脊髄損傷
後遺障害等級:1級1号
解決:平成30年1月31日和解
裁判所:大阪地方裁判所堺支部
【事案の概要】
被害者は、バイクに乗って交差点を直進しようとしたところ、同じ交差点を右折してきた自動車と衝突しました。
この事故によって、被害者は、頚髄損傷などの怪我を負いました。この頚髄損傷によって、被害者は、四肢の運動障害・感覚障害、排尿排便障害麻痺となり、身の回りの動作に常に他人の介護が必要な状態になってしまいました。
受任後の対応 | 被害者から、ご依頼を頂いたのは、これから加害者の刑事手続が進み始めるという早い時点でした。 被害者とご家族は、加害者に厳罰を科すことを希望していたため、起訴前から検察官と連絡を取り合いました。そして、加害者が起訴された後は、被害者参加制度を利用し、加害者の刑事手続に関与しました。 刑事裁判では、加害者に対して被告人質問を行うなどして、事故状況の詳細を明らかにしたり、事故後の対応の意図や反省の有無を問い質しました。 |
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後遺障害等級 | 被害者は、『脊髄損傷』によって四肢麻痺という重篤な後遺障害を負ったため、 別表第一第1級1号 と認定されました。 |
裁判の争点 | 自賠責保険によって後遺障害等級が認定された後、訴訟を提起しました。重篤な後遺障害を負っていたこと、被害者が過失割合に強いこだわりを持っていたことなどの事情から訴訟による解決を選択しました。 訴訟における争点は、多岐にわたりましたが、主な争点は、 ・将来介護費の金額 ・自宅を新築する必要性 ・過失割合 でした。 |
裁判所の認定 |
1 将来介護費
被害者は、重篤な後遺障害を負ったため、全ての日常生活に介護が必要な状態になっていました。 2 自宅を新築する必要性 事故前から被害者が居住していた自宅は、親族から賃借していた物件でした。この自宅は、傾斜地に建てられていたため、道路と自宅敷地に大きな段差があり、車いすで出入りすることが困難でした。また、自宅の内部にも段差が多くありましたが、賃借物件だったことから、大幅なバリアフリー化は困難でした。 3 過失割合 被告(保険会社)は、被害者に25%の過失があると主張しました。 |
弁護士のコメント | この事案では、事故直後の早い段階からご依頼を頂きました。このため、刑事裁判への対応から、損害賠償請求事件の解決まで、交通事故において生じる全ての段階における法的対応に当たらせていただきました。
1 刑事手続 検察庁と裁判所に対し、ご家族が厳罰を望んでられることを明確に伝えました。そして、加害者が起訴された後は、被害者参加制度を利用し、できるかぎり多くの記録(資料)を入手して検討を加え、公判廷で実施された被告人質問において、事故前後の状況、事故態様などについて質問し、事実を明らかにしました。 2 損害賠償請求手続 被害者が重篤な後遺障害を負っていたこと、被害者やご家族が過失割合に強いこだわりを持っていたことなどの事情から訴訟による解決を選択しました。 3 自動車事故対策機構(NASVA)への介護料請求 別表第一第1級1号に認定されれば、自動車事故対策機構から介護料の支給を受けることができます。 |