だいち法律事務所

  遷延性意識障害

 

遷延性意識障害

Prolonged consciousness disorder
Ⅰ遷延性意識障害

1遷延性意識障害とは

一般的に「寝たきり」と言われることもある最重度の後遺障害です。

以下の6項目を満たす状態となり、ほとんど改善が見られないまま満3か月以上が経過すると、遷延性意識障害と診断されます。

①自力移動不能

②自力摂食不能

③糞尿失禁状態

④声は出せても意味のある発語は不能

⑤「目を開け」、「手を握れ」などの簡単な命令には辛うじて応じることもあるが、それ以上の意思の疎通は不能

⑥眼球は辛うじて物を追っても認識はできない

 

2遷延性意識障害の被害者と家族の現実

「遷延性意識障害」となった被害者には、自分でできることは殆どありません。自分の意思を伝えることができません。移動・食事・排泄・入浴などの日常生活は介護に頼るしかありません。さらに、生き続けるためには、痰の吸引、褥瘡(床ずれ)防止のため体位変換、体調管理などの介護も必要になります。これらの介護は、24時間、365日にわたって必要になります。

被害者を介護するのは、主に被害者のご家族です。被害者に対して、手厚い介護を提供することは、精神的・体力的・経済的に極めて大きな負担となります。交通事故後に襲いかかってくる二次被害と言えるでしょう。 

 

Ⅰ.遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)

1 遷延性意識障害とは

 一般的に「寝たきり」と言われることもある最重度の後遺障害です。

 以下の6項目を満たす状態となり、ほとんど改善が見られないまま満3か月以上が経過すると、遷延性意識障害と診断されます。

   ①自力移動不能

   ②自力摂食不能

   ③糞尿失禁状態

   ④声は出せても意味のある発語は不能

   ⑤「目を開け」、「手を握れ」などの簡単な命令には辛うじて応じることもあるが、それ以上の意思の疎通は不能

   ⑥眼球は辛うじて物を追っても認識はできない

 

2 遷延性意識障害の被害者と家族の現実

 「遷延性意識障害」となった被害者には、自分でできることは殆どありません。自分の意思を伝えることができません。移動・食事・排泄・入浴などの日常生活は介護に頼るしかありません。さらに、生き続けるためには、痰の吸引、褥瘡(床ずれ)防止のため体位変換、体調管理などの介護も必要になります。これらの介護は、24時間、365日にわたって必要になります。

 被害者を介護するのは、主に被害者のご家族です。被害者に対して、手厚い介護を提供することは、精神的・体力的・経済的に極めて大きな負担となります。交通事故後に襲いかかってくる二次被害と言えるでしょう。 

 

Ⅱ遷延性意識障における対応の流れ

遷延性意識障害の事案では、以下に記載した項目の順序で対応が進んで行くことが多いです。以下、それぞれの項目について説明するとともに、注意すべき点も述べておきます。

 

1加害者の刑事手続

被害者は重篤なケガを負って意識が回復しない状態です。このため、被害者は事故状況を説明できず、現場の痕跡や加害者の供述によって事故態様が確定されます。真実を把握するには、捜査機関と緊密に連絡を取るなどの対応が必要です。

また、加害者が起訴(公判請求)された後は、被害者参加制度を利用して裁判に関与することで、真実を把握したり、処罰感情を処分に反映させることができます。

早期にご依頼を頂ければ、捜査機関との連絡、被害者参加制度の利用などをサポートすることが可能です。細かい対応を弁護士に任せ、ご家族は、被害者の看護などに専念できる状況を整えることをお勧めいたします。

 

2被害者の治療

遷延性意識障害になった場合、長期間の入院加療が必要となります。重篤なケガを負っているので、当初の入院先は救急病院であることが多いですが、2~3か月程度で転院を求められるようです。近隣の病院に転院しても、3か月程度で再転院を求められることが多いです。その後も転院を繰り返すことになります。

転院先を探すことはご家族にとって大きな負担です。また、遷延性意識障害の患者にとっても、病院間の移動や環境の変化は大きな負担になります。

そこで、全国に4ヶ所ある療護センター[東北(宮城県仙台市)・千葉(千葉県千葉市)・中部(岐阜県美濃加茂市)・岡山(岡山県岡山市)]、同じく7ヶ所ある委託病床[中村記念病院(北海道札幌市)・聖マリア病院(福岡県久留米市)・泉大津市立病院(大阪府泉大津市)・湘南東部総合病院(神奈川県茅ヶ崎市)・藤田医科大学病院(愛知県豊明市)・金沢脳神経外科病院(石川県野々市市)・松山市民病院(愛媛県松山市)]への転院を検討されることをお勧めいたします。

これらの医療機関は、最長3年間の入院が可能であり、入院中は、専門的な治療とリハビリを受けられます。最大限の回復を図りつつ、落ち着いた状況の下で、自宅での生活へ戻るなど、被害者やご家族にとって最適な環境を整えることができます。

 

3症状固定

「症状固定」とは、加害者に対する損害賠償請求の手続を進めるため、治療に「区切り」をつけることです。

なお、この「区切り」は、概念的なものであり、症状固定となったからといって治療を打ち切る必要はありません。遷延性意識障害の患者は、生命や体調を維持するため、生涯にわたって治療を続ける必要があることが殆どです。治療を続けながら、損害賠償の手続を始めるための「区切り」だとご理解ください。

⑴時期

遷延性意識障害では、受傷から6か月が経過すれば、症状固定の診断を受けられる状態になることが多いです。しかし、状態の安定を確認するため、多くの場合、1年は様子をみていると思います。

なお、療護センターや委託病床は、3年間の入院期間に、積極的な治療やリハビリを行って、可能な限りの回復を目指す施設です。これらの医療機関に入院した場合、特段の事情がない限り、退院時まで症状固定の診断がなされないことが多いです。

⑵症状固定と診断される効果

症状固定の診断がなされれば、損害賠償の手続を始めることになります。まず、自賠責保険金の請求手続を行います。後遺障害等級の認定を受け、等級に応じた自賠責保険金の支払を受けるのです。

注意が必要なのは、症状固定の診断を受けると、それまで保険会社から支払われていた治療費や休業補償などがストップすることです。症状固定から自賠責保険金の支払までには数か月かかるため、この間の必要資金を用立てておく必要があります。

⑶成年後見の手続

遷延性意識障害は意識がない状態が続くので、自分では意思決定ができません。ですから、誰かが被害者に代わって意思決定を行う必要があります。

この場合、被害者が未成年であれば、親権者(多くの場合は両親)が法定代理権を有しているので、特別な手続をとることなく対応できます。しかし、被害者が成人に達している場合は、成年後見人を立てる必要があります。

成年後見人を立てるためには、家庭裁判所に申立をする必要があります。

申立の手続自体は難しくないので、弁護士に依頼しなくても十分に可能ですが、誰を成年後見人の候補者にするのかなど、損害賠償請求の手続を円滑・効果的に進めるために考慮すべき事項がありますので、弁護士のアドバイスを得てから申立の手続をとるべきです。

成年後見の申立は、症状固定の診断と同時期にするのが通常です。

 

4損害賠償請求の手続

⑴自賠責保険の請求

症状固定の診断を受けた後、まず、自賠責保険金の請求手続を行います。この手続には、加害者の任意保険会社を通じて行う方法(事前認定)もありますが、お勧めできません。被害者が自賠責保険会社に請求の手続を行うべきです(被害者請求)。

遷延性意識障害となった被害者の場合、通常、1級と認定され、自賠責保険金として4000万円が支払われることになります。

これだけの保険金が支払われれば、被害者が自宅で生活するために必要な、自宅改造費、介護器具(ベッド、車いす、リフトなど)の購入費、介護仕様車の購入費などに充てることができます。

⑵賠償に向けての準備

遷延性意識障害を負った場合、被害者には、主に、以下に記載した項目の損害が生じます。これ以外にも、事案によって計上できる損害項目がありますので、ご相談ください。

・治療費

・付添看護費

・休業損害

・逸失利益

・将来介護費

・自宅改造費

・介護器具(ベッド、車いす、リフトなど)の購入費

・介護仕様車の購入費

・成年後見の申立費用

・慰謝料

損害賠償の手続を開始するためには、これらの損害項目について、根拠となる資料を整えるなどの準備をしておきます。

遷延性意識障害の場合、日常生活において介護を受けることが必要となります。そして、賠償金の中で、この介護に関する費用が、とても大きな部分を占めます。そこで、将来介護費について説明しておきます。

①介護の計画

損害賠償請求の手続を始める時点で、しっかりとした介護の計画を立てておき、できれば実際に介護を始めておくべきです。

介護に関する重要なポイントは、

[被害者の生活の場所]
自宅か、施設か

[主な介護の担い手]
近親者だけか、介護サービスを利用するか

の選択にあります。

これらのポイントをどう選択するかによって、認められる将来介護費の金額が大きく変わってきます。

②必要な介護の内容

遷延性意識障害の場合、被害者は、寝たきり状態であり、細かい内容に違いがあったとしても、日常生活の大部分に介護が必要になります。

具体的な介護の内容、手順、大変さなどを書面にまとめておくと、損害賠償の手続を行うときに効果的です。

③賠償の前提となる介護費の金額

被害者を介護する場合、通常、介護保険法や障害者総合支援法に基づいた福祉制度を利用することになります。この場合、自己負担額は10%であり、所得額によってはもっと少ない金額で介護サービスを利用可能です。

但し、損害賠償の請求をする際は、福祉制度の利用を前提とせずに(=100%負担をした前提で)、将来介護費の額を計算します。

⑶手続の選択

自賠責保険金は、被害者が負った損害の一部分の先払いです。残りの損害額は、別途、請求します。この請求をするための手続には、大きく分けて、【示談】と【裁判】の2つがあります。

遷延性意識障害の事案では、裁判による解決をお勧めすることがほとんどです。しかし、個々の事案ごとの事情に応じて、メリットとデメリットを慎重に考慮し、示談で解決する場合もあります。

【示談】と【裁判】のどちらを選択すべきかは、弁護士にご相談いただき、そのアドバイスを考慮して決めて頂きたいと思います。

 


Ⅱ.遷延性意識障害における対応の流れ

遷延性意識障害の事案では、以下に記載した項目の順序で対応が進んで行くことが多いです。以下、それぞれの項目について説明するとともに、注意すべき点も述べておきます。

 

1 加害者の刑事手続

 被害者は重篤なケガを負って意識が回復しない状態です。このため、被害者は事故状況を説明できず、現場の痕跡や加害者の供述によって事故態様が確定されます。真実を把握するには、捜査機関と緊密に連絡を取るなどの対応が必要です。

 また、加害者が起訴(公判請求)された後は、被害者参加制度を利用して裁判に関与することで、真実を把握したり、処罰感情を処分に反映させることができます。

 早期にご依頼を頂ければ、捜査機関との連絡、被害者参加制度の利用などをサポートすることが可能です。細かい対応を弁護士に任せ、ご家族は、被害者の看護などに専念できる状況を整えることをお勧めいたします。

 

2 被害者の治療

 遷延性意識障害になった場合、長期間の入院加療が必要となります。重篤なケガを負っているので、当初の入院先は救急病院であることが多いですが、2~3か月程度で転院を求められるようです。近隣の病院に転院しても、3か月程度で再転院を求められることが多いです。その後も転院を繰り返すことになります。

 転院先を探すことはご家族にとって大きな負担です。また、遷延性意識障害の患者にとっても、病院間の移動や環境の変化は大きな負担になります。

 そこで、全国に4ヶ所ある療護センター[東北(宮城県仙台市)・千葉(千葉県千葉市)・中部(岐阜県美濃加茂市)・岡山(岡山県岡山市)]、同じく7ヶ所ある委託病床[中村記念病院(北海道札幌市)・聖マリア病院(福岡県久留米市)・泉大津市立病院(大阪府泉大津市)・湘南東部総合病院(神奈川県茅ヶ崎市)・藤田医科大学病院(愛知県豊明市)・金沢脳神経外科病院(石川県野々市市)・松山市民病院(愛媛県松山市)]への転院を検討されることをお勧めいたします。

 これらの医療機関は、最長3年間の入院が可能であり、入院中は、専門的な治療とリハビリを受けられます。最大限の回復を図りつつ、落ち着いた状況の下で、自宅での生活へ戻るなど、被害者やご家族にとって最適な環境を整えることができます。

 

3 症状固定

 「症状固定」とは、加害者に対する損害賠償請求の手続を進めるため、治療に「区切り」をつけることです。

 なお、この「区切り」は、概念的なものであり、症状固定となったからといって治療を打ち切る必要はありません。遷延性意識障害の患者は、生命や体調を維持するため、生涯にわたって治療を続ける必要があることが殆どです。治療を続けながら、損害賠償の手続を始めるための「区切り」だとご理解ください。

⑴ 時期

 遷延性意識障害では、受傷から6か月が経過すれば、症状固定の診断を受けられる状態になることが多いです。しかし、状態の安定を確認するため、多くの場合、1年は様子をみていると思います。

 なお、療護センターや委託病床は、3年間の入院期間に、積極的な治療やリハビリを行って、可能な限りの回復を目指す施設です。これらの医療機関に入院した場合、特段の事情がない限り、退院時まで症状固定の診断がなされないことが多いです。

⑵ 症状固定と診断される効果

 症状固定の診断がなされれば、損害賠償の手続を始めることになります。まず、自賠責保険金の請求手続を行います。後遺障害等級の認定を受け、等級に応じた自賠責保険金の支払を受けるのです。

 注意が必要なのは、症状固定の診断を受けると、それまで保険会社から支払われていた治療費や休業補償などがストップすることです。症状固定から自賠責保険金の支払までには数か月かかるため、この間の必要資金を用立てておく必要があります。

⑶ 成年後見の手続

 遷延性意識障害は意識がない状態が続くので、自分では意思決定ができません。ですから、誰かが被害者に代わって意思決定を行う必要があります。

 この場合、被害者が未成年であれば、親権者(多くの場合は両親)が法定代理権を有しているので、特別な手続をとることなく対応できます。しかし、被害者が成人に達している場合は、成年後見人を立てる必要があります。

 成年後見人を立てるためには、家庭裁判所に申立をする必要があります。

 申立の手続自体は難しくないので、弁護士に依頼しなくても十分に可能ですが、誰を成年後見人の候補者にするのかなど、損害賠償請求の手続を円滑・効果的に進めるために考慮すべき事項がありますので、弁護士のアドバイスを得てから申立の手続をとるべきです。

 成年後見の申立は、症状固定の診断と同時期にするのが通常です。

 

4 損害賠償請求の手続

⑴ 自賠責保険の請求

 症状固定の診断を受けた後、まず、自賠責保険金の請求手続を行います。この手続には、加害者の任意保険会社を通じて行う方法(事前認定)もありますが、お勧めできません。被害者が自賠責保険会社に請求の手続を行うべきです(被害者請求)。

 遷延性意識障害となった被害者の場合、通常、1級と認定され、自賠責保険金として4000万円が支払われることになります。

 これだけの保険金が支払われれば、被害者が自宅で生活するために必要な、自宅改造費、介護器具(ベッド、車いす、リフトなど)の購入費、介護仕様車の購入費などに充てることができます。

⑵ 賠償に向けての準備

 遷延性意識障害を負った場合、被害者には、主に、以下に記載した項目の損害が生じます。これ以外にも、事案によって計上できる損害項目がありますので、ご相談ください。

   ・治療費

   ・付添看護費

   ・休業損害

   ・逸失利益

   ・将来介護費

   ・自宅改造費

   ・介護器具(ベッド、車いす、リフトなど)の購入費

   ・介護仕様車の購入費

   ・成年後見の申立費用

   ・慰謝料

 損害賠償の手続を開始するためには、これらの損害項目について、根拠となる資料を整えるなどの準備をしておきます。

 遷延性意識障害の場合、日常生活において介護を受けることが必要となります。そして、賠償金の中で、この介護に関する費用が、とても大きな部分を占めます。そこで、将来介護費について説明しておきます。

① 介護の計画

 損害賠償請求の手続を始める時点で、しっかりとした介護の計画を立てておき、できれば実際に介護を始めておくべきです。

 介護に関する重要なポイントは、

   ・被害者の生活の場所   自宅か、施設か

   ・主な介護の担い手    近親者だけか、介護サービスを利用するか

の選択にあります。

 これらのポイントをどう選択するかによって、認められる将来介護費の金額が大きく変わってきます。

② 必要な介護の内容

 遷延性意識障害の場合、被害者は、寝たきり状態であり、細かい内容に違いがあったとしても、日常生活の大部分に介護が必要になります。

 具体的な介護の内容、手順、大変さなどを書面にまとめておくと、損害賠償の手続を行うときに効果的です。

③ 賠償の前提となる介護費の金額

 被害者を介護する場合、通常、介護保険法や障害者総合支援法に基づいた福祉制度を利用することになります。この場合、自己負担額は10%であり、所得額によってはもっと少ない金額で介護サービスを利用可能です。

 但し、損害賠償の請求をする際は、福祉制度の利用を前提とせずに(=100%負担をした前提で)、将来介護費の額を計算します。

⑶ 手続の選択

 自賠責保険金は、被害者が負った損害の一部分の先払いです。残りの損害額は、別途、請求します。この請求をするための手続には、大きく分けて、【示談】と【裁判】の2つがあります。

 遷延性意識障害の事案では、裁判による解決をお勧めすることがほとんどです。しかし、個々の事案ごとの事情に応じて、メリットとデメリットを慎重に考慮し、示談で解決する場合もあります。

 【示談】と【裁判】のどちらを選択すべきかは、弁護士にご相談いただき、そのアドバイスを考慮して決めて頂きたいと思います。

 

Ⅲ.まとめ

だいち法律事務所では、遷延性意識障害の事案を含め、重度の後遺障害を負われた被害者からのご依頼を多くいただいてきました。

ご依頼を頂けば、被害者やそのご家族が、生涯にわたって経済的な不安を感じなくて済むように、できる限り多くの賠償金の支払を受けられるように努めています。経済的な不安がなければ、ご家族は、被害者の介護などに集中できます。また、十分な賠償金を受けとれれば、手厚い介護サービスを利用できるようになり、ご家族が仕事に復帰したり、休息したりする時間を確保できます。

被害者だけでなく、そのご家族の生活も安定させることが、私たちの最終的な目標です。 


Ⅲ.まとめ

だいち法律事務所では、遷延性意識障害の事案を含め、重度の後遺障害を負われた被害者からのご依頼を多くいただいてきました。

ご依頼を頂けば、被害者やそのご家族が、生涯にわたって経済的な不安を感じなくて済むように、できる限り多くの賠償金の支払を受けられるように努めています。経済的な不安がなければ、ご家族は、被害者の介護などに集中できます。また、十分な賠償金を受けとれれば、手厚い介護サービスを利用できるようになり、ご家族が仕事に復帰したり、休息したりする時間を確保できます。

被害者だけでなく、そのご家族の生活も安定させることが、私たちの最終的な目標です。 

Ⅳ.当事務所の解決例

だいち法律事務所が取り扱った遷延性意識障害案件に関する判例・解決例を紹介します


Ⅳ.遷延性意識障害事案の当事務所の解決例

だいち法律事務所が取り扱った案件に関する判例・解決例を紹介します

【事案の概要】
被害者は、自転車に乗り、青信号に従って、自転車横断帯が併設されている横断歩道上を走行し、道路を横断しようとしていました。この時、青信号に従って左折してきた自動車に衝突されました。

この事故によって、被害者は、左急性硬膜下血腫、脳挫傷、頭蓋骨骨折などの重大な傷害を負いました。そして、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害が残り、常に介護が必要な状態になってしまいました。

【後遺障害等級】
この事案では、被害者が『遷延性意識障害』という重篤な後遺障害を負ったため、
  別表第一第1級1号
と認定されました。
 
 【裁判の争点】
別表第一第1級1号という重篤な後遺障害等級が認定されたこと、ご家族も裁判による解決を望んでいたことから、訴訟を提起しました。
訴訟における争点は、多岐にわたりましたが、主な争点は、
・過失割合
・付添看護費の額
・将来介護費の額
・逸失利益における基礎収入の額
・近親者固有の慰謝料。中でも兄姉に慰謝料が認められるか。
でした。
これらの争点について、双方が詳細な主張を出し合った結果、訴訟の期間は、約3年にも及びました。
 
【提訴前に人身傷害保険を請求しなかった理由】
本件では、過失割合が主要な争点になると見込まれました。そして、ご家族が契約していた自動車保険に、本件で利用可能な人身傷害保険が付帯されていたため、提訴前に人身傷害保険の請求しておくことも可能でした。
しかし、被害者の過失は軽微で、0%となることも見込まれました。この場合に、人身傷害保険の請求を先行させてしまうと、裁判で認定される賠償金の額が少なくなって、被害者に不利益が生じる可能性が高いと考えられました。
そこで、提訴前には人身傷害保険を請求しないことにしました。
結果的に、被害者の過失は0%と認定されたため、人身傷害保険を請求する必要はありませんでした。
 
【裁判所の認定】
1過失割合
被告は、被害者にも10%の過失があると主張してきました。
これに対し、原告は、加害者の一方的な過失によって事故が発生したのであり、被害者には落ち度がないから、被害者の過失割合は0%と認定すべきと主張しました。
裁判所は、先行車両の通過後、加害車両との間隙を縫って交差点を横断しようとした事故態様を前提とすれば、基本的に10%の過失相殺をすることが相当としました。しかし、被害者は、自転車横断帯を走行していたと同視できること、加害者は横断歩道及び自転車横断帯の手前で一時停止していないことから、被害者に有利に10%の修正を行い、最終的な被害者の過失割合を0%と認定しました。
2付添看護費の額
事故によって重篤な怪我を負ったため、被害者は、2年以上もの期間、入院治療を受けました。
入院期間中、被害者は、遷延性意識障害の状態で、自分でできることは何もなかったため、常に介護が必要でした。また、意識状態の改善を図るため、積極的に刺激を与えることが重要でした。
事故当時、両親は就労していましたが、被害者が重篤な状態となったため、母が退職して付添看護に当たりました。また、父も、仕事後や休日に、付添看護を分担していました。
一般的な基準では、付添看護費の額は、日額6000円前後と認定されるのが通常であり、高くても日額8000円にとどまる例が多いです。
これに対し、本件において、裁判所は、退職した母の年収を考慮して、付添看護費を日額1万0289円と認定してくれました。
付添看護のため、母が退職して収入を失ったのですから、その収入を補填する金額が認められるべきだと思います。そして、一般的な裁判例よりも高額の付添看護費が認められた点は、高く評価してよいと思います。
3将来介護費
被害者は、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害を負ったため、日常生活において自分でできることはなく、日常生活のあらゆることに、24時間態勢の介護が必要な状態になりました。
近親者だけで全ての介護を担うことは不可能であり、日中は、介護施設に通ったり、訪問介護サービスを利用するなど、近親者の介護の負担を軽減するための介護スケジュールを組みました。介護サービスの利用は、被害者が多様な刺激を受ける機会を確保し、意識状態の改善を図るというリハビリ面での効果も期待できます。
裁判においては、介護サービスを利用し、介護費を負担し続けているので、十分な金額の将来介護費を認定すべきであると主張しました。また、介護サービスを利用するために必要な費用の水準は、将来的に低額化する可能性はなく、むしろ高額化する可能性があるから、少なくとも現状が維持されることを前提として介護費の額を認定すべきと強く主張しました。
この結果、裁判所は、
[週5日]
介護サービス+近親者
[週2日]
近親者のみ
という介護態勢を前提として、
[職業介護人の介護費]
月額58万円 (月22日換算で1日あたり約2万6000円)
[近親者の介護費]
週5日 8000円
週2日 1万円
という高額な費用を認めてくれました。
4逸失利益における基礎収入の額
事故当時、被害者は、14歳で、中学校に在学中でした。このため、いわゆる『年少女子』に該当するとして基礎収入を男女を併せた全労働者の平均賃金とすべきであると主張しました。
これに対し、被告は、男女の賃金格差は厳然と存在しており、格差が解消する傾向にもないなどと主張して、女性の全年齢平均賃金を採用すべきと主張しました。
裁判所は、人の労働能力には個人差はあっても性差は存在しないこと、年少者は多様な就労可能性を有していることなどを指摘して、男女を併せた全労働者の平均賃金を基礎収入としました。 
5近親者固有の慰謝料
民法711条は、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。」と定めています。
この規定を前提として、本件では、兄姉に対しても慰謝料が認められるのかが問題となりました。被告は、民法711条に兄姉は規定されていないから、慰謝料は認められないと主張してきました。
これに対し、原告は、被害者が遷延性意識障害となった場合に、兄姉が精神的苦痛を負わないはずがないなどと主張するとともに、兄姉の尋問を実施し、事故による精神的苦痛、生活の変化による苦しみ、将来も被害者の介護に関わっていく覚悟などを明らかにしてもらいました。
この結果、兄姉にも各200万円の慰謝料が認められました。
なお、両親に対しては各400万円の慰謝料が認められています。
  
【弁護士のコメント】
本判決の特徴の1つは、かなり高額な付添看護費・将来介護費が認められている点だと思います。高額な付添看護費・将来介護費を認定をしてもらうため、
・ご家族から、事故後の経過、被害者の現状などを詳細に聴き取る
・カルテの内容の精査
・主治医から、被害者の状態、介護で注意すべきポイントを聞き取る
などの準備をして、
・日常生活の全般について介護が必要であること
・24時間態勢の介護が必要であること
・介護の負担がとても重いこと
・介護サービスを利用する必要があること
などについて、詳細な主張立証を行いました。
介護に関する医学文献、将来的な介護費の変動に関する論文や資料などを数多く提出し、介護内容や態勢が、この被害者に特別なのではなく、重篤な後遺障害であれば一般的に必要とされていること立証しました。 
また、兄姉の慰謝料については、「条文に記載されていないから認められない」という流れがあることに疑問を感じていました。
そこで、最終的には、ご兄弟にも尋問に応じていただき、直接、気持ちや将来の介護に関する考えを述べてもらいました。
これらの対応の結果、裁判所は、高い水準の判決を出してくれました。
解決に至るまでに長い期間がかかりましたが、十分に納得できる解決が得られました。
近親者は、大変な思いで介護を続けながら、裁判のために資料の収集や状況の説明に協力していただくなど、多大な努力を続けてこられました。被害者に対する愛情を持ち続け、努力を続けた結果、よい解決を勝ち取ることができたのだと思います。
なお、本件では、被害者が事故後に成人になったため、ご家族からの依頼を受け、成年後見の手続も行いました。
交通事故に関連するあらゆる手続をサポートすることで、被害者やそのご家族の負担を軽くできたと思います。
 

【事案の概要】
被害者は、原動機付自転車に乗って、信号機の設置されていない交差点(被害者の側に一時停止規制あり)を直進しようとしました。このとき、交差道路の右側から進行してきた自動車と衝突しました。

この事故によって、被害者は、重症頭部外傷、遷延性意識障害、右大腿骨骨折などの重大な傷害を負いました。そして、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害が残ったため、常に介護が必要な状態になってしまいました。

【後遺障害等級】
この事案では、被害者が『遷延性意識障害』という重篤な後遺障害を負ったため、
  別表第一第1級1号
と認定されました。

【裁判の争点】
別表第一第1級1号という重篤な後遺障害等級が認定されたこと、過失割合に大きな争いがあったことなどを考慮し、訴訟を提起しました。
訴訟における争点は、多岐にわたりましたが、主な争点は、
・付添看護費
・将来介護費
・逸失利益における生活費控除の要否
でした。

【裁判所の認定】
1付添看護費の額
事故によって重篤な怪我を負ったため、被害者は、2年近くもの間、入院治療を受けました。この間、藤田医科大学病院で脊髄後索電気刺激治療(Dorsal column stimulation:DCS)を受けたり、大久野病院にて紙屋式看護を受けたりして、意識状態の回復を図るとともに、ご家族が看護技術を習得しました。
入院期間中、被害者は、遷延性意識障害の状態で、自分でできることは何もなかったため、常に介護が必要でした。また、意識状態の改善を図るため、積極的に刺激を与えることが重要でした。
一般的な基準では、付添看護費の額は、日額6000円前後と認定されるのが通常であり、高くても日額8000円にとどまる例が多いです。
これに対し、本件において、裁判所は、付添看護費を日額1万円と認定してくれました。
長期にわたって付添看護を続けていたご家族の負担は大きかったことから、一般的な裁判例よりも高額の付添看護費が認められた点は、高く評価してよいと思います。
2将来介護費
被害者は、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害を負ったため、日常生活において自分でできることはなく、日常生活のあらゆることに、24時間態勢の介護が必要な状態になりました。
近親者だけで全ての介護を担うことは不可能であり、日中は、介護施設に通ったり、訪問介護サービスを利用するなど、近親者の介護の負担を軽減するための介護スケジュールを組みました。介護サービスの利用は、被害者が多様な刺激を受ける機会を確保し、意識状態の改善を図るというリハビリ面での効果も期待できます。
裁判においては、介護サービスを利用し、介護費を負担し続けているので、十分な金額の将来介護費を認定すべきであると主張しました。
この結果、裁判所は、
[近親者の介護費]
日額  8000円
[職業介護人の介護費]
日額1万6000円
という介護費を認めてくれました。
3逸失利益における生活費控除の要否
被告は、被害者の状態が重篤であり、健常人と比較すれば、生活費などの支出額は少なくて済むなどと主張し、逸失利益の計算において50%の生活費を控除すべきと主張しました。
しかし、遷延性意識障害という重篤な障害を負っていても、障害回復のための刺激を与える必要があり、多種多様な触れ合いが必要であるから、生活費が少なくて済むとはいえない。また、遷延性意識障害からは脱却しつつあるため、生活費の支出は増加していくはずであるなどと主張しました。
裁判所は、被害者が生活費の支出を免れたとは認められないと判断してくれました。

【弁護士のコメント】
本判決は、かなり高額な付添看護費・将来介護費が認められている点が特徴です。
高額な付添看護費・将来介護費を認定をしてもらうため、
・ご家族から、事故後の経過、被害者の現状などを詳細に聴き取る
・カルテの内容の精査
などの準備をして、
・日常生活の全般について介護が必要であること
・24時間態勢の介護が必要であること
・介護の負担がとても重いこと
・介護サービスを利用する必要があること
などについて、詳細な主張立証を行いました。
介護に関する医学文献、将来的な介護費の変動に関する論文や資料などを数多く提出し、介護内容や態勢が、この被害者に特別なのではなく、重篤な後遺障害であれば一般的に必要とされていること立証しました。
これらの対応の結果、裁判所は、高い水準の判決を出してくれました。
解決に至るまでに長い期間がかかりましたが、十分に納得できる解決が得られました。 

【事案の概要】被害者は、自転車に乗り、青信号に従って、自転車横断帯が併設されている横断歩道上を走行し、道路を横断しようとしていました。この時、青信号に従って左折してきた自動車に衝突されました。
この事故によって、被害者は、左急性硬膜下血腫、脳挫傷、頭蓋骨骨折などの重大な傷害を負いました。そして、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害が残り、常に介護が必要な状態になってしまいました。

【後遺障害等級】
この事案では、被害者が『遷延性意識障害』という重篤な後遺障害を負ったため、
  別表第一第1級1号
と認定されました。
 
 【裁判の争点】
別表第一第1級1号という重篤な後遺障害等級が認定されたこと、ご家族も裁判による解決を望んでいたことから、訴訟を提起しました。
訴訟における争点は、多岐にわたりましたが、主な争点は、
  ・過失割合
  ・付添看護費の額
  ・将来介護費の額
  ・逸失利益における基礎収入の額
  ・近親者固有の慰謝料。中でも兄姉に慰謝料が認められるか。
でした。
これらの争点について、双方が詳細な主張を出し合った結果、訴訟の期間は、約3年にも及びました。
 
【提訴前に人身傷害保険を請求しなかった理由】
本件では、過失割合が主要な争点になると見込まれました。そして、ご家族が契約していた自動車保険に、本件で利用可能な人身傷害保険が付帯されていたため、提訴前に人身傷害保険の請求しておくことも可能でした。
しかし、被害者の過失は軽微で、0%となることも見込まれました。この場合に、人身傷害保険の請求を先行させてしまうと、裁判で認定される賠償金の額が少なくなって、被害者に不利益が生じる可能性が高いと考えられました。
そこで、提訴前には人身傷害保険を請求しないことにしました。
結果的に、被害者の過失は0%と認定されたため、人身傷害保険を請求する必要はありませんでした。
 
【裁判所の認定】
1 過失割合
被告は、被害者にも10%の過失があると主張してきました。
これに対し、原告は、加害者の一方的な過失によって事故が発生したのであり、被害者には落ち度がないから、被害者の過失割合は0%と認定すべきと主張しました。
裁判所は、先行車両の通過後、加害車両との間隙を縫って交差点を横断しようとした事故態様を前提とすれば、基本的に10%の過失相殺をすることが相当としました。しかし、被害者は、自転車横断帯を走行していたと同視できること、加害者は横断歩道及び自転車横断帯の手前で一時停止していないことから、被害者に有利に10%の修正を行い、最終的な被害者の過失割合を0%と認定しました。
2 付添看護費の額
事故によって重篤な怪我を負ったため、被害者は、2年以上もの期間、入院治療を受けました。
入院期間中、被害者は、遷延性意識障害の状態で、自分でできることは何もなかったため、常に介護が必要でした。また、意識状態の改善を図るため、積極的に刺激を与えることが重要でした。
事故当時、両親は就労していましたが、被害者が重篤な状態となったため、母が退職して付添看護に当たりました。また、父も、仕事後や休日に、付添看護を分担していました。
一般的な基準では、付添看護費の額は、日額6000円前後と認定されるのが通常であり、高くても日額8000円にとどまる例が多いです。
これに対し、本件において、裁判所は、退職した母の年収を考慮して、付添看護費を日額1万0289円と認定してくれました。
付添看護のため、母が退職して収入を失ったのですから、その収入を補填する金額が認められるべきだと思います。そして、一般的な裁判例よりも高額の付添看護費が認められた点は、高く評価してよいと思います。
 3 将来介護費
被害者は、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害を負ったため、日常生活において自分でできることはなく、日常生活のあらゆることに、24時間態勢の介護が必要な状態になりました。
近親者だけで全ての介護を担うことは不可能であり、日中は、介護施設に通ったり、訪問介護サービスを利用するなど、近親者の介護の負担を軽減するための介護スケジュールを組みました。介護サービスの利用は、被害者が多様な刺激を受ける機会を確保し、意識状態の改善を図るというリハビリ面での効果も期待できます。
裁判においては、介護サービスを利用し、介護費を負担し続けているので、十分な金額の将来介護費を認定すべきであると主張しました。また、介護サービスを利用するために必要な費用の水準は、将来的に低額化する可能性はなく、むしろ高額化する可能性があるから、少なくとも現状が維持されることを前提として介護費の額を認定すべきと強く主張しました。
この結果、裁判所は、
    週5日   介護サービス+近親者
    週2日   近親者のみ
という介護態勢を前提として、
    職業介護人の介護費   月額58万円 (月22日換算で1日あたり約2万6000円)
    近親者の介護費     週5日  8000円
                週2日  1万円
 という高額な費用を認めてくれました。
 4 逸失利益における基礎収入の額
事故当時、被害者は、14歳で、中学校に在学中でした。このため、いわゆる『年少女子』に該当するとして基礎収入を男女を併せた全労働者の平均賃金とすべきであると主張しました。
これに対し、被告は、男女の賃金格差は厳然と存在しており、格差が解消する傾向にもないなどと主張して、女性の全年齢平均賃金を採用すべきと主張しました。
裁判所は、人の労働能力には個人差はあっても性差は存在しないこと、年少者は多様な就労可能性を有していることなどを指摘して、男女を併せた全労働者の平均賃金を基礎収入としました。 
5 近親者固有の慰謝料
民法711条は、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。」と定めています。
この規定を前提として、本件では、兄姉に対しても慰謝料が認められるのかが問題となりました。被告は、民法711条に兄姉は規定されていないから、慰謝料は認められないと主張してきました。
これに対し、原告は、被害者が遷延性意識障害となった場合に、兄姉が精神的苦痛を負わないはずがないなどと主張するとともに、兄姉の尋問を実施し、事故による精神的苦痛、生活の変化による苦しみ、将来も被害者の介護に関わっていく覚悟などを明らかにしてもらいました。
この結果、兄姉にも各200万円の慰謝料が認められました。
なお、両親に対しては各400万円の慰謝料が認められています。
  
【弁護士のコメント】
本判決の特徴の1つは、かなり高額な付添看護費・将来介護費が認められている点だと思います。高額な付添看護費・将来介護費を認定をしてもらうため、
   ご家族から、事故後の経過、被害者の現状などを詳細に聴き取る
   カルテの内容の精査
   主治医から、被害者の状態、介護で注意すべきポイントを聞き取る
などの準備をして、
   日常生活の全般について介護が必要であること
   24時間態勢の介護が必要であること
   介護の負担がとても重いこと
   介護サービスを利用する必要があること
などについて、詳細な主張立証を行いました。
介護に関する医学文献、将来的な介護費の変動に関する論文や資料などを数多く提出し、介護内容や態勢が、この被害者に特別なのではなく、重篤な後遺障害であれば一般的に必要とされていること立証しました。 
また、兄姉の慰謝料については、「条文に記載されていないから認められない」という流れがあることに疑問を感じていました。
そこで、最終的には、ご兄弟にも尋問に応じていただき、直接、気持ちや将来の介護に関する考えを述べてもらいました。
これらの対応の結果、裁判所は、高い水準の判決を出してくれました。
解決に至るまでに長い期間がかかりましたが、十分に納得できる解決が得られました。
近親者は、大変な思いで介護を続けながら、裁判のために資料の収集や状況の説明に協力していただくなど、多大な努力を続けてこられました。被害者に対する愛情を持ち続け、努力を続けた結果、よい解決を勝ち取ることができたのだと思います。
なお、本件では、被害者が事故後に成人になったため、ご家族からの依頼を受け、成年後見の手続も行いました。
交通事故に関連するあらゆる手続をサポートすることで、被害者やそのご家族の負担を軽くできたと思います。
 

被害者は、原動機付自転車に乗って、信号機の設置されていない交差点(被害者の側に一時停止規制あり)を直進しようとしました。このとき、交差道路の右側から進行してきた自動車と衝突しました。
 この事故によって、被害者は、重症頭部外傷、遷延性意識障害、右大腿骨骨折などの重大な傷害を負いました。そして、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害が残ったため、常に介護が必要な状態になってしまいました。

【後遺障害等級】
この事案では、被害者が『遷延性意識障害』という重篤な後遺障害を負ったため、
  別表第一第1級1号
と認定されました。

【裁判の争点】
別表第一第1級1号という重篤な後遺障害等級が認定されたこと、過失割合に大きな争いがあったことなどを考慮し、訴訟を提起しました。
訴訟における争点は、多岐にわたりましたが、主な争点は、
 ・付添看護費
 ・将来介護費
 ・逸失利益における生活費控除の要否
でした。

【裁判所の認定】
1 付添看護費の額
事故によって重篤な怪我を負ったため、被害者は、2年近くもの間、入院治療を受けました。この間、藤田医科大学病院で脊髄後索電気刺激治療(Dorsal column stimulation:DCS)を受けたり、大久野病院にて紙屋式看護を受けたりして、意識状態の回復を図るとともに、ご家族が看護技術を習得しました。
入院期間中、被害者は、遷延性意識障害の状態で、自分でできることは何もなかったため、常に介護が必要でした。また、意識状態の改善を図るため、積極的に刺激を与えることが重要でした。
一般的な基準では、付添看護費の額は、日額6000円前後と認定されるのが通常であり、高くても日額8000円にとどまる例が多いです。
これに対し、本件において、裁判所は、付添看護費を日額1万円と認定してくれました。
長期にわたって付添看護を続けていたご家族の負担は大きかったことから、一般的な裁判例よりも高額の付添看護費が認められた点は、高く評価してよいと思います。
2 将来介護費
被害者は、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害を負ったため、日常生活において自分でできることはなく、日常生活のあらゆることに、24時間態勢の介護が必要な状態になりました。
近親者だけで全ての介護を担うことは不可能であり、日中は、介護施設に通ったり、訪問介護サービスを利用するなど、近親者の介護の負担を軽減するための介護スケジュールを組みました。介護サービスの利用は、被害者が多様な刺激を受ける機会を確保し、意識状態の改善を図るというリハビリ面での効果も期待できます。
裁判においては、介護サービスを利用し、介護費を負担し続けているので、十分な金額の将来介護費を認定すべきであると主張しました。
この結果、裁判所は、
   近親者の介護費     日額  8000円
   職業介護人の介護費   日額1万6000円
という介護費を認めてくれました。
3 逸失利益における生活費控除の要否
被告は、被害者の状態が重篤であり、健常人と比較すれば、生活費などの支出額は少なくて済むなどと主張し、逸失利益の計算において50%の生活費を控除すべきと主張しました。
しかし、遷延性意識障害という重篤な障害を負っていても、障害回復のための刺激を与える必要があり、多種多様な触れ合いが必要であるから、生活費が少なくて済むとはいえない。また、遷延性意識障害からは脱却しつつあるため、生活費の支出は増加していくはずであるなどと主張しました。
裁判所は、被害者が生活費の支出を免れたとは認められないと判断してくれました。

【弁護士のコメント】
本判決は、かなり高額な付添看護費・将来介護費が認められている点が特徴です。
高額な付添看護費・将来介護費を認定をしてもらうため、
 ・ご家族から、事故後の経過、被害者の現状などを詳細に聴き取る
 ・カルテの内容の精査
などの準備をして、
 ・日常生活の全般について介護が必要であること
 ・24時間態勢の介護が必要であること
 ・介護の負担がとても重いこと
 ・介護サービスを利用する必要があること
などについて、詳細な主張立証を行いました。
介護に関する医学文献、将来的な介護費の変動に関する論文や資料などを数多く提出し、介護内容や態勢が、この被害者に特別なのではなく、重篤な後遺障害であれば一般的に必要とされていること立証しました。
これらの対応の結果、裁判所は、高い水準の判決を出してくれました。
解決に至るまでに長い期間がかかりましたが、十分に納得できる解決が得られました。 

Ⅴ.交通医療研究会レジュメ

交通医療研究会で取り上げたテーマの中で、遷延性意識障害に関連するレジュメを掲載しておきます。ご参考になれば幸いです。

Ⅴ.交通医療研究会レジュメ

交通医療研究会で取り上げたテーマの中で、遷延性意識障害に関連するレジュメを掲載しておきます。ご参考になれば幸いです。