コラム

少年手続①(年齢による手続の違い)

2024.01.19
  • 少年手続①(年齢による手続の違い)

20歳未満の「少年」が交通事故の加害者になることがあります。この場合、少年法が適用され、20歳以上の「成人」とは異なる手続によって処分が決められることがあります。「成人」と比べて、どのような違いがあるのか説明します。

第1.少年が加害者になる場合
1.自動車・バイク
運転免許を取得できるようになる年齢は、
満18歳から   普通自動車免許
満16歳から   原付免許・普通二輪免許
です。
このため、自動車やバイクがからんだ交通事故の被害に遭った場合に、少年が加害者となることがあります。
なお、運転免許を取得できる年齢に達していない少年が、無免許で自動車やバイクを運転し、交通事故の加害者になることもあります。この場合、加害者となる少年は、もっと若年だということになります。
2.自転車
近頃、自転車が当事者となる交通事故が社会的な問題になっています。
自転車を運転するのに運転免許は必要ありません。このため、自転車がからんだ交通事故では、もっと年齢の低い少年が加害者となることもあり得るのです。

第2.加害者が14歳未満の場合
1.触法少年
「14歳に満たない者の行為は、罰しない」こととされています(刑法41条)。
このため、14歳未満の少年が、刑罰法令に触れる行為をしても、法律上、罪を犯したことになりません。この少年のことを「触法少年」といいます。
2.手続の流れ
触法少年は、児童相談所に送致または通告されることになっています。
触法少年の行動の自由を制限したり、その自由を奪うような強制的措置を必要とすると判断されたときは、知事または児童相談所長が、家庭裁判所に送致することになっています。
家庭裁判所に送致された場合、少年事件として取り扱われ、家庭裁判所による調査の結果、触法少年に対する処分が決められます。
なお、触法少年は、14歳未満ですので、刑事罰が科されることはなく、保護処分が科されることになります。

詳しくは、次回のコラム【少年事件②家庭裁判所での手続】で説明します。

第3.加害者が14歳以上20歳未満の場合
1.犯罪少年
罪を犯した14歳以上20歳未満の少年のことを「犯罪少年」といいます。
14歳以上になっているため、刑事罰を科される可能性があります。
2.手続の流れ
犯罪少年が罪を犯した場合、警察・検察による捜査が行われます。
その後、事件が家庭裁判所に送致され、調査官による調査などが行われた後、「審判」という手続によって、その犯罪少年に対する適切な処分が決められます。
なお、少年が凶悪な犯罪を犯した場合など、刑事処分を科すべきと認められる場合、家庭裁判所は、事件を検察官に送致します。この取り扱いを「逆送」とよんでいます。「逆送」された後、検察官が起訴すれば、犯罪少年は、成人と同様、刑事裁判手続によって刑事罰を科されることになります。


詳しくは、次回のコラム【少年事件②家庭裁判所での手続】で説明します。

第4.加害者が18歳・19歳の場合
1.特定少年
少年法が改正され、罪を犯した18歳・19歳の少年を「特定少年」として分類することになりました。
18歳・19歳の少年は、選挙権年齢や民法の成年年齢の引下げによって、責任ある立場になりました。このことを考慮して、少年法による保護の対象としつつも、成人と同じように刑事罰を負わせることができる範囲を広げることになったのです。
2.特定少年に対する取り扱い
特定少年に対しては、以下のような取り扱いがなされることになっています。
⑴ 検察官送致(逆送)の対象となる事件の拡大
原則として、検察官送致(逆送)となる対象事件は、【16歳以上の少年のときに犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪】に限定されています。具体的には、殺人罪、傷害致死罪などに限られています。
これに対し、特定少年に対しては、重大な犯罪を犯したら刑事責任を負わせることが妥当と考えられました。このため、【18歳以上の少年のときに犯した死刑、無期または短期(法定刑の下限)1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件】についても、原則として検察官送致(逆送)されることになりました。具体的には、現住建造物等放火罪、強制性交等罪、強盗罪、組織的詐欺罪などが検察官送致(逆送)の対象に加わったことになります。
⑵ 検察官送致(逆送)後の報道の変更
特定少年のときに犯した罪であっても、原則として、犯人が誰であるかが特定できる情報、つまり氏名・年齢・職業・住居・容貌などに関する報道は禁止されています。
ですが、検察官送致(逆送)されて起訴(公判請求)された場合には、特定少年に関するこれらの報道ができるようになりました。
なお、起訴ではあっても、略式手続が選択された場合には、これらの報道の禁止は解除されません。
⑶ 不定期刑を選択できない
17歳以下の少年に対しては、判決で有期の懲役が科される場合、不定期刑を科すことになっています。不定期刑とは、最長15年以下の範囲で、刑の長期と短期を定めて言い渡される刑罰のことを言います。具体的には、「懲役5年以上10年以下」などと言い渡されます。
これに対し、特定少年に対しては、不定期刑は言い渡されません。成人と同様、最長30年以下の範囲で定期刑が言い渡されます。定期刑とは、「懲役10年」のように決まった期間を定めた刑罰のことです。

⑷ 資格制限の適用
17歳以下の少年のときに犯した罪で刑罰に処せられた場合、資格を制限する様々な法律の規定(例:公務員への就職の制限)について、執行猶予中は適用されないなどの緩和がなされています。
これに対して、特定少年のとき犯した罪については、そのような緩和措置は適用されず、成人の場合と同様に資格の制限を受けることになります。

第5.まとめ
少年事件では、少年の保護と改善更生を重視するため、成人とは異なる手続によって、処分が決められます。しかも、少年の年齢によって手続が異なるため、とても複雑になっています。
少年事件の被害に遭った場合、この違いを正しく認識した上で、適切に対応する必要があります。

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