高齢者や子どもの死亡事故とその慰謝料

はじめに

突然の交通事故で家族を失った方の苦しみには計り知れないものがあります。

また、交通事故で突然に命を奪われた被害者の無念は察するに余りあります。

たとえ即死の場合でも、交通事故によって死亡した被害者は精神的苦痛を受けたと考えられています。このため、慰謝料が発生した上で、遺族に相続されることになります。

亡くなった方が高齢者や子どもであった場合、遺族は、慰謝料の額がどれくらいになるか検討がつかないかもしれません。

亡くなった方が高齢者や子どもであった場合の慰謝料はどれくらいなのでしょうか。

 

死亡慰謝料の相場

弁護士が遺族から依頼を受けて解決する場合、死亡慰謝料は、通称「赤本」(「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故相談センター東京支部))の基準となります。この赤本基準によると、

•被害者が一家の支柱であった場合:2800万円

•被害者が母親、配偶者であった場合:2500万円(H28~の事故)、2400万円(~H27までの事故)

•被害者が独身の男女、子ども、幼児等であった場合:2000万円~2500万円(H28~の事故)、2000万円~2200万円(~H27までの事故)

とされています

この金額は、亡くなった被害者の慰謝料を相続する金額に加えて、近親者固有の家族を失った精神的苦痛に対する慰謝料も含んだ金額となっています。

 

高齢者の場合

高齢者が死亡事故にあったときの慰謝料は、一家の支柱や母親、配偶者といえない場合は2000万円~2500万円(H28~の事故)、2000万円~2200万円(~H27までの事故)が基準となります。

高齢者は幼い子どもなどに比べて、既に人生を享受している度合いが大きいとして、慰謝料の金額は少なくすべきであるという見解もあります。

しかし、実務上は、この様な理由で低額な慰謝料となることはありません。

むしろ、高齢者とはいえ、現在の高齢化社会においては、さまざまな高齢者がいます。現役で会社の役員を務めていて、高収入を得て、家族を支えていた高齢者もいるでしょうし、先に体が不自由になってしまった配偶者を介護していた高齢者もいるでしょう。

このような事情を法的に整理して主張することで、その高齢者の事情に応じた適正な慰謝料の支払いを得ることが考えられます。

子どもの場合

幼い子どもを交通事故で失った両親の苦しみは想像を絶するものがあります。大切に育ててきた我が子の命が交通事故で奪われる苦しみは、金銭をもって慰謝できる類いのものではないと感じるでしょう。

ただし、前述の赤本の基準によると、幼い子どもが亡くなった場合の慰謝料も、2000万円~2500万円(H28~の事故)、2000万円~2200万円(~H27までの事故)となります。

このような基準はありますが、慰謝料の金額は、保険会社との交渉や裁判での主張の中で、さまざまな事情を考慮することで増額されることもあります。

幼い子どもの場合は、事故の態様の悪質さ、なすすべもなかった親の無念、子どもが唯一の子どもであることなどを理由に増額が認められることもあります。

 

まとめ

家族を交通事故で失った遺族は、突然、愛する家族を失った悲しみに苦しむ中、加害者の刑事事件のために、捜査に協力をしたり、各種届出を作成したり、亡くなった方の身辺の整理に追われることになります。

それに加えて、保険会社との交渉までも行うことになれば、その負担はとても大きなものになると思います。加害者側の保険会社から最初に提示される金額は、赤本の最低基準にも満たないことが多く、遺族が、苦しみと多忙の中、法律の知識がないままに交渉をしても、適正な慰謝料を認めてもらうことは難しいと考えられます。

弁護士に委任して交渉してもらえば、赤本の基準で賠償されることになりますし、さらに個別に増額すべき事情があれば、専門的な知識をもって交渉できます。ですから、死亡慰謝料の交渉については、弁護士に相談することをおすすめします。

 

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