1.直接訓練と間接訓練(参考文献3・78頁~) ⑴直接訓練 食物を使う訓練。 誤嚥リスクがある ⑵間接訓練 食物を使わない訓練。 ア.口唇・頬の伸展マッサージ イ.舌・口腔周囲の可動域訓練 2.肺理学療法(参考文献1・106頁) ⑴呼吸訓練 ⑵体位変換とポジショニング 誤嚥性肺炎の予防には、日常の患者ケアにおいて(不顕性)誤嚥と気道分泌物貯留をいかに防ぐかが重要で、体位変換とポジショニングは重要である。 ⑶排痰法 気道分泌物の貯留は、円滑な摂食・嚥下訓練を制限するとともに肺炎の危険性を高める。負担から咳嗽訓練やFET(強制呼出手技)に加え、排痰法による貯留分泌物の排出に努めることが必要である。
3.運動療法(参考文献1・115頁~) 嚥下障害患者の活動性の低下は、持久性の低下、易疲労性、筋力低下などをまねき、誤嚥性肺炎のリスクを高める。日中の積極的な離床は、二次的合併症の予防に有効である。活動性の向上は呼吸機能の向上、感染に対する抵抗力向上にも効果的である。
4.OT訓練(参考文献1・118頁~)
5.口腔ケア(参考文献4・2頁~) ⑴口腔と全身疾患の関連 口腔は、温度、湿度、栄養などあらゆる点において微生物が繁殖しやすい条件がそろっていることから、呼吸器感染症をはじめ、全身の疾患と発症と密接に関連している。したがって、口腔機能を向上させる口腔ケアは、生活の質を維持するだけでなく、種々の疾患の予防や介護予防にとっても必要不可欠となる。 ⑵口腔ケアの定義 口腔ケアには、広義と狭義の意味がある。 広義には、口腔のもつあらゆるはたらき(そしゃく、嚥下、発音、呼吸など)のケアを意味する。 狭義では、口腔衛生の維持・向上を主眼に置く一連の口腔清掃を中心とした口腔ケアを指す。 口腔ケアは、単に食物残渣を除去して口の中をきれいにしたり、習慣的に行われている歯磨きを少し援助したりするものとは違い、微生物による感染症予防を念頭に置いたものではければならない。さらに、介護予防における口腔ケアにおいては、リハビリテーションの観点からも口腔機能を増進・賦活化を目的とした口腔機能の向上に重点を置くこととなる。 ⑶口腔ケアの目的 ア.う蝕や歯周病を予防する イ.口腔疾患(口内炎、舌炎、カンジダ症など)を予防する ウ.口臭を取り除き、不快感をなくす エ.誤嚥性肺炎を予防する オ.全身的な感染症(病巣感染)を予防する カ.口唇、舌、頬、咽頭の刺激やマッサージによって、摂食・嚥下訓練の一助となる キ.唾液の分泌を促進し、自浄作用を促し、口腔の乾燥を防ぐ など ⑷意識障害のある患者の口腔ケア(参考文献4・48頁~) ア.喀痰排出、吸引など 意識障害のある患者は、脳機能の低下から運動機能だけでなく嘔吐・嚥下・咳嗽反射といった生理的反射機構、消化器官の蠕動運動が低下している。したがって、口腔ケア時には窒息や誤嚥、誤飲に注意する。 また、胃・食道から逆流した分泌物や痰、口腔内細菌が気道や肺へ侵入し、誤嚥性肺炎を起こすこともある。さらに、咽頭・喉頭の知覚が減弱しているため、痰などの分泌物が侵入・貯留しても咳嗽・嚥下反射が生じないため、喀出困難なことがある。それらの貯留物内の細菌数を口腔ケア等によって減少させることが重要となる。 <対応とケア> 咽頭の痰や分泌物の貯留状態に合わせて、意図的に喀出を促したり、喀出できない場合は、適宜吸引を行う必要がある。 意識障害のある患者は、長期臥床による肺機能の低下・誤嚥などから、上気道感染や誤嚥性肺炎を起こしやすい状態となっている。したがって、脱水に注意し、室内及び口腔周囲を加湿する。 口腔ケア中は適宜、咽頭に貯留した粘液や洗浄液を吸引し、体位ドレナージを行い、口腔ケア終了時には鼻腔から咽頭を吸引することも重要である。 肺機能が低下している場合は、口腔ケア中の誤嚥が機能低下を助長し、生命の危険につながるため、SpO2(パルスオキシメータ動脈血酸素飽和度)モニタを行うなど、常に患者の状態をチェックしながら行う必要がある。 イ.口腔粘膜の易損傷性など 経口摂取が行われていない場合は、口腔内の環境は悪化する。飲食物やそしゃくの刺激がなくなることにより、唾液分泌量が減少し、その効果が減少することが原因の一つにあげられる。意識障害のある患者で最も問題となるのは、唾液の潤滑作用、粘膜保護作用、創傷治癒促進、抗菌作用の低下による口腔粘膜の易損傷と易感染が考えられる。 また、意識障害のある患者は、痛みなどへの反応が鈍く、口腔ケア時の疼痛に対する反応がみられないことが多い。そのため、ケア提供者は口腔粘膜の為害行為に気づかずに口腔ケアを行いがちである。さらに患者は、口腔粘膜が乾燥し、脆弱化しているため、口腔粘膜は損傷してしまう。損傷を受けた粘膜は、低栄養と相まって治癒が遅延し、損傷部からの細菌感染をまねくことになる。 <対応とケア> 口腔ケアに使用する用具や薬物については、口腔粘膜の状態にあったものを選択する。口腔粘膜が脆弱な場合や軟毛歯ブラシや小児用のヘッドサイズに小さい歯ブラシ、またはタフト型の歯ブラシを用いて、極力粘膜の損傷を防ぐ。 ウ.口腔内細菌叢の変化 意識障害のある患者は、抗生物質を投与されている場合もあり、口腔内細菌叢が変化する。つまり、抗生物質の抗菌スペクトラム内の口腔常在菌は減少し、カンジダ属などの心筋や抗菌スペクトラム外の菌が増加するために、口腔内細菌叢が変化する。 それにより、これまで口腔内常在菌叢により定着・増殖できなかった外来菌のインフルエンザ菌やMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、緑膿菌といった院内感染菌の定着・増殖が可能な環境が口腔内に整うこととなる。 <対応とケア> 外来菌に対する予防対策は必須である。
6.経管栄養 ⑴経鼻胃経管栄養 ⑵ 間欠的口腔食道経管栄養法(食事のたびに口から食道までチューブを入れて注入する方法。OE法) ⑶ 胃ろう
7.誤嚥防止の手術(参考文献1・180頁~) ⑴気管切開術 本来は急性期の気道確保の目的で行われるが、カフ付きのカニューレを使用することで当座の誤嚥を防止することができる。 しかし、カフの隙間から気管内に流下があり、完全な誤嚥防止とはならない。 <気管カニューレの管理方法> (参考文献5・在宅看護論174頁~) ア.交換方法、交換頻度 原則として医師が行う。交換頻度は、通常は週1回である。 イ.カフ圧の確認 カフ圧がかかることによって気管粘膜の壊死が起こることがあるので、カフ圧の確認を毎日行うことや、脱気などにより対処する。 ウ.気管切開部の皮膚のケアと観察 感染予防のため1日1回は気管切開部を消毒し、ガーゼ交換を行う。 消毒時、気管切開部の出血、肉芽形成、狭窄などはないか観察する。 エ.気管内吸引 気管内吸引は無菌操作で行う。1回の吸引時間は10~15秒とする。 ⑵輪状咽頭筋切除術、喉頭挙上術 ⑶喉頭気管分離術 ⑷咽頭摘出術
|