だいち法律事務所

  遷延性意識障害 Cases3

 

 遷延性意識障害
後遺障害等級:1級1号
確定年:平成31年4月22日和解
裁判所:山口地方裁判所

【事案の概要】
被害者は、自転車に乗り、車道の右端を走行していました。そこに、前方から普通貨物自動車が進行してきて、すれ違う時点で、自転車がバランスを崩して転倒し、被害者と貨物自動車が衝突しました。
この事故によって、被害者は、外傷性くも膜下出血、脳幹挫傷、頚椎損傷などの重大な傷害を負いました。そして、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害が残り、常に介護が必要な状態になってしまいました。

後遺障害等級

この事案では、被害者が『遷延性意識障害』という重篤な後遺障害を負ったたため、
  別表第一第1級1号
と認定されました。

  裁判の争点

訴訟前の段階で、保険会社は、
・運転者は、被害者の転倒を予測することはできなかった
・運転者は、衝突を回避することもできなかった
として、運転者は「無責である」(責任を負わない)と主張してきました。
しかし、この保険会社の主張は、ご家族には受け入れ難いものでした。また、別表第一第1級1号という重篤な後遺障害等級が認定されたこともあって、訴訟による解決を図ることになりました。
訴訟における争点は、多岐にわたりましたが、主な争点は、
・運転者の責任の有無(=過失割合)
・将来治療費と将来介護費の額
・逸失利益における基礎収入の額
でした。

提訴前に人身傷害保険を請求した理由

本件では、相手車両の運転者が「有責」か否か、有責とされた場合には過失割合が主要な争点になると見込まれました。そして、本件事故に適用される人身傷害保険がありました。
いつの段階で人身傷害保険を請求するのか検討したのですが、
・被害者の過失がそれなりに大きいと見込まれていた
・被害者が別表第一第1級1号に認定されており、過失相殺によって減額される金額が大きくなると見込まれていた
などの事情を考慮して、提訴前に人身傷害保険の請求を行いました。
また、適用される人身傷害保険の約款には、倍額条項があり、被害者が別表第一第1級1号に認定されていたため、倍額の人身傷害保険金を受領することができました。  

裁判所の認定

1 過失割合

被告は、運転者は「無責である」と主張してきました。
これに対し、原告は、事故前後の被害者の動きから、運転者は被害者がバランスを崩して転倒することも予見可能であり、適切な回避行動をとっていれば事故を回避できる可能性があったなどと主張しました。また、原告は、工学鑑定の専門家に、事故態様の解析を依頼し、事故の発生状況を詳しく立証しました。
裁判所は、原告の主張を認めてくれ、加害者には過失があることを前提として、和解案を作成してくれました。 

2 将来治療費・将来介護費

被害者は、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害を負ったため、日常生活において自分でできることはなく、日常生活のあらゆることに、24時間態勢の介護が必要な状態になりました。
ご家族は、自宅での介護は難しいと考えて、医療機関への入院を続けさせることを決断しました。このため、医療機関への入院に必要な費用として、現実に要している費用を請求しました。
なお、原告が請求した金額は、
 『治療費』  健康保険の適用前の治療費の総額(100%)
 『介護費』  障害者総合支援法などの適用前の介護費の総額(100%)
としました。
この結果、裁判所は、
 将来治療費    月70万円
 将来介護費    月24万円
という高額な費用がかかることを前提として、和解案を提示してくれました。

3 逸失利益における基礎収入の額

事故当時、被害者は、高校生でした。このため、原告は、いわゆる『年少女子』に該当するとして基礎収入を男女を併せた全労働者の平均賃金とすべきであると主張しました。
これに対し、被告は、男女の賃金格差は厳然と存在しており、格差が解消する傾向にもないなどと主張して、女性の全年齢平均賃金を採用すべきと主張しました。
裁判所は、原告の主張を前提として逸失利益を算定してくれました。

弁護士のコメント

1 検察審査会への申立

本件事故について、保険会社は、貨物自動車の運転者は「無責」であると主張していました。この主張からも分かるとおり、本件事故においては、被害者にも相応の過失があると見込まれる事案でした。
そして、刑事手続において、検察庁は、運転者を不起訴処分としました。
この処分について、被害者のご家族は、
・被害者が重篤な怪我を負ているのに、運転者に処分が科されないことに納得できない。
・不起訴処分では、実況見分調書しか入手できない。特に、2名の目撃者がいたのに、その供述内容を把握できず、詳細な事故状況が把握できない。
などの不満を持っていました。
このため、まず、検察官に面談し、不起訴処分として理由について説明を受けた後、検察審査会に審査の申立を行いました。
結果的に、不起訴処分は覆りませんでしたが、刑事手続について積極的な対応をしたことはご家族から高く評価していただきました。

2 運転者の責任の有無(=過失割合)

運転者の責任の有無は、本事案の重大な争点でした。
ご家族は、被害者が重篤な後遺障害を負ったにもかかわらず、運転者が「無責」となることは受け入れられませんでした。
原告は、運転者の有責を立証するため、
・事故現場で行われた実況見分を再現し、①地点、㋐地点などのコーンを設置
・事故現場の写真撮影
・走行する車内からのビデオ撮影
を行いました。
また、原告は、工学鑑定の専門家に、事故態様の解析を依頼し、事故の発生状況を詳しく立証しました。
この結果、裁判所は、原告の主張を認め、加害者には過失があることを前提として、和解案を作成してくれました。

3 将来治療費・将来介護費

本件の特徴の1つは、かなり高額な将来治療費・将来介護費を認めることを前提とした和解となっていることです。
原告は、高額な将来治療費・将来介護費を認定をしてもらうため、
・ご家族から、事故後の経過、被害者の現状などを詳細に聴き取る
・現実に要している費用に関する資料の収集
・治療費・介護費の総額を前提として認定している裁判例の調査
などの準備を行いました。
この結果、十分に裁判所を説得できたのだと考えています。

4 受取金額

和解が成立した結果、被害者は、少なくとも、
 自賠責保険金      4000万円
 人身傷害保険金     6000万円
 和解金         1500万円
 合計        1億1500万円
を受け取ることができました。

5 成年後見のサポート

本件では、被害者が事故後に成人になったため、ご家族からの依頼を受け、成年後見の手続も行いました。

 
 

 遷延性意識障害
後遺障害等級:1級1号 確定年:平成31年4月22日和解 裁判所:山口地方裁判所

【事案の概要】
被害者は、自転車に乗り、車道の右端を走行していました。そこに、前方から普通貨物自動車が進行してきて、すれ違う時点で、自転車がバランスを崩して転倒し、被害者と貨物自動車が衝突しました。
この事故によって、被害者は、外傷性くも膜下出血、脳幹挫傷、頚椎損傷などの重大な傷害を負いました。そして、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害が残り、常に介護が必要な状態になってしまいました。

後遺障害等級

この事案では、被害者が『遷延性意識障害』という重篤な後遺障害を負ったたため、
  別表第一第1級1号
と認定されました。

  裁判の争点

訴訟前の段階で、保険会社は、
・運転者は、被害者の転倒を予測することはできなかった
・運転者は、衝突を回避することもできなかった
として、運転者は「無責である」(責任を負わない)と主張してきました。
しかし、この保険会社の主張は、ご家族には受け入れ難いものでした。また、別表第一第1級1号という重篤な後遺障害等級が認定されたこともあって、訴訟による解決を図ることになりました。
訴訟における争点は、多岐にわたりましたが、主な争点は、
・運転者の責任の有無(=過失割合)
・将来治療費と将来介護費の額
・逸失利益における基礎収入の額
でした。

提訴前に人身傷害保険を請求した理由

本件では、相手車両の運転者が「有責」か否か、有責とされた場合には過失割合が主要な争点になると見込まれました。そして、本件事故に適用される人身傷害保険がありました。
いつの段階で人身傷害保険を請求するのか検討したのですが、
・被害者の過失がそれなりに大きいと見込まれていた
・被害者が別表第一第1級1号に認定されており、過失相殺によって減額される金額が大きくなると見込まれていた
などの事情を考慮して、提訴前に人身傷害保険の請求を行いました。
また、適用される人身傷害保険の約款には、倍額条項があり、被害者が別表第一第1級1号に認定されていたため、倍額の人身傷害保険金を受領することができました。  

裁判所の認定

1 過失割合

被告は、運転者は「無責である」と主張してきました。
これに対し、原告は、事故前後の被害者の動きから、運転者は被害者がバランスを崩して転倒することも予見可能であり、適切な回避行動をとっていれば事故を回避できる可能性があったなどと主張しました。また、原告は、工学鑑定の専門家に、事故態様の解析を依頼し、事故の発生状況を詳しく立証しました。
裁判所は、原告の主張を認めてくれ、加害者には過失があることを前提として、和解案を作成してくれました。 

2 将来治療費・将来介護費

被害者は、遷延性意識障害などの重篤な後遺障害を負ったため、日常生活において自分でできることはなく、日常生活のあらゆることに、24時間態勢の介護が必要な状態になりました。
ご家族は、自宅での介護は難しいと考えて、医療機関への入院を続けさせることを決断しました。このため、医療機関への入院に必要な費用として、現実に要している費用を請求しました。
なお、原告が請求した金額は、
 『治療費』  健康保険の適用前の治療費の総額(100%)
 『介護費』  障害者総合支援法などの適用前の介護費の総額(100%)
としました。
この結果、裁判所は、
 将来治療費    月70万円
 将来介護費    月24万円
という高額な費用がかかることを前提として、和解案を提示してくれました。

3 逸失利益における基礎収入の額

事故当時、被害者は、高校生でした。このため、原告は、いわゆる『年少女子』に該当するとして基礎収入を男女を併せた全労働者の平均賃金とすべきであると主張しました。
これに対し、被告は、男女の賃金格差は厳然と存在しており、格差が解消する傾向にもないなどと主張して、女性の全年齢平均賃金を採用すべきと主張しました。
裁判所は、原告の主張を前提として逸失利益を算定してくれました。

弁護士のコメント

1 検察審査会への申立

本件事故について、保険会社は、貨物自動車の運転者は「無責」であると主張していました。この主張からも分かるとおり、本件事故においては、被害者にも相応の過失があると見込まれる事案でした。
そして、刑事手続において、検察庁は、運転者を不起訴処分としました。
この処分について、被害者のご家族は、
・被害者が重篤な怪我を負ているのに、運転者に処分が科されないことに納得できない。
・不起訴処分では、実況見分調書しか入手できない。特に、2名の目撃者がいたのに、その供述内容を把握できず、詳細な事故状況が把握できない。
などの不満を持っていました。
このため、まず、検察官に面談し、不起訴処分として理由について説明を受けた後、検察審査会に審査の申立を行いました。
結果的に、不起訴処分は覆りませんでしたが、刑事手続について積極的な対応をしたことはご家族から高く評価していただきました。

2 運転者の責任の有無(=過失割合)

運転者の責任の有無は、本事案の重大な争点でした。
ご家族は、被害者が重篤な後遺障害を負ったにもかかわらず、運転者が「無責」となることは受け入れられませんでした。
原告は、運転者の有責を立証するため、
・事故現場で行われた実況見分を再現し、①地点、㋐地点などのコーンを設置
・事故現場の写真撮影
・走行する車内からのビデオ撮影
を行いました。
また、原告は、工学鑑定の専門家に、事故態様の解析を依頼し、事故の発生状況を詳しく立証しました。
この結果、裁判所は、原告の主張を認め、加害者には過失があることを前提として、和解案を作成してくれました。

3 将来治療費・将来介護費

本件の特徴の1つは、かなり高額な将来治療費・将来介護費を認めることを前提とした和解となっていることです。
原告は、高額な将来治療費・将来介護費を認定をしてもらうため、
・ご家族から、事故後の経過、被害者の現状などを詳細に聴き取る
・現実に要している費用に関する資料の収集
・治療費・介護費の総額を前提として認定している裁判例の調査
などの準備を行いました。
この結果、十分に裁判所を説得できたのだと考えています。

4 受取金額

和解が成立した結果、被害者は、少なくとも、
 自賠責保険金      4000万円
 人身傷害保険金     6000万円
 和解金         1500万円
 合計        1億1500万円
を受け取ることができました。

5 成年後見のサポート

本件では、被害者が事故後に成人になったため、ご家族からの依頼を受け、成年後見の手続も行いました。