第1.カウザルギー・RSDの区別
1.神経の損傷状況による区別
【末梢神経損傷がはっきりしている場合】
カウザルギー
【末梢神経損傷がはっきりしていない場合】
RSD
2.症状による区別
以下の経過・所見を認める場合は、カウザルギーと分類する(別冊・医学のあゆみP83)。
□発症までの期間が短い
□最初からアロディニア、灼熱痛がある
□損傷された神経支配領域に一致した痛みが主症状である
□浮腫・腫脹が少ない
第2.病期
1.病期(痛みの臨床P127)
【Ⅰ期(急性期)】
受傷から約3か月間
【Ⅱ期(亜急性期)】
受傷から約3か月が経過し、疼痛が激しくなった頃
【Ⅲ期(慢性期)】
疼痛があらゆる治療に抵抗性を示し、痛みの悪循環が成立した時期
2.痛みの悪循環(別冊・医学のあゆみP73)
生体が傷害を受けると、そこで発生した信号が末梢神経から脊髄を経由して脳に達して痛みを感じる。その際に、末梢の知覚神経からの信号が脊髄後角に達すると脊髄前角の交感神経と運動神経の興奮をもたらす。
交感神経の興奮は、血管を収縮し、発汗を亢進する。運動神経の興奮は筋肉を収縮する。
生体が傷害を受けると、そこで発生した信号が末梢神経から脊髄を経由して脳に達して痛みを感じる。その際に、末梢の知覚神経からの信号が脊髄後角に達すると脊髄前角の交感神経と運動神経の興奮をもたらす。
交感神経の興奮は、血管を収縮し、発汗を亢進する。運動神経の興奮は筋肉を収縮する。
第3.診断(痛みの臨床P128)
①詳細な問診による病期の判定
②詳細な診察により理学的所見をチェック(アロディニア・知覚低下などの感覚障害を重視)
③サーモグラフィによる皮膚温の変化、レーザードプラー血流計を用いた血流量の測定
④骨X線撮影・CT検査による骨萎縮のチェック
⑤骨シンチ
⑥発汗量測定
⑦血管運動反射の変化
⑧日常生活の障害度
【交感神経系の関与の有無のチェック】
①交感神経ブロック
②フェンラトミンテスト
第4.治療
1.神経ブロック療法
2.薬物療法
特に慢性期に入った患者には重要
「痛み」「浮腫」「血流不全」「骨萎縮」「うつ状態」「不眠」への対処のため。
3.電気刺激療法
効果
費用
交換時期
4.手術療法
神経切除術
→末梢神経で変化が起こるだけでなく、脊髄・脳においても機能的な変化が起こる。このため、損傷した末梢神経の中枢側で神経を切断したとしても、痛みの軽減は得られないか、たとえ得られても再発することが多い(別冊・医学のあゆみP44)。
5.理学療法
6.神経再生療法
第5.心因との関係
1.心因性疼痛(痛がり屋さん。痛みの臨床P146)
基本的にヒステリー患者と同じであり、扱いが難しい。
常軌を逸した自己愛が行動原理であり、疼痛の訴えはその手段。
2.素因減額
【発症】
カウザルギー・RSDは、外傷が原因で発症する。心因が原因で発症するのではない。心因性疼痛との鑑別が重要。
【発症後】
発症後、極めて激しい痛みが続くため、鬱などの精神的に不安定な状態になることが多い。但し、痛み→精神であり、精神→痛みではない。
第5.自賠責の認定
1.基準(認定必携P160)
【カウザルギー】
①疼痛の部位
②性状
③疼痛発作の頻度
④疼痛の強度
⑤持続時間
⑥日内変動
⑦疼痛の原因となる他覚所見
【RSD】
カウザルギーの基準に加え、
①関節拘縮
②骨の萎縮
③皮膚の変化(皮膚温の変化・皮膚の萎縮)
2.認定の実際
□認定の段階においては、事実上、カウザルギーについても、骨萎縮の存在を要件としているように思われる。
ただ、医師の意見書により、不要であることを主張した結果、自賠責保険・共済紛争処理機構では、カウザルギーと認定された。
□2件を扱った印象では、認定を受けるのは困難。ねばり強い対応が必要。