治療先の選び方や治療中の注意など

 

1 はじめに

交通事故に遭って怪我をした場合、どのような病院にかかればよいのか悩む方が多いと思います。

特に治療やリハビリが長引く場合には、病院の選択は大切になってきます。

交通事故で怪我をした場合に、どのような観点から病院選びをすべきかについて考えてみましょう。

 

2 保険診療について

交通事故で怪我を負った場合、まず、「健康保険が使えないのではないか」という話を聞いたことがあるかもしれません。

確かに、健康保険の給付対象にならない場合として、

 ①業務上の災害(労災保険で保障)

 ②法令違反による負傷(無免許運転、酒酔い運転などの結果の負傷)

 ③第三者の行為による負傷(事件や事故で自分以外の誰かに負傷を負わされた場合)

が挙げられています。

このため、交通事故で怪我をした場合は③に該当して健康保険が適用できないと言われることもあるようです。

しかし、旧厚生省は「自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりがなく、

保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないよう住民、

医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるように指導されたい」

(昭和431012 保健発第106号「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて」)

と通達を出しています。

ですから、交通事故に遭った患者が、保険診療を望んだのであれば、

病院は保険診療を拒むことはできません。

万が一、交通事故であることを理由に保険診療を断る病院があれば、

そのような病院は選ぶべきではありません。

なお、「どうせ加害者が払うのだから・・・」と考えて不必要な自由診療をすれば、

それは不相当な治療として、加害者の保険会社から治療費の支払を拒まれることもあるので注意が必要です。

怪我の程度などに応じた適切な治療を受けることが大切です。

 

3 治療する医療機関の選択

交通事故の影響で、首の痛みやしびれなど「むちうち」の症状がある場合は、リハビリがメインの治療となる場合も少なくありません。そのような場合は、整形外科に通院することが通常ですが、接骨院(整骨院)に通院することも可能です。接骨院(整骨院)の先生は「柔道整復師」という国家資格を持っているため、むちうち症等の治療をすることも可能なのです。

 一方で、骨折などの外傷がある場合は、整形外科を受診するのが適切です。整形外科は運動器系の疾患を扱う診療科であり、交通事故による外傷のほとんどは整形外科の診療対象となります。

整形外科と接骨院(整骨院)の治療内容は、大きな違いがありませんが、接骨院(整骨院)は病院のように詳細なカルテを作成しなかったり、傷病の適切な診断ができないというデメリットもあるので、うまく使い分けるとよいでしょう。

頭部に外傷を負った場合には、脳神経外科を受診しましょう。

 

4 治療にあたっての注意

例えば、むちうち症などは痛みの程度が大きいわけではなかったり、治療が長期にわたることにより、通院が面倒になり、通院を途中でやめてしまう方も少なくありません。

しかし、通院を中途半端なところでやめてしまえば、後で「なかなか痛みが引かないから」と言って通院を再開しようとしても、通院実績がないことを理由に、交通事故で負った怪我以外の治療のために通院したのではないかと保険会社に疑われてしまうこともあります。

また、レントゲンやMRIなどの画像で症状の裏付けが認められない痛みの場合、治療が長期にわたると、保険会社は、治療費の支払いの打ち切りを打診してくることが多いです。

自分の痛みとしっかり向き合い、医師に症状をしっかり伝え、これからどのような治療をするのか、その治療によって改善の見込みがあるのかを理解しながら、治療にのぞむことが大切となってくるでしょう。

適正な損害賠償を受ける前提として、まず、適切な治療を受けることが必要ですので、信頼できる医師を選ぶことが重要といえるでしょう。

 

5 まとめ

交通事故に遭った場合にどのような治療を受ければよいのかについて理解していただけたでしょうか。

事故による怪我で苦しんでいる方は、しっかりした治療を受け、きちんと賠償を受け取ることが大切です。

もし、疑問に思うことがあれば遠慮なく弁護士にご相談下さい。