高次脳機能障害
後遺障害等級:3級
解決:令和4年10月26日示談 大阪エリア
【事案の概要】
被害者は、青信号に従って、横断歩道上を徒歩で横断していたところ、同一方向に向かって進行しながら右折してきたトラックに衝突されました。
この衝突によって、被害者は、外傷性くも膜下出血・急性硬膜下血腫・脳挫傷などの怪我を負った結果、記憶障害・注意障害・失語(喚語困難)を主たる症状とする高次脳機能障害が残ってしまいました。
後遺障害等級 | 自賠責保険に対する被害者請求手続を行った結果、高次脳機能障害について、以下の通りの認定がなされました。 この認定結果は、被害者の状態を適切に認定していると考えられました。 頭部外傷後の神経系統の機能又は精神の障害については、後遺障害診断書上、「高次脳機能障害」との傷病名のもと、記憶障害、心気的訴えとの自覚症状が記載されています。 この点、提出の頭部画像上、左前頭葉~側頭葉にかけて広範囲に脳挫傷痕や脳室拡大が認められ、また、受傷当初から意識障害が継続して認められることやその後の症状経過を踏まえれば、本件事故に起因する脳外傷による高次脳機能障害や身体性機能障害が残存しているものと捉えられます。 そして、その障害程度については、診断書上、「喚語困難は以前よりスムーズに表出できているが、自身と関連のない言葉に関しては喚語できない。」等との記載が認められ、「神経系統の障害に関する医学的意見」上、身の回り動作能力について、更衣動作、排尿・排尿動作、排便・排便動作、入浴動作は「ときどき介助・見守り・声かけ」とされ、症状が社会生活・日常生活に与える影響については、「失認、失行を認める。日常生活は常に援助必要」との記載が認められることや、その他「日常生活状況報告」の記載内容等を踏まえて、総合的に評価すれば、神経系統の機能又は精神の障害により、生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、労務に服することができないものと捉えられることから、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」として別表第二第3級3号に該当するものと判断します。 |
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示談交渉 | 本件では、別表第二第3級3号という重度の後遺障害等級が認定されたことから、訴訟によって損害賠償請求の解決を図ることも検討しました。 しかし、種々の事情を考慮した結果、ひとまず示談交渉を行い、その結果を考慮した上で、示談に応じるか、訴訟による解決に進むかを判断することになりました。 以下、示談交渉で主に争いになった点について解説します。 1.付添看護費、通院費、休業損害、逸失利益、入通院慰謝料 これらの損害項目について、保険会社は、こちらが請求した金額を認めてくれました。 2.将来介護費 被害者は、退院後、介護施設に入居しており、将来的にも介護施設に入居し続けることが見込まれました。 施設への入居にかかる費用を考慮した結果、将来介護費として日額9500円を請求しました。 これに対して、保険会社は、日額8000円を認めてくれました。 3.将来介護費 こちらからは後遺障害慰謝料2000万円に加え、近親者の固有の慰謝料として200万円を請求しました。 これに対して、保険会社は、近親者慰謝料は認めなかったものの、後遺障害慰謝料は2000万円を認めてくれました。 |
弁護士のコメント | 1.後遺障害等級 だいち法律事務所は、適正な後遺障害等級の認定を獲得することを重視しています。 後遺障害等級は、損害額を算定する際、 ・逸失利益の労働能力喪失率 ・将来介護費の金額 ・後遺障害慰謝料 などの認定に大きく影響するため、適切な後遺障害等級を認定してもらうことが非常に重要だからです。 本件では、当初から、高次脳機能障害が別表第二第3級3号に該当すると認定されました。被害者の状態を前提とすれば、この認定は適切な評価を行っていると判断できたため、異議申立や自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理申請は行わないことになりました。 2.示談交渉 本件では、示談交渉を選択することになりました。 できる限り賠償金を増額するため、保険会社側と粘り強く交渉を続けました。 この結果、納得できる金額で示談を成立させることができました。 3.まとめ 適切な賠償金を支払ってもらうためには、保険会社との示談交渉において、ポイントを突いた金額提示を行ったり、粘り強い交渉を続けることが重要です。 だいち法律事務所では、これまでの実績・経験から、保険会社とは粘り強く、徹底した交渉を行うことができます。 本件では、十分な成果が得られました。被害者に十分にご満足いただくことができたと思います。 |