車の大半がオートマティック車です。高齢者の多くは、オートマティック車よりもマニュアル車(MT車)が主流だったころに免許を取得しています。そのため、オートマティック車の動きを想定できず、事故を起こしてしまうのです。よくあるのが「ブレーキとアクセルの間違い」や「ギアの入れ間違い」ですね。

・根本的な身体能力の低下
誰もが年を取れば、身体の機能が衰えてしまいます。特に車の運転には、身体能力が如実に反映されますから、身体の衰えはそのまま事故のリスクにつながるのです。視力や聴力はもとより、ペダルを踏んだりハンドルを切ったりするため瞬発力、反射神経の衰えは見逃せません。また、目や耳から入る情報を迅速に整理する「情報処理能力」の衰えによって、素早い判断が難しくなることも、事故の原因になります。

もし加害者が認知症だったら?

注意したいのは、加害者が認知症だったからといって、「慰謝料を支払わなくて済むわけではない」ということです。
一般的には、加害者が高齢者で認知症だったとしても、被害者側は自賠責保険・任意保険から保険金を受け取れることになっています。

ただし、責任能力が問えないほど重度の認知症だった場合には、民法上の賠償責任は無いと考えられます。しかし、その場合は、高齢者の家族が賠償責任を負う可能性が出てきます。これは、車の所有者が誰かによるわけですが、「そもそも重度の認知症患者に車を運転させている」ことを指摘されるでしょう。

高齢者と事故の問題は弁護士に相談を

本来、高齢者と認知症は切り分けて考えるべきですが、高齢者ほど認知症の割合が多くなることは仕方のないこと。老化と共に認知機能は低下するため、高齢者ドライバーの多くは事故のリスクが高まることになります。実際、75歳以上のドライバーを対象にした「認知機能検査」を強化した改正道路交通法が施行されています。

このように高齢者でかつ認知機能が低下していても、それを理由にして慰謝料や損害賠償を免れるということはありません。そればかりか、高齢者の家族にまで責任が及ぶ可能性があるのです。万が一、同居している高齢者が事故を起こしてしまったら、すぐに交通事故に強い弁護士に相談しましょう。