■ まとめ | 交通事故を契機にして「こころ」の後遺障害が発生しうることは、いわゆるPTSD問題を契機に認識されるに至った。 |
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■ 従前の取り扱い | 従前は、「こころ」の後遺障害=精神医学的治療をもってしても治癒しない非器質的精神障害(脳の器質的な変化を伴わない精神障害)は、神経症状の一種として14級の認定を受けるにとどまっていた。 |
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■ PTSD判決の登場 | PTSD=Post-traumatic Stress Disorder=心的外傷後ストレス障害は、アメリカにおいてはベトナム戦争帰還兵にその症例が多くみられた。我が国において社会的に認知されたのは平成7年の阪神大震災、地下鉄サリン事件以来である。 |
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■ PTSDとは何か? | 著しい概念の混乱。精神科医によって、まちまち? |
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■ PTSD否定判決が主流に | かつてのDSM-ⅢRが「人が通常経験する範囲を超えた」外傷体験(トラウマティックな体験)を要件としていたのに対し、ICD-10もDSM-Ⅳもやや要件を緩和したために、交通事故でもPTSDが発症する余地は生じる。 |
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■ PTSD概念の相対比 | しかし、「PTSD否定判決」も、事故と相当因果関係ある14級以上の「神経症状」などを認め、一定の素因減殺をする例が多い。 |
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■ 新基準 | 以下に見るように、労災については新たな認定基準が設けられた。これPTSDも意識した基準であり、今後の交通事故損害賠償の実務に与える影響も大であると考えられる。 |
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