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死亡事故②(損害賠償請求できる者の範囲)

2020.04.10
  • 死亡事故②(損害賠償請求できる者の範囲)

死亡事故では、相続によって、相続人が、加害者に対する損害賠償請求権を取得します。また、一定の範囲内の近親者は、家族の死亡によって被った精神的苦痛について、加害者に対して慰謝料を請求できます。この場合の相続人と近親者は、一致しないことがあるので、注意が必要です。

1.損害賠償請求権の発生と相続
交通事故で被害者が亡くなれば、相続人は、相続によって、被害者本人に発生した損害賠償請求権を取得します。相続人は、加害者に対し、その損害賠償請求権を行使することになります。
法的には、交通事故によって死亡することは、傷害の極限状態であるとされ、たとえ即死であっても、死亡する直前に時間的な間隔があると捉えています。このため、死亡寸前の被害者が、加害者に対する損害賠償請求権を取得した後、被害者が死亡することによって相続が発生し、相続人が損害賠償請求権を取得すると捉えているのです。

2.近親者の固有の慰謝料請求権
被害者が死亡した場合、一定範囲の近親者は、加害者に対し、固有の慰謝料を請求できます。一定範囲の近親者であれば、多大な精神的苦痛を被ることは当然だと考えられることから、その精神的苦痛を慰謝するため、損害賠償請求が可能になるのです。
ここでいう一定範囲の親族とは、民法710条に挙げられている父母・配偶者・子のことを言います。裁判例の中には、民法710条に記載されていない親族、例えば兄弟姉妹にも固有の慰謝料の請求が認められる例も存在しています。

3.相続人と近親者の範囲が一致しない
ここでのポイントは、
・相続人  被害者本人に生じた損害賠償請求権を相続する者
・近親者  固有の慰謝料を取得する者
の範囲が一致しない場合があることです。
例えば、Aさんが交通事故で死亡し、Aさんにはご家族として配偶者・子供・両親がいた場合を考えてみます。
この場合の相続人は、配偶者と子供だけで、両親は相続人ではありません(民法887~890条)。ですので、Aさん本人に生じた損害賠償請求権を相続によって取得するのは、相続人である配偶者と子供だけです。
これに対し、近親者の固有の慰謝料は、民法710条に挙げられている近親者に認められます。Aさんのケースでは、配偶者・子供だけでなく、両親にも固有の慰謝料請求権が認められることになります。

3.相続人と近親者の範囲が一致しない 3.相続人と近親者の範囲が一致しない

4.刑事手続に関われる近親者
加害者の刑事手続についても触れておきます。
死亡事故において、加害者は、被疑者として捜査を受けます。捜査の結果、起訴されて裁判を受けることもあり得ます。
加害者が刑事裁判を受ける場合、被害者の親族は、被害者参加制度(刑訴法316条の33~)を利用し、被害者参加人として手続に関与することができます。
手続に関与できるのは、死亡した被害者の配偶者・直系の親族・兄弟姉妹とされています。ですから、刑事手続に関与する場面では、近親者の範囲がかなり広げられています。

5.弁護士がご依頼を頂く場合
相続によって取得した損害賠償請求権を行使する場合、できるだけ全ての相続人からご依頼を頂くようにしています。一つの事故によって発生した損害賠償請求権なので、一括して対応できる方がスムーズだからです。
また、相続人には含まれないけれど、近親者の固有の慰謝料を請求できる方がいる場合は、その方からもご依頼を頂く場合があります。
刑事手続の段階で、被害者参加制度を利用する場合には、制度を利用したいと考えている方からご依頼を頂きます。複数の方が被害者参加制度の利用を希望している場合は、代表者1名が被害者参加人となるのが一般的です。
この様に死亡事故では、相続人・近親者が複数人いれば、当事者が多くなることがあります。

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