通勤中の交通事故なら労災!?労災を使うべきケースとは?

労災保険は、労働者が業務中にこうむった災害(労働災害)で怪我などを負ったときに適用される保険です。労働者を雇用している事業主には、加入が義務付けられています。また、この通勤の途中で災害に遭った場合にも適用されます。
では、通勤中の交通事故は、労災保険の適用対象になるのでしょうか?労災以外の可能性も含め、通勤中の交通事故について解説します。

通勤中の交通事故で使える保険とは?

冒頭でも述べたように「労働災害」には通勤中の災害も含まれるため、通勤中の交通事故も労災保険の適用対象となります。
ところで、通勤中ではあっても、交通事故なのですから、労災保険のほかにも「自賠責保険」も適用されます。

通勤中の交通事故では「労災保険」か「自賠責保険」のどちらか一方から保険金の支払いを受ければ、もう片方から控除されます。また、一般的に「自賠責保険のほうを優先すべき(自賠責先行の原則)」という考えがあります。これは、厚生労働省が昭和41年に発した通達によるものです。

“「労災保険の給付と自賠責保険の損害賠償額の支払との先後の調整については、給付事務の円滑化をはかるため、原則として自賠責保険の支払を労災保険の給付に先行させるよう取り扱うこと」(基発第1305号)”

ただし、これはあくまでも原則です。最終的には、被害者である労働者が自由にどちらの保険を使うかを選ぶことができます。労働基準監督署に対し「労災保険先行申出書」を提出することで、自賠責保険よりも労災保険の適用を優先させることが可能です。
また、労災保険を使用した場合は、「健康保険」が使えないことにも注意しておきましょう。

労災保険と自賠責保険の違い

では、労災保険と自賠責保険には、どういった違いがあるのでしょうか。簡単に整理してみます。

○自賠責保険
・傷害…120万円
・後遺障害、死亡…3000万円
・診療報酬単価…自由診療扱い(1点20円~30円)

○労災保険
・治療費…自己負担なし
・休業損害補償…怪我が治るまで休業損害の60%+特別支給金20%
・診療報酬単価…1点12円(健康保険は1点10円)

治療費が120万円以下で済むことが確実であれば、自賠責保険でも構いません。しかし、自賠責保険は限度額が固定されているため、治療が長期になり、治療費が多額になれば、治療費の全額を負担してもらえなくなったり、治療費以外の項目を補填してもらえなくなってしまいます。
一方、労災保険は、治療費についての支払限度額はなく、休業補償の支払いにも限度額はありません。
このため、治療が長引けば長引くほど、労災保険のほうが有利になるでしょう。
ですから、「労災保険を優先させる」と考えておいてください。

専門家のサポートで適切な判断を

通勤中の交通事故では、労災保険と自賠責保険の両方を使えますが、労災保険を優先的に使っていくべきです。相手方が任意保険に加入していなかったり、事故自体が深刻であったりすると、専門家でなければ適切な判断ができないことも珍しくありません。治療費や損害賠償をしっかりと受け取るためにも、交通事故に強い弁護士への相談をおすすめします。