飛行機事故で死亡した場合の賠償金

当事務所に寄せられたご質問にお答えしています。

 

もしも飛行機事故で死亡したら航空会社から賠償金などを払ってもらえるのでしょうか?たとえば2001年に起きたアメリカ同時多発テロのように、航空会社に過失がなかった場合は賠償金を払ってもらえないのでしょうか?

 

アメリカの国家運輸安全委員会の調査によると、飛行機の事故で死亡する確率は0.0009%。地上の交通事故で死亡する確率の方がはるかに高いのだそうです。しかし、運悪く飛行機事故に遭遇してしまったとき、遺族は航空会社からどのような補償を受けられるのでしょうか。

 

 

モントリオール条約によって賠償金は無制限に

平成15年にカナダのモントリオールで「国際線の航空運送に関しての損害賠償の範囲等について定めた条約」が締結されました。通称「モントリオール条約」と言われており、日本を含めてほとんどの主要国が加盟しています。

 

モントリオール条約の前は、ワルソー条約で死亡した際の損害賠償額の上限が280万円と定められていました。その後、モントリオール条約でこの上限を撤廃し、損害賠償額は無制限になりました。

事故が起きた場合の具体的な賠償額は、航空会社と遺族との話し合いで決められます。また、アメリカ同時多発テロのような航空会社に過失がない事故でも最大で10万SDR(世界共通の通貨単位。2018年12月のレート換算で約1,600万円)の補償金を支払わなければならなくなりました。

 

航空会社との話し合いによって決められた損害賠償額に納得がいかないときは、航空会社の主たる営業所の所在地、旅客の居住地などの場所で訴訟を提起することができるとされています。

 

モントリオール条約が適用される条件

ただ、この補償を受けるためには、出発地と到着地がモントリオール条約を締結していることが条件となります。発展途上国の中には非加盟国が多いので、渡航先の国が加盟しているかどうか、出発前に確認しておくとよいでしょう。

 

なお、モントリオール条約は国際線にのみ適用される条約のため、国内線の事故は補償の対象外となり、航空会社が独自に設定している運送約款をもとに損害賠償額が決まります。

 

損害賠償額に納得がいかなければ弁護士に相談を

モントリオール条約を締結していない国では、損害賠償額は加盟国より低く設定されることがあります。ただし、モントリオール条約の締結国であっても、日本と貨幣価値が大きく異なる国では、航空会社が提示する損害賠償額に納得がいかないというケースもあるかもしれません。

 

国際線も国内線も損害賠償額に納得がいかなければ、弁護士に相談の上、訴訟で解決を図ります。その場合、航空会社の過失があったか、または運送約款で旅客の保護が十分であったかが争われ、損害賠償額が妥当な金額かどうかが判断されることになるでしょう。