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  死亡事故 Cases5
 

死亡事故
解 決:令和3年3月1日判決
裁判所:神戸地方裁判所

【事案の概要】
被害者は、夜間、自転車に乗ってアルバイト先から帰宅する途中、道路の左端からやや車道の中央寄りを走行していました。そこに後方から制限速度を30㎞/h近く超過して進行してきた乗用車に衝突され、約27mも跳ね飛ばされました。
この事故によって、被害者は、頭部に強い衝撃を受けた結果、脳挫傷などを負って死亡しました。

受任までの流れ

ご遺族は、当初、他の法律事務所の弁護士に対応を依頼していました。

しかし、その弁護士の対応が不十分であることを不満に感じていました。そして、その弁護士が体調を崩して法律事務所を閉鎖したため、後任の弁護士として、当事務所にご依頼を頂きました。

この時点で、刑事・民事の状況は以下の通りでした。

①刑事手続

すでに警察の捜査は終了し、検察庁に送致されていました。そして、検察庁での捜査もかなり進んでおり、担当の検察官は、加害者(被疑者)を不起訴処分にする方針を固めていました。

ご遺族は、加害者に厳罰を科して欲しいと希望していたため、不起訴処分にされそうな状況に強い不満を持っていました。

②民事手続

前任の弁護士は、受任した直後に、自賠責保険金の請求手続を行い、すでに死亡保険金の上限額である3000万円の自賠責保険金を受け取っていました。

受任後の対応(刑事手続)

1起訴(公判請求)までの対応
受任後、速やかに検察官と連絡を取り、ご遺族と一緒に面談する機会を設定しました。初回は、検察庁における捜査状況と処理方針を確認するとともに、ご遺族の心情と方針への不満を伝えました。
その後も、ご遺族と一緒に検察官と面談する機会を持ち、ご遺族の不満を繰り返し伝えるとともに、事故の発生状況に関する疑問点を指摘したり、有罪立証の可能性について議論したりしました。
最終的に、検察官は、それまでの方針を変更し、加害者を起訴(公判請求)してくれました。ご遺族とともに、粘り強く、起訴するように訴えかけたことが功を奏したのだと思います。
2刑事裁判での対応
刑事裁判において、加害者(被告人)は、事故によって被害者を死亡させた件(過失運転致死被告事件)について、被害者の動きを予測できず、回避も不可能だったとして、無罪を主張しました。
しかし、裁判所は、加害者は、かなり離れた地点から自転車の存在を認識しており、自転車の多少の進路変更を予見できたし、減速と安全な側方間隔の保持によって事故の発生を回避することも可能だったと判断し、加害者が有罪であるとの判断を下しました。
この手続では、被害者参加制度を利用し、被告人質問・被害者論告を行いました。また、ご遺族には、「心情に関する意見陳述」を行って頂きました。これらの手続によって、加害者の事故後の対応の不誠実さ、加害者が不合理な弁解を行ったことでご遺族が苦痛を感じたこと、家族を失ったことによるご遺族の心痛などを裁判所に伝えることができました。

受任後の対応(民事手続)

1手続の選択
刑事手続が終結した後、損害賠償請求の準備を始めました。
そして、解決のための手続は、示談交渉ではなく、訴訟(裁判)を選択することに決めました。訴訟を選択した理由は、以下の通りです。
①加害者が不誠実な対応を続けており、ご遺族は、一定の譲歩が必要となる示談交渉を選択する心情ではなかった
②過失割合が重要な争点になると見込まれ、裁判所に慎重に判断してもらうことを希望した
③被害者が大学生だったため、損害額が高額化すると見込まれた
④刑事手続が終わるまでに事故から3年が経過しており、遅延損害金が相応の金額になると見込まれた
2裁判の争点
この裁判における主な争点は、以下のとおりでした。
①過失相殺
加害者(被告)は、刑事裁判において、自転車の進路変更を予見できず、回避も不可能だったと主張していました。民事裁判でも、刑事裁判での主張を繰り返し、事故の発生について被告に責任はないという主張を行いました。
②逸失利益の基礎収入
被害者は、大学生でした。
この点について、被告は、大学を卒業していなかったのだから、男性大卒者の平均賃金ではなく、男性学歴計の平均賃金を採用すべきと主張してきました。
③葬儀関係費
葬儀関係費の額も主要な争点になりました。
④慰謝料
慰謝料の総額、被害者の姉に固有の慰謝料を認めるべきかが争点になりました。
3裁判所の認定
①過失相殺
被告は、民事裁判においても、自転車の進路変更を予見できず、回避も不可能だったと主張しました。そして、被告には責任がないという主張を行いました。
これに対し、こちらは、
・安全な側方間隔が保持されていなかったこと
・被告車の30㎞/h近い制限速度超過
・被告の前方不注視
などの事実を主張し、重大かつ悪質な注意義務違反によって事故を発生させたと主張しました。
裁判所は、本件事故の発生態様を詳細に検討した上で、被告が損害賠償責任を負うと認定しました。そして、本件事故の過失割合について、被告に80%の責任があると判断しました。
②基礎収入
被告は、被害者は大学生であり、大学を卒業していなかったのだから、男性大卒者の平均賃金ではなく、男性学歴計の平均賃金を採用すべきと主張してきました。
しかし、被告の主張は、【交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言】に反していることが明らかでした。
案の定、裁判所は、被告の主張を採用せず、男性大卒者の平均賃金を基礎収入にすると判断してくれました。
③葬儀関係費
被害者の死亡後、ご遺族は、葬儀関係費として、以下の通りの支出をしていました。そして、裁判では、この全額について損害賠償を求めました。
・葬儀費       約222万円
・墓石などの購入費  約261万円
被告は、原告の請求が高額すぎると主張して争いました。
裁判所は、この争点について、以下の通りの認定をしてくれました。
・葬儀費       約199万円
・墓石などの購入費  約259万円
④慰謝料
被告は、原告が請求していた慰謝料が高額すぎると主張するとともに、被害者の姉には固有の慰謝料が認められないと主張していました。
これに対し、こちらは、以下の事情を詳細に主張し、高額な慰謝料を認めるべきであるし、被害者の姉にも固有の慰謝料を認めるべきであると主張しました。
・本件事故態様の悪質性を十分に考慮すべきこと
・被告の謝罪などの対応が不十分であること
・ご遺族が多大な精神的苦痛を受けていること
裁判所は、以下の通りの慰謝料を認定しました。合計額は3000万円です。
・被害者本人の慰謝料   2000万円
・両親の慰謝料      各400万円
・姉の慰謝料        200万円

弁護士のコメント

この事案では、前任の弁護士がおり、途中から案件の対応を引き継ぎました。
このため、当初からご依頼を頂いていた案件と比べると、対応が難しかったり、すでになされた対応が悔やまれたりすることがありました。
1刑事手続
ご依頼を頂いた時点で、検察官は、すでに加害者を不起訴処分とする方針を固め、最終的な処分が出される間際になっていました。検察官が行った不起訴処分に不服があれば、検察審査会に審査を申し立てることができますが、検察審査会が不起訴不当や起訴相当の議決をする可能性は低いですし、その後に検察庁が結論を変更して起訴する可能性も低いです。
このため、不起訴処分がなされる前に、検察官と面談し、方針の変更を求める必要がありました。また、すでに方針を固めていたので、それを変更させるには十分に説得力のある論拠を提示することが重要でした。短期間でご遺族との打合せを重ね、断片的な情報から検察官を説得する材料を検討し、検察官に起訴するように訴えかけるのは大変な作業でした。
結果として、検察庁が方針を変更し、加害者を起訴してくれました。そして、その後の裁判でも、加害者に有罪判決が下されました。しかし、ここまで追い込まれる前に、もっと余裕をもって対応できればよかったと思います。
2自賠責保険金の請求
死亡事故では、早い段階で自賠責保険金の請求が可能になります。
しかし、請求が可能になることと、すぐに請求すべきかどうかは、全く別の問題です。自賠責保険金の請求を行うか否かは、以下の事情を考慮して慎重に判断すべきです。
①ご遺族の経済状況
世帯で収入を得ていた唯一の存在が死亡した場合、その世帯は収入を失い、残された遺族は経済的に困窮してしまいます。この場合、ご遺族の生活の維持を最優先に考え、早期に、自賠責保険金の請求手続を行うべきでしょう。
これに対し、ご遺族が経済的に困窮していなけれは、早い段階で自賠責保険金の請求手続をとる必要はありません。
②刑事手続で加害者の厳罰を求めるか
被害者が自賠責保険金を受領すれば、損害の一部について被害弁償がなされたという扱いを受けます。この結果、刑事手続において、加害者の処分が軽くなる可能性が高くなります。
厳罰を望んでいるのであれば、刑事手続が終わるまで、自賠責保険を請求すべきではありません。
③損害賠償手続への影響
損害賠償請求を裁判で解決する場合、弁護士費用・遅延損害金が加算されます。
ところが、早い段階で自賠責保険金を受領すれば、以後、受領した金額について遅延損害金が発生しなくなります。また、裁判所が認めてくれる弁護士費用の額も少なくなります。
加害者から受領できる賠償金を最大化するのであれば、自賠責保険金を受領しないで提訴すべきことになります。
この点について、コラムでも詳しく説明していますので、ご覧ください。 
本件では、前任の弁護士が自賠責保険金を請求していました。
しかし、本件では、ご遺族は経済的に困窮していませんでした。また、加害者に厳罰を科すことを望んでいましたし、民事でも訴訟を選択することになりました。
この状況であれば、自賠責保険金の請求手続を行わず、全ての損害額を裁判で請求すべきでした。
3損害賠償請求手続
加害者に責任はないという被告の主張を否定しつつ、被害者の過失を20%に抑えることができました。また、葬儀関係費、慰謝料などでは、かなりの高水準の認定を受けることができました。
訴訟を選択した成果は十分にあったと思います。
4最後に
ご遺族は、加害者が不起訴になる間際という状況で、今後に不安を持っていました。その状況から、加害者が有罪判決を受けるという成果を勝ち取り、損害賠償請求においても高水準の解決を得ることができました。
ご依頼を頂いた当初から、ご遺族のお気持ちに寄り添った対応を心がけたことの成果だと思います。ご遺族にご納得いただける結果を得られたと思います。

 

死亡事故
解決:令和3年3月1日判決 裁判所:神戸地方裁判所
 
【事案の概要】
被害者は、夜間、自転車に乗ってアルバイト先から帰宅する途中、道路の左端からやや車道の中央寄りを走行していました。そこに後方から制限速度を30㎞/h近く超過して進行してきた乗用車に衝突され、約27mも跳ね飛ばされました。

この事故によって、被害者は、頭部に強い衝撃を受けた結果、脳挫傷などを負って死亡しました。

受任までの流れ

ご遺族は、当初、他の法律事務所の弁護士に対応を依頼していました。
しかし、その弁護士の対応が不十分であることを不満に感じていました。そして、その弁護士が体調を崩して法律事務所を閉鎖したため、後任の弁護士として、当事務所にご依頼を頂きました。
この時点で、刑事・民事の状況は以下の通りでした。
① 刑事手続
すでに警察の捜査は終了し、検察庁に送致されていました。そして、検察庁での捜査もかなり進んでおり、担当の検察官は、加害者(被疑者)を不起訴処分にする方針を固めていました。
ご遺族は、加害者に厳罰を科して欲しいと希望していたため、不起訴処分にされそうな状況に強い不満を持っていました。
② 民事手続
前任の弁護士は、受任した直後に、自賠責保険金の請求手続を行い、すでに死亡保険金の上限額である3000万円の自賠責保険金を受け取っていました。

受任後の対応
(刑事手続)

1 起訴(公判請求)までの対応

受任後、速やかに検察官と連絡を取り、ご遺族と一緒に面談する機会を設定しました。初回は、検察庁における捜査状況と処理方針を確認するとともに、ご遺族の心情と方針への不満を伝えました。
その後も、ご遺族と一緒に検察官と面談する機会を持ち、ご遺族の不満を繰り返し伝えるとともに、事故の発生状況に関する疑問点を指摘したり、有罪立証の可能性について議論したりしました。
最終的に、検察官は、それまでの方針を変更し、加害者を起訴(公判請求)してくれました。ご遺族とともに、粘り強く、起訴するように訴えかけたことが功を奏したのだと思います。
2 刑事裁判での対応

刑事裁判において、加害者(被告人)は、事故によって被害者を死亡させた件(過失運転致死被告事件)について、被害者の動きを予測できず、回避も不可能だったとして、無罪を主張しました。
しかし、裁判所は、加害者は、かなり離れた地点から自転車の存在を認識しており、自転車の多少の進路変更を予見できたし、減速と安全な側方間隔の保持によって事故の発生を回避することも可能だったと判断し、加害者が有罪であるとの判断を下しました。
この手続では、被害者参加制度を利用し、被告人質問・被害者論告を行いました。また、ご遺族には、「心情に関する意見陳述」を行って頂きました。これらの手続によって、加害者の事故後の対応の不誠実さ、加害者が不合理な弁解を行ったことでご遺族が苦痛を感じたこと、家族を失ったことによるご遺族の心痛などを裁判所に伝えることができました。

受任後の対応
(民事手続)

1 手続の選択

刑事手続が終結した後、損害賠償請求の準備を始めました。
そして、解決のための手続は、示談交渉ではなく、訴訟(裁判)を選択することに決めました。訴訟を選択した理由は、以下の通りです。
① 加害者が不誠実な対応を続けており、ご遺族は、一定の譲歩が必要となる示談交渉を選択する心情ではなかった
② 過失割合が重要な争点になると見込まれ、裁判所に慎重に判断してもらうことを希望した
③ 被害者が大学生だったため、損害額が高額化すると見込まれた
④ 刑事手続が終わるまでに事故から3年が経過しており、遅延損害金が相応の金額になると見込まれた
2 裁判の争点
この裁判における主な争点は、以下のとおりでした。
① 過失相殺
加害者(被告)は、刑事裁判において、自転車の進路変更を予見できず、回避も不可能だったと主張していました。民事裁判でも、刑事裁判での主張を繰り返し、事故の発生について被告に責任はないという主張を行いました。
② 逸失利益の基礎収入
被害者は、大学生でした。
この点について、被告は、大学を卒業していなかったのだから、男性大卒者の平均賃金ではなく、男性学歴計の平均賃金を採用すべきと主張してきました。
③ 葬儀関係費
葬儀関係費の額も主要な争点になりました。
④ 慰謝料
慰謝料の総額、被害者の姉に固有の慰謝料を認めるべきかが争点になりました。
3 裁判所の認定

① 過失相殺
被告は、民事裁判においても、自転車の進路変更を予見できず、回避も不可能だったと主張しました。そして、被告には責任がないという主張を行いました。
これに対し、こちらは、
   安全な側方間隔が保持されていなかったこと
   被告車の30㎞/h近い制限速度超過
   被告の前方不注視
などの事実を主張し、重大かつ悪質な注意義務違反によって事故を発生させたと主張しました。
裁判所は、本件事故の発生態様を詳細に検討した上で、被告が損害賠償責任を負うと認定しました。そして、本件事故の過失割合について、被告に80%の責任があると判断しました。
② 基礎収入
被告は、被害者は大学生であり、大学を卒業していなかったのだから、男性大卒者の平均賃金ではなく、男性学歴計の平均賃金を採用すべきと主張してきました。
しかし、被告の主張は、【交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言】に反していることが明らかでした。
案の定、裁判所は、被告の主張を採用せず、男性大卒者の平均賃金を基礎収入にすると判断してくれました。
③ 葬儀関係費
被害者の死亡後、ご遺族は、葬儀関係費として、以下の通りの支出をしていました。そして、裁判では、この全額について損害賠償を求めました。
  ・ 葬儀費       約222万円
  ・ 墓石などの購入費  約261万円
被告は、原告の請求が高額すぎると主張して争いました。
裁判所は、この争点について、以下の通りの認定をしてくれました。
  ・ 葬儀費       約199万円
  ・ 墓石などの購入費  約259万円
④ 慰謝料
被告は、原告が請求していた慰謝料が高額すぎると主張するとともに、被害者の姉には固有の慰謝料が認められないと主張していました。
これに対し、こちらは、以下の事情を詳細に主張し、高額な慰謝料を認めるべきであるし、被害者の姉にも固有の慰謝料を認めるべきであると主張しました。
  ・ 本件事故態様の悪質性を十分に考慮すべきこと
  ・ 被告の謝罪などの対応が不十分であること
  ・ ご遺族が多大な精神的苦痛を受けていること
裁判所は、以下の通りの慰謝料を認定しました。合計額は3000万円です。
  ・ 被害者本人の慰謝料   2000万円
  ・ 両親の慰謝料      各400万円
  ・ 姉の慰謝料        200万円

弁護士のコメント

この事案では、前任の弁護士がおり、途中から案件の対応を引き継ぎました。
このため、当初からご依頼を頂いていた案件と比べると、対応が難しかったり、すでになされた対応が悔やまれたりすることがありました。
1 刑事手続
ご依頼を頂いた時点で、検察官は、すでに加害者を不起訴処分とする方針を固め、最終的な処分が出される間際になっていました。検察官が行った不起訴処分に不服があれば、検察審査会に審査を申し立てることができますが、検察審査会が不起訴不当や起訴相当の議決をする可能性は低いですし、その後に検察庁が結論を変更して起訴する可能性も低いです。
このため、不起訴処分がなされる前に、検察官と面談し、方針の変更を求める必要がありました。また、すでに方針を固めていたので、それを変更させるには十分に説得力のある論拠を提示することが重要でした。短期間でご遺族との打合せを重ね、断片的な情報から検察官を説得する材料を検討し、検察官に起訴するように訴えかけるのは大変な作業でした。
結果として、検察庁が方針を変更し、加害者を起訴してくれました。そして、その後の裁判でも、加害者に有罪判決が下されました。しかし、ここまで追い込まれる前に、もっと余裕をもって対応できればよかったと思います。
2 自賠責保険金の請求
死亡事故では、早い段階で自賠責保険金の請求が可能になります。
しかし、請求が可能になることと、すぐに請求すべきかどうかは、全く別の問題です。自賠責保険金の請求を行うか否かは、以下の事情を考慮して慎重に判断すべきです。
① ご遺族の経済状況
世帯で収入を得ていた唯一の存在が死亡した場合、その世帯は収入を失い、残された遺族は経済的に困窮してしまいます。この場合、ご遺族の生活の維持を最優先に考え、早期に、自賠責保険金の請求手続を行うべきでしょう。
これに対し、ご遺族が経済的に困窮していなけれは、早い段階で自賠責保険金の請求手続をとる必要はありません。
② 刑事手続で加害者の厳罰を求めるか
被害者が自賠責保険金を受領すれば、損害の一部について被害弁償がなされたという扱いを受けます。この結果、刑事手続において、加害者の処分が軽くなる可能性が高くなります。
厳罰を望んでいるのであれば、刑事手続が終わるまで、自賠責保険を請求すべきではありません。
③ 損害賠償手続への影響
損害賠償請求を裁判で解決する場合、弁護士費用・遅延損害金が加算されます。
ところが、早い段階で自賠責保険金を受領すれば、以後、受領した金額について遅延損害金が発生しなくなります。また、裁判所が認めてくれる弁護士費用の額も少なくなります。
加害者から受領できる賠償金を最大化するのであれば、自賠責保険金を受領しないで提訴すべきことになります。
この点について、コラムでも詳しく説明していますので、ご覧ください。
本件では、前任の弁護士が自賠責保険金を請求していました。
しかし、本件では、ご遺族は経済的に困窮していませんでした。また、加害者に厳罰を科すことを望んでいましたし、民事でも訴訟を選択することになりました。
この状況であれば、自賠責保険金の請求手続を行わず、全ての損害額を裁判で請求すべきでした。
3 損害賠償請求手続 

加害者に責任はないという被告の主張を否定しつつ、被害者の過失を20%に抑えることができました。また、葬儀関係費、慰謝料などでは、かなりの高水準の認定を受けることができました。
訴訟を選択した成果は十分にあったと思います。

4 最後に

ご遺族は、加害者が不起訴になる間際という状況で、今後に不安を持っていました。その状況から、加害者が有罪判決を受けるという成果を勝ち取り、損害賠償請求においても高水準の解決を得ることができました。
ご依頼を頂いた当初から、ご遺族のお気持ちに寄り添った対応を心がけたことの成果だと思います。ご遺族にご納得いただける結果を得られたと思います。