さまざまな原因でおきる慢性脳疾患で、その特徴は、脳ニューロンの過度な発射に由来する反復性発作であり、多種多様な臨床及び検査所見を随伴する。 1.反復性発作 ある間隔をおいて発作が繰り返されることが特徴。ただ1回だけの発作で治ってしまう場合も絶無ではないが、ほとんど大部分のてんかんは適切な治療を加えなければ、頻度はさまざまだが発作が繰り返し起こるのが通例である。 てんかんとは、「脳が発作が起こしやすくなった状態(発生準備性)」が亢進した状態である。 2.脳ニューロンの過剰発射 ニューロンの活動によって、生体電気が発生することが発作が起こる原因。 大脳の皮質にある一部の神経細胞が異常に突発的な電気活動を起こし、それが周囲の神経細胞を巻き込んで、しばらくの間(多くは5分間以内)、異常な電気活動が継続される。 てんかん発作の症状は、千差万別である。発射が起こる局所、すなわち発作焦点が大脳半球のどの領域にあるかによって発作の症状が違ってくる。 【前頭葉】 眼球・頭が側方を向く。 全身性のけいれんを起こしやすい。 一側性に手足が強直・ピクピクする。 複雑な身振り自動症。 発作時間が短く(長くても1~2分)、1回発作が起こると、その日のうちに何回か繰り返す。 【側頭葉】 吐き気、胸が苦しい感じ、めまい感、全身の冷感、不安感、恐怖感、嫌な臭い・味覚などの感覚が最初にある。 その後、意識が混濁し、動作の停止と一点凝視、舌打ち、口をモグモグさせるなどの自動症がある。 発作時間は2~5分間と比較的長く、発作後もうろう状態がある。時に全身性のけいれんを伴う。 【頭頂葉】 一側性に手足の感覚異常・異常運動がある。 頭頂葉は、発作症状として特徴的なものは少なく、そこ以外の領域(前頭葉・側頭葉・後頭葉)に広がって症状として確認される。 【後頭葉】 ものが2つに見える、視野が黒ずむ、変な色・光・影が見えるなどの視覚に関わる異常がある。 また、瞼がピクピクしたり、眼球が一側を向くなどの眼に関する症状を示す。介護費用が低額化する蓋然性の有無は、証拠に基づいて認定されなければならない。しかし、一般に、被告(加害者もしくは保険会社)は、低額化の可能性を書面にて主張しても、それを裏付ける証拠を提出することはない。にもかかわらず、これまでの裁判例は、安易に、介護費用の低額化の蓋然性があると認定してきた。 かかる態度は強く非難されるべきであり、早急に改められなければならない。 この点、福岡地裁平成17年7月12日判決は、 『予測される原告Aの生存期間である今後十数年の間に、各所介護サービスがより廉価で利用できるようになる具体的な見込みが存することを認めるに足る証拠はなく、現時点で利用可能な介護サービスを使用する場合に実際に要する実費を基礎として将来の介護費用を算定せざるを得ないというべきである』 と判断し、職業介護人の介護費用について、現実の介護に必要な費用として日額2万5392円を認定した。 この福岡地裁の裁判例は、証拠に基づく判断を徹底している。 3.発生原因はさまざまである 【症候性てんかん】 脳疾患・脳外傷など、病理学的原因が明らかな場合 【特発性てんかん】 発作の病理学的原因が証明できないてんかん 【潜因性てんかん】 症候性と推定されるが、原因の不明確なもの
4.多種多様な臨床および検査所見を随伴する ・脳波上のさまざまな「発作性脳律動異常」 ・脳画像上のさまざまな病理学的変化 ・神経心理学的検査による認知機能などの高次神経機能の変化 これらの随伴所見の多くが、「発作間欠期」発作のない時期にも持続して認められる。発作間欠期の持続的障害は、以下の①~③に分類される。 ① 脳病変による持続的障害 症候性てんかんの多くは、知的障害・人格障害などの持続的障害を重複する。脳病変が発作と持続的障害の双方の原因となっている。 ② 発作の反復による持続的障害 「てんかん発作はたとえ長期間にわたって反復しても、脳損傷を生じることはないし、また発作の反復だけで精神機能の欠損をきたすことはない」と言うのが従来からの一般的な見解。 最新の研究では、発作を頻発した人の脳に、ニューロンの微細構造の変化あるいは消失があること、実験てんかんで発作の回数にほぼ正比例してニューロン数の減少が認められることが確認されるようになっている。 ③ てんかん薬による持続的障害 てんかん薬の使用量が多すぎたり、多剤併用の場合に、注意集中困難、動作緩慢、持続力減退、疲れやすい、などの高次神経機能障害を引き起こすことがある。
この種の持続的障害は、教育やリハビリテーションの妨げとなり、本人に不利をもたらす。本人・周囲がこの種の持続的障害をもたらすことがあることに留意し、疑いがあれば直ちに主治医に相談し、適切な処置をしてもらう必要がある。医師は、発作の抑止だけに目を奪われず、持続的障害の発生にも配慮しなければならない。
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