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  死亡事故 Cases7
 

死亡事故
解 決:令和3年11月9日和解
裁判所:大阪高等裁判所

【事案の概要】
被害者(中学生)は、信号・横断歩道が設置されていない見通しの悪い交差点を横断しようとした際、交差道路から進行してきた自動車に出会い頭に衝突されました。

この事故によって、被害者は、頭部に強い衝撃を受けた結果、脳挫傷などを負って死亡しました。

自賠責保険の請求手続きを行わなかったこと

1自賠責保険金の請求について

後遺障害事案では、症状固定を待たなければ自賠責保険金の請求手続ができません。これに対し、死亡事故では、早い段階で自賠責保険金の請求が可能になります。

しかし、請求が可能になることと、すぐに請求すべきかどうかは、全く別の問題です。自賠責保険金を請求するか否かは、以下の事情を考慮して慎重に判断すべきです。

①ご遺族の経済状況

世帯で収入を得ていた唯一の存在が死亡した場合、その世帯は収入を失い、残された遺族は経済的に困窮してしまいます。このような場合には、ご遺族の生活の維持を最優先に考え、早期に、自賠責保険金の請求手続を行うべきです。

これに対し、ご遺族が経済的に困窮していなけれは、早い段階で自賠責保険金の請求手続を行う必要はありません。

②損害賠償手続への影響 

害賠償請求を裁判手続で解決する場合、弁護士費用・遅延損害金が加算された金額を受け取れます。

ところが、早い段階で自賠責保険金を受領していると、以後、受領した金額について遅延損害金が発生しなくなります。また、裁判所が認めてくれる弁護士費用の額も少なくなります。

加害者から受領できる賠償金の金額を最大化するのであれば、自賠責保険金を受領しないままで提訴すべきなのです。

2本件での対応

本件では、被害者の死亡後も、ご遺族は経済的に困窮していませんでした。また、被害者が年少者だったことなどの事情もあって、損害賠償請求訴訟を提起することが見込まれていました。

裁判の争点

この裁判における主な争点は、以下のとおりでした。

1過失割合

加害者(被告)は、被害者には少なくとも20%の過失があると主張し、過失相殺を主張してきました。

2慰謝料

死亡慰謝料と相続人の固有の慰謝料の金額が争点になりました。

裁判所の認定

1過失相殺 

被告は、

・見通しの悪い交差点での事故だったこと

・被害者が走って交差点に進入したこと

・被害者が安全確認を怠っていこと

などを主張し、被害者には少なくとも20%の過失があると主張してきました。

これに対し、ご遺族(原告)は、

・加害車両が制限速度を15㎞/h以上も超過していたこと

・見とおしが悪い交差点において徐行しなかったこと

・加害者が安全確認義務を怠ったこと

・中学校に面した道路での事故だったこと

などを主張し、被害者に過失はないと主張しました。

①地方裁判所の認定

地方裁判所は、本件事故の過失割合について、被告に80%の責任があると判断しました。

②高等裁判所の認定

地方裁判所の認定を不服として、控訴しました。

そして、あらめて過失割合について主張を行ったところ、高等裁判所は、被告の過失を90%に変更しました。
2慰謝料

被告は、原告が請求していた慰謝料が高額すぎると主張するとともに、遺族固有の慰謝料を認めるべきではないと主張していました。

これに対し、こちらは、以下の事情を詳細に主張し、高額な慰謝料を認めるべきであるし、遺族固有の慰謝料を認めるべきであると主張しました。

・本件事故態様の悪質性を十分に考慮すべきこと

・被告の謝罪などの対応が不十分であること

・ご遺族が多大な精神的苦痛を受けていること

裁判所は、以下の通りの慰謝料を認定しました。合計額は2440万円です。

・被害者本人の慰謝料   2200万円

・両親の慰謝料      各120万円

弁護士のコメント

1自賠責保険の請求

すでに説明した通り、死亡事故では、自賠責保険金の請求手続を行うことは必要とされていません。請求手続を行うべきか否かは、
①ご遺族の経済状況
②損害賠償手続への影響
を考慮して決めてください。
そして、加害者から受領できる賠償金を最大化するためには、請求手続をしないという選択をすべき場合もあることを理解していただきたいと思います。
本件では、自賠責保険金を受領しなかった結果、自賠責保険金の相当額(本件では約3000万円)について、
・『弁護士費用』が認定された
・『遅延損害金』を受領できた
という成果を得ました。
この点について、コラム(死亡事故①自賠責保険の請求)でも詳しく説明していますので、ご覧ください。

2損害賠償請求手続

地方裁判所の判決では、被害者の過失が20%と認定されました。

主にこの点を不服として控訴した結果、高等裁判所では、被害者の過失を10%に修正する前提で、和解を成立させることができました。

結果として、受け取れる賠償金の額を大きく増やすことができました。

3最後に

ご遺族は、地裁判決を不服として控訴することを了承してくれました。

粘り強く対応した結果、高等裁判所による過失割合の修正を勝ち取ることができました。

 

死亡事故
解決:令和3年11月9日和解 裁判所:大阪高等裁判所

【事案の概要】
被害者(中学生)は、信号・横断歩道が設置されていない見通しの悪い交差点を横断しようとした際、交差道路から進行してきた自動車に出会い頭に衝突されました。
この事故によって、被害者は、頭部に強い衝撃を受けた結果、脳挫傷などを負って死亡しました。

自賠責保険金の
請求手続を
行わなかったこと

1 自賠責保険金の請求について

後遺障害事案では、症状固定を待たなければ自賠責保険金の請求手続ができません。これに対し、死亡事故では、早い段階で自賠責保険金の請求が可能になります。
しかし、請求が可能になることと、すぐに請求すべきかどうかは、全く別の問題です。自賠責保険金を請求するか否かは、以下の事情を考慮して慎重に判断すべきです。
① ご遺族の経済状況
世帯で収入を得ていた唯一の存在が死亡した場合、その世帯は収入を失い、残された遺族は経済的に困窮してしまいます。このような場合には、ご遺族の生活の維持を最優先に考え、早期に、自賠責保険金の請求手続を行うべきです。
これに対し、ご遺族が経済的に困窮していなけれは、早い段階で自賠責保険金の請求手続を行う必要はありません。
② 損害賠償手続への影響
損害賠償請求を裁判手続で解決する場合、弁護士費用・遅延損害金が加算された金額を受け取れます。
ところが、早い段階で自賠責保険金を受領していると、以後、受領した金額について遅延損害金が発生しなくなります。また、裁判所が認めてくれる弁護士費用の額も少なくなります。
加害者から受領できる賠償金の金額を最大化するのであれば、自賠責保険金を受領しないままで提訴すべきなのです。
2 本件での対応
本件では、被害者の死亡後も、ご遺族は経済的に困窮していませんでした。
また、被害者が年少者だったことなどの事情もあって、損害賠償請求訴訟を提起することが見込まれていました。このため、本件では、自賠責保険金の請求手続を行いませんでした。全ての損害額を裁判(損害賠償請求訴訟)で請求することにして、受け取れる金額を最大化することを選択したのです。

裁判の争点

この裁判における主な争点は、以下のとおりでした。

1 過失割合

加害者(被告)は、被害者には少なくとも20%の過失があると主張し、過失相殺を主張してきました。

2 慰謝料

死亡慰謝料と相続人の固有の慰謝料の金額が争点になりました。

裁判所の認定

この裁判における主な争点は、以下のとおりでした。

1 過失相殺

被害者に家事労働に関する逸失利益を認められるか否か
2 慰謝料
死亡慰謝料と相続人の固有の慰謝料の金額

裁判所の認定

1 基礎収入
被告は、

・ 見通しの悪い交差点での事故だったこと

・ 被害者が走って交差点に進入したこと

・ 被害者が安全確認を怠っていこと

などを主張し、被害者には少なくとも20%の過失があると主張してきました。 

これに対し、ご遺族(原告)は、

・ 加害車両が制限速度を15㎞/h以上も超過していたこと

・ 見とおしが悪い交差点において徐行しなかったこと

・ 加害者が安全確認義務を怠ったこと

・ 中学校に面した道路での事故だったこと

などを主張し、被害者に過失はないと主張しました。

① 地方裁判所の認定

地方裁判所は、本件事故の過失割合について、被告に80%の責任があると判断しました。

② 高等裁判所の認定

地方裁判所の認定を不服として、控訴しました。

そして、あらめて過失割合について主張を行ったところ、高等裁判所は、被告の過失を90%に変更しました。
2 慰謝料
被告は、原告が請求していた慰謝料が高額すぎると主張するとともに、遺族固有の慰謝料を認めるべきではないと主張していました。

これに対し、こちらは、以下の事情を詳細に主張し、高額な慰謝料を認めるべきであるし、遺族固有の慰謝料を認めるべきであると主張しました。

・ 本件事故態様の悪質性を十分に考慮すべきこと

・ 被告の謝罪などの対応が不十分であること

・ ご遺族が多大な精神的苦痛を受けていること

裁判所は、以下の通りの慰謝料を認定しました。合計額は2440万円です。

・ 被害者本人の慰謝料   2200万円

・ 両親の慰謝料      各120万円

弁護士のコメント

1 自賠責保険の請求

すでに説明した通り、死亡事故では、自賠責保険金の請求手続を行うことは必要とされていません。請求手続を行うべきか否かは、
① ご遺族の経済状況
② 損害賠償手続への影響
を考慮して決めてください。
そして、加害者から受領できる賠償金を最大化するためには、請求手続をしないという選択をすべき場合もあることを理解していただきたいと思います。
本件では、自賠責保険金を受領しなかった結果、自賠責保険金の相当額(本件では約2000万円)について、
・ 『弁護士費用』が認定された
・ 『遅延損害金』を受領できた
という成果を得ました。
この点について、コラム(死亡事故①自賠責保険の請求)でも詳しく説明していますので、ご覧ください。

2 損害賠償請求手続

地方裁判所の判決では、被害者の過失が20%と認定されました。

主にこの点を不服として控訴した結果、高等裁判所では、被害者の過失を10%に修正する前提で、和解を成立させることができました。

結果として、受け取れる賠償金の額を大きく増やすことができました。

訴訟を提起し、控訴も行った成果は十分にあったと思います。

3 最後に

ご遺族は、地裁判決を不服として控訴することを了承してくれました。

粘り強く対応した結果、高等裁判所による過失割合の修正を勝ち取ることができました。

最終的に、ご遺族にご納得いただける結果を得られたと思います。