解決:令和7年3月17日示談
京都エリア
【事案の概要】
被害者は、終業後、帰宅するため、信号機の設置されていない横断歩道上を歩いて横断していました。
原動機付自転車を運転していた加害者は、進行方向の安全確認を怠った結果、前方を横断している被害者を見落とし、原動機付自転車を衝突させてしまいました。
この衝突によって、被害者は、外傷性くも膜下出血・急性硬膜外血腫・脳挫傷などの怪我を負い、高次脳機能障害7級・嗅覚脱失12級(併合6級)と認定されました。
被害者は、復職後も減収が生じていなかったため、後遺障害等級・労働能力喪失率が問題となりました。
後遺障害等級 | 事故当時、被害者は、就労していました。 本件事故によって、被害者は、重篤な頭部外傷を負ったものの、本人が懸命に努力した結果、元の職場に復帰することができました。 復職後、業務の手順が覚えられない、効率的に業務を遂行できないなどの問題がありました。ですが、体調が思わしくない中でも同僚よりも遅い時間まで残って仕事を終えるようにしたなどの努力によって、減収が生じていませんでした。 このような事情があったため、高次脳機能障害に関する後遺障害等級がどのように評価されるかが懸念されました。本人や家族から詳細に日常生活の状況・職場での就労状況を聞き取り、日常生活状況報告の別紙としてまとめました。 その結果、被害者の後遺障害の実態を正確に評価してもらうことができ、高次脳機能障害について7級、嗅覚脱失について12級(併合6級)の認定を得ることができました。 |
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示談交渉の経過 | 本件では、被害者やそのご家族の希望、訴訟を提起した場合の解決見込みなどを検討した結果、まずは訴訟による解決ではなく、示談による解決を目指すことになりました。 示談交渉では、こちらが提示した金額がほぼ認められ、十分な水準での合意が可能になりました。このため、最終的に、示談によって解決することとし、提訴はしないことになりました。 以下、示談交渉で主に争いになった点について解説します。 1 逸失利益 保険会社は、逸失利益について、 ・ 復職していること ・ 減収が生じていないこと ・ 嗅覚脱失は就労に影響しないこと を考慮して、自賠責保険で認定された後遺障害等級(併合6級)に相当する労働能力喪失率を認めることに難色を示してきました。 しかし、粘り強く交渉した結果、 ・ 労働能力喪失率を引き下げるものの、45%(8級相当)とする ことでまとまりました。 この点では、とても有利に解決できたと考えています。 2 後遺障害慰謝料 併合6級の基準通りに認めてもらうことができました。 3 過失割合 保険会社は、夜間の事故だったことを理由に、被害者の過失割合を5%とすることを主張してきました。 しかし、横断歩道上を歩いていたこと、過失割合があるとなれば示談は困難であることを主張した結果、過失相殺は行わないことで合意することができました。 |
弁護士のコメント | 1 後遺障害等級 だいち法律事務所では、適正な後遺障害等級を認定してもらうことを重視しています。 後遺障害等級は、損害額を算定する際、 ・ 逸失利益の労働能力喪失率 ・ 後遺障害慰謝料 などの認定に大きく影響するためです。 だからこそ、適切に認定してもらうための情報・資料は、可能な限り集めるように努めています。本件でも、被害者やご家族から、被害者の就労における情報を詳しく確認しました。 また、後遺障害診断書などの医学的資料についても、しっかりと内容をチェックし、被害者の実態が分かるような記載になるように働きかけています。 本件では、職場に復帰していながらも、高次脳機能障害について7級の認定を受けることができました。嗅覚脱失(12級)も認定されたため、併合6級の認定となり、十分な成果が得られたと考えています。 2 示談交渉 本件では、被害者やそのご家族の希望、訴訟を提起した場合の解決見込みなどを検討した結果、まずは訴訟による解決ではなく、示談による解決を目指すことになりました。 ですが、保険会社の提示額で安易に合意することは避け、被害者に満足してもらえる額の賠償金を確保するため、保険会社側と粘り強く交渉を続けました。 示談交渉では、こちらが提示した金額がほぼ認められ、十分な水準での合意が可能になりました。このため、最終的に、示談によって解決することとし、提訴はしないことになりました。 3 まとめ 交通事故における損害賠償請求において、納得できる解決を図るためには、適切な後遺障害等級を認定してもらうことが重要です。 また、示談交渉においても、安易に妥協することなく、こちらの主張を粘り強く主張することが重要です。 だいち法律事務所では、これらの点において妥協することなく、徹底して対応しています。 本件では、十分な成果を得ることができ、被害者やご家族に満足して頂くことができました。勝ち取った成果を十分に評価していただき、担当した弁護士として、とても嬉しく思いました。 |