だいち法律事務所

  死亡事故 Cases6
 

死亡事故
解 決:令和3年11月2日和解
裁判所:大阪地方裁判所

【事案の概要】
事故当時、75歳の被害者(女性)は、青信号に従って横断歩道上を徒歩で横断していたところ、右折してきた自動車に衝突されて死亡しました。この事故によって、被害者は、頭部に強い衝撃を受け、脳に重大な損傷を負って死亡しました。

刑事手続の対応

ご遺族からご依頼を頂いたのは、事故後の早い時点でした。
これから加害者の刑事裁判が始まるという段階だったため、ご遺族に対し、被害者参加制度について詳しく説明した上で、この制度を利用し、ご遺族の心情を裁判官に訴えることにしました。

示談交渉

刑事手続が終了した後、ご遺族と協議し、損害賠償請求についての方針を決めました。
訴訟という手段があることも説明しましたが、この時点におけるご遺族の希望は、早期に解決することでしたので、まずは保険会社との示談交渉を行う方針になりました。
示談交渉では、ご遺族・保険会社の双方が賠償金の金額を提示しましたが、双方の提示額に数百万円の差がありました。最終的に、保険会社から、「これ以上の増額は難しい」との回答があったので、ご遺族と対応を協議した結果、示談交渉を打ち切って、速やかに提訴することになりました。

自賠責保険金の
請求手続を
行わなかったこと

1自賠責保険金の請求について 

後遺障害事案では、症状固定を待たなければ自賠責保険金の請求手続ができません。これに対し、死亡事故では、早い段階で自賠責保険金の請求が可能になります。
しかし、請求が可能になることと、すぐに請求すべきかどうかは、全く別の問題です。自賠責保険金を請求するか否かは、以下の事情を考慮して慎重に判断すべきです。
①ご遺族の経済状況
世帯で収入を得ていた唯一の存在が死亡した場合、その世帯は収入を失い、残された遺族は経済的に困窮してしまいます。このような場合には、ご遺族の生活の維持を最優先に考え、早期に、自賠責保険金の請求手続を行うべきです。
これに対し、ご遺族が経済的に困窮していなけれは、早い段階で自賠責保険金の請求手続を行う必要はありません。
②刑事手続で加害者の厳罰を求めるか
被害者が自賠責保険金を受領すれば、損害の一部について被害弁償がなされたという扱いを受けます。この結果、刑事手続において、加害者の処分が軽くなる可能性が高くなります。
厳罰を望んでいるのであれば、刑事手続が終わるまで、自賠責保険を請求すべきではありません。
③損害賠償手続への影響
損害賠償請求を裁判手続で解決する場合、弁護士費用・遅延損害金が加算された金額を受け取れます。
ところが、早い段階で自賠責保険金を受領していると、以後、受領した金額について遅延損害金が発生しなくなります。また、裁判所が認めてくれる弁護士費用の額も少なくなります。
加害者から受領できる賠償金の金額を最大化するのであれば、自賠責保険金を受領しないままで提訴すべきことになります。
2本件での対応
本件では、被害者の死亡後も、ご遺族は経済的に困窮していませんでした。
このため、本件では、自賠責保険金の請求手続を行いませんでした。全ての損害額を裁判(損害賠償請求訴訟)で請求することにして、受け取れる金額を最大化することを選択したのです。

損害賠償請求訴訟

この裁判における主な争点は、以下のとおりでした。
1基礎収入
被害者に家事労働に関する逸失利益を認められるか否か
2慰謝料
死亡慰謝料と相続人の固有の慰謝料の金額

裁判所の認定

1基礎収入
被害者は、長男の世帯と一緒に生活していました。
そして、世帯の家事を手伝っていたことから、一定の家事労働を担っていたと主張し、家事労働分の逸失利益を認めるべきと主張しました。
この点について、裁判所は、基礎収入を100万円とすることを前提として、休業損害と逸失利益を認めてくれました。
この点は、訴訟を提起したことの大きな成果でした。
2慰謝料
被告は、原告が請求していた慰謝料が高額すぎると主張するとともに、遺族固有の慰謝料を認めるべきではないと主張していました。
これに対し、こちらは、以下の事情を詳細に主張し、高額な慰謝料を認めるべきであるし、遺族固有の慰謝料を認めるべきであると主張しました。
・本件事故態様の悪質性を十分に考慮すべきこと
・被告の謝罪などの対応が不十分であること
・ご遺族が多大な精神的苦痛を受けていること
裁判所は、死亡慰謝料と遺族固有の慰謝料を合計して、2300万円の慰謝料を認めてくれました。

弁護士のコメント

すでに説明した通り、死亡事故では、自賠責保険金の請求手続を行うことは必要とされていません。請求手続を行うべきか否かは、
①ご遺族の経済状況
②損害賠償手続への影響
を考慮して決めてください。
そして、加害者から受領できる賠償金を最大化するためには、請求手続をしないという選択をすべき場合もあることを理解していただきたいと思います。
本件では、自賠責保険金を受領しなかった結果、自賠責保険金の相当額(本件では約2000万円)について、
・『弁護士費用』が認定された
・『遅延損害金』を受領できた
という成果を得ました。
この点について、コラム(死亡事故①自賠責保険の請求)でも詳しく説明していますので、ご覧ください。
2損害賠償請求手続
保険会社との示談交渉において、ご遺族・保険会社の双方が金額を提示しましたが、双方の提示額に数百万円の差がありました。
最終的に、保険会社から、「これ以上の増額は難しい」との回答があったため、ご遺族と対応を協議し、示談交渉を打ち切って、速やかに提訴することになりました。
結果として、損害賠償請求訴訟を提起したことによって、800万円以上の増額を勝ち取ることができました。
3最後に
ご遺族は、示談交渉を打ち切り、損害賠償請求訴訟を提起することを了承してくれました。
解決までの過程で、十分にご納得いただけるまで手続の選択などについての説明を行い、明確な見通しを示したことについて、高いご評価を頂きました。
この様なご評価を頂戴したことは、今後も被害者へのサポートを続けるにあたり、大きな励みになると感じています。

 

死亡事故
解決:令和3年11月2日和解 裁判所:大阪地方裁判所

【事案の概要】
事故当時、75歳の被害者(女性)は、青信号に従って横断歩道上を徒歩で横断していたところ、右折してきた自動車に衝突されて死亡しました。この事故によって、被害者は、頭部に強い衝撃を受け、脳に重大な損傷を負って死亡しました。

刑事手続の対応

ご遺族からご依頼を頂いたのは、事故後の早い時点でした。
これから加害者の刑事裁判が始まるという段階だったため、ご遺族に対し、被害者参加制度について詳しく説明した上で、この制度を利用し、ご遺族の心情を裁判官に訴えることにしました。

示談交渉

刑事手続が終了した後、ご遺族と協議し、損害賠償請求についての方針を決めました。
訴訟という手段があることも説明しましたが、この時点におけるご遺族の希望は、早期に解決することでしたので、まずは保険会社との示談交渉を行う方針になりました。
示談交渉では、ご遺族・保険会社の双方が賠償金の金額を提示しましたが、双方の提示額に数百万円の差がありました。最終的に、保険会社から、「これ以上の増額は難しい」との回答があったので、ご遺族と対応を協議した結果、示談交渉を打ち切って、速やかに提訴することになりました。

自賠責保険金の
請求手続を
行わなかったこと

1 自賠責保険金の請求について

後遺障害事案では、症状固定を待たなければ自賠責保険金の請求手続ができません。これに対し、死亡事故では、早い段階で自賠責保険金の請求が可能になります。
しかし、請求が可能になることと、すぐに請求すべきかどうかは、全く別の問題です。自賠責保険金を請求するか否かは、以下の事情を考慮して慎重に判断すべきです。
① ご遺族の経済状況
世帯で収入を得ていた唯一の存在が死亡した場合、その世帯は収入を失い、残された遺族は経済的に困窮してしまいます。このような場合には、ご遺族の生活の維持を最優先に考え、早期に、自賠責保険金の請求手続を行うべきです。
これに対し、ご遺族が経済的に困窮していなけれは、早い段階で自賠責保険金の請求手続を行う必要はありません。
② 刑事手続で加害者の厳罰を求めるか
被害者が自賠責保険金を受領すれば、損害の一部について被害弁償がなされたという扱いを受けます。この結果、刑事手続において、加害者の処分が軽くなる可能性が高くなります。
厳罰を望んでいるのであれば、刑事手続が終わるまで、自賠責保険を請求すべきではありません。
③ 損害賠償手続への影響
損害賠償請求を裁判手続で解決する場合、弁護士費用・遅延損害金が加算された金額を受け取れます。
ところが、早い段階で自賠責保険金を受領していると、以後、受領した金額について遅延損害金が発生しなくなります。また、裁判所が認めてくれる弁護士費用の額も少なくなります。
加害者から受領できる賠償金の金額を最大化するのであれば、自賠責保険金を受領しないままで提訴すべきことになります。
2 本件での対応
本件では、被害者の死亡後も、ご遺族は経済的に困窮していませんでした。
このため、本件では、自賠責保険金の請求手続を行いませんでした。全ての損害額を裁判(損害賠償請求訴訟)で請求することにして、受け取れる金額を最大化することを選択したのです。

損害賠償請求訴訟

この裁判における主な争点は、以下のとおりでした。

1 基礎収入

被害者に家事労働に関する逸失利益を認められるか否か
2 慰謝料
死亡慰謝料と相続人の固有の慰謝料の金額

裁判所の認定

1 基礎収入
被害者は、長男の世帯と一緒に生活していました。
そして、世帯の家事を手伝っていたことから、一定の家事労働を担っていたと主張し、家事労働分の逸失利益を認めるべきと主張しました。
この点について、裁判所は、基礎収入を100万円とすることを前提として、休業損害と逸失利益を認めてくれました。
この点は、訴訟を提起したことの大きな成果でした。
2 慰謝料
被告は、原告が請求していた慰謝料が高額すぎると主張するとともに、遺族固有の慰謝料を認めるべきではないと主張していました。
これに対し、こちらは、以下の事情を詳細に主張し、高額な慰謝料を認めるべきであるし、遺族固有の慰謝料を認めるべきであると主張しました。
・ 本件事故態様の悪質性を十分に考慮すべきこと
・ 被告の謝罪などの対応が不十分であること
・ ご遺族が多大な精神的苦痛を受けていること
裁判所は、死亡慰謝料と遺族固有の慰謝料を合計して、2300万円の慰謝料を認めてくれました。

弁護士のコメント

すでに説明した通り、死亡事故では、自賠責保険金の請求手続を行うことは必要とされていません。請求手続を行うべきか否かは、
① ご遺族の経済状況
② 損害賠償手続への影響
を考慮して決めてください。
そして、加害者から受領できる賠償金を最大化するためには、請求手続をしないという選択をすべき場合もあることを理解していただきたいと思います。
本件では、自賠責保険金を受領しなかった結果、自賠責保険金の相当額(本件では約2000万円)について、
・ 『弁護士費用』が認定された
・ 『遅延損害金』を受領できた
という成果を得ました。
この点について、コラム(死亡事故①自賠責保険の請求)でも詳しく説明していますので、ご覧ください。
2 損害賠償請求手続
保険会社との示談交渉において、ご遺族・保険会社の双方が金額を提示しましたが、双方の提示額に数百万円の差がありました。
最終的に、保険会社から、「これ以上の増額は難しい」との回答があったため、ご遺族と対応を協議し、示談交渉を打ち切って、速やかに提訴することになりました。
結果として、損害賠償請求訴訟を提起したことによって、800万円以上の増額を勝ち取ることができました。
3 最後に
ご遺族は、示談交渉を打ち切り、損害賠償請求訴訟を提起することを了承してくれました。
解決までの過程で、十分にご納得いただけるまで手続の選択などについての説明を行い、明確な見通しを示したことについて、高いご評価を頂きました。
この様なご評価を頂戴したことは、今後も被害者へのサポートを続けるにあたり、大きな励みになると感じています。