脊髄損傷 Cases9

脊髄損傷
後遺障害等級:1級
解決:令和4年11月21日示談 
和歌山エリア
 
【事案の概要】
被害者は、友人と一緒に飲酒した後、帰宅するため、友人が運転する自動車に同乗していたところ、その友人が運転を誤って自動車を路外の畑に転落させました。
この事故によって、被害者は、頚髄損傷の怪我を負った結果、四肢の運動障害・感覚障害、排尿排便障害などが生じ、身の回りの動作に常に他人の介護が必要な状態になってしまいました。

受任後の対応

ご依頼を頂いたのは、既に加害者の刑事手続が終了し、これから症状固定の診断を受け、主治医に後遺障害診断書の作成を依頼しようとしている段階でした。
このため、速やかに、被害者やその家族と協議して、被害者の症状を確認しました。その上で、主治医に対し、
・後遺障害診断書
・脊髄症状判定用
・神経学的所見の推移について
の作成を依頼しました。
ところで、被害者の頚髄損傷は、完全損傷ではなく、不全損傷でした。四肢(両上下肢の全て)が完全に麻痺しているわけではなく、多少の動作が可能な状態でした。このため、主治医に作成してもらった後遺障害診断書などの内容を補足する必要があると判断し、ご家族に被害者の症状を説明するための陳述書を作成してもらいました。

後遺障害等級

被害者請求を行った結果、被害者は、『脊髄損傷』によって四肢の不全麻痺という重篤な後遺障害を負ったと認定されました。そして、後遺障害の程度については、常時の介護が必要と評価されました。
この結果、別表第一第1級1号に該当すると認定されました。

示談による解決の選択

本件では、別表第一第1級1号という最重度の後遺障害等級が認定されました。このため、訴訟によって損害賠償請求の解決を図ることも検討しました。

しかし、種々の事情を考慮した結果、ひとまず示談交渉を行い、その結果を考慮した上で、示談に応じるか、訴訟による解決に進むかを判断することになりました。
以下、示談交渉で主に争いになった点について解説します。

示談交渉

1将来介護費
⑴施設入所
被害者は、重篤な後遺障害を負っていたため、全ての日常生活に介護が必要な状態になっていました。
事故当時、被害者と同居していたのは高齢の父親だけであり、重篤な後遺障害を負った被害者を介護することは困難でした。また、自宅の建物は、重度の後遺障害を負った被害者が生活するには適さない構造でした。
このため、被害者は、退院後、介護施設に入所しており、将来的にも施設に入所し続けることが見込まれていました。
⑵公的給付
被害者は、看護サービス・介護サービスなどを利用していましたが、その大部分が公的給付によって賄われており、自己負担していた額はそれほど多くありませんでした。
このため、当初、保険会社は、自己負担額のみを前提として、極めて低額の将来介護費を提示してきました。
これに対し、こちらは、将来介護費の認定水準に関する文献などを引用しつつ、裁判例では公的給付を考慮せず、介護費用の総額を前提として将来介護費を認定していることを訴えました。
この結果、保険会社は、提示内容を大きく変更し、年450万円という将来介護費を認めてくれました。
2過失割合
被害者は、友人と一緒に飲酒した後、帰宅するため、友人が運転する自動車に同乗していたところ、その友人が運転を誤って自動車を路外の畑に転落させました。この事故によって、被害者は、頚髄損傷という重傷を負いました。
被害者は、友人と一緒に飲酒した後、友人が飲酒運転をすることを把握しながら、その自動車に同乗していました。
このため、被害者にも過失があることは否定しようがなく、その過失をどの程度とするかが問題になりました。
3人身傷害保険
この交通事故には、人身傷害保険を適用できました。しかも、この交渉では、人身傷害保険を利用することにより、被害者の過失によって減額された部分の全額が補填(穴埋め)されることになっていました。
このため、保険会社との交渉においては、過失割合の認定について厳密に交渉することは控えることにし、過失割合については譲歩しつつ、他の損害項目についてはこちらの主張を通すことを目指しました。

弁護士のコメント

1後遺障害等級の認定
この事案では、主治医に後遺障害診断書などの作成を依頼する前の段階から関与できました。このため、適切な後遺障害等級を認定してもらうために必要な準備を整えてから、被害者請求の手続を行うことができました。
この結果、頚髄損傷という後遺障害が、別表第一第1級1号に該当すると認定してもらうことができました。
後遺障害等級は、損害額の計算に大きく影響するとともに、自動車事故対策機構(NASVA)から受給する介護料の額にも影響するため、とても重要な要素です。この段階から関与できたことは幸運だったと思います。
2損害賠償請求手続
飲酒後に発生した事故でしたので、提訴した場合に、人身傷害保険が適用できるか否かが争われる虞がありました。このため、提訴すべきか否かは慎重に判断すべきことになり、まずは示談交渉を行うことになりました。
示談交渉では、こちらの主張を考慮した損害額を認めてもらうことができました。また、人身傷害保険を適用することによって、過失割合によって減額された部分を填補することができました。
このため、示談交渉を選択したことにより、大きなメリットが得られた事案でした。
高額な賠償金・保険金を受領することができ、被害者にも、ご家族にも、ご満足頂ける結果を得ることができたと思います。
3自動車事故対策機構(NASVA)への介護料請求
別表第一第1級1号に認定されれば、自動車事故対策機構から介護料の支給を受けることができます。
この情報を被害者とご家族に伝え、速やかに請求手続を行ってもらいました。
この介護料制度は、一般にはあまり知られていません。制度の存在を伝え、介護料を受給することで、少しでも被害者の生活を安定させたいと考えました。

 
 
 

 脊髄損傷
後遺障害等級:1級 解決:令和4年11月21日示談 和歌山エリア
 
【事案の概要】
 被害者は、友人と一緒に飲酒した後、帰宅するため、友人が運転する自動車に同乗していたところ、その友人が運転を誤って自動車を路外の畑に転落させました。
この事故によって、被害者は、頚髄損傷の怪我を負った結果、四肢の運動障害・感覚障害、排尿排便障害などが生じ、身の回りの動作に常に他人の介護が必要な状態になってしまいました。

受任後の対応

ご依頼を頂いたのは、既に加害者の刑事手続が終了し、これから症状固定の診断を受け、主治医に後遺障害診断書の作成を依頼しようとしている段階でした。
このため、速やかに、被害者やその家族と協議して、被害者の症状を確認しました。その上で、主治医に対し、
 ・ 後遺障害診断書
 ・ 脊髄症状判定用
 ・ 神経学的所見の推移について
の作成を依頼しました。
ところで、被害者の頚髄損傷は、完全損傷ではなく、不全損傷でした。四肢(両上下肢の全て)が完全に麻痺しているわけではなく、多少の動作が可能な状態でした。このため、主治医に作成してもらった後遺障害診断書などの内容を補足する必要があると判断し、ご家族に被害者の症状を説明するための陳述書を作成してもらいました。

後遺障害等級

被害者請求を行った結果、被害者は、『脊髄損傷』によって四肢の不全麻痺という重篤な後遺障害を負ったと認定されました。そして、後遺障害の程度については、常時の介護が必要と評価されました。
この結果、別表第一第1級1号に該当すると認定されました。

示談による解決の選択

本件では、別表第一第1級1号という最重度の後遺障害等級が認定されました。このため、訴訟によって損害賠償請求の解決を図ることも検討しました。 
しかし、種々の事情を考慮した結果、ひとまず示談交渉を行い、その結果を考慮した上で、示談に応じるか、訴訟による解決に進むかを判断することになりました。
以下、示談交渉で主に争いになった点について解説します。

示談交渉

1 将来介護費
⑴ 施設入所
被害者は、重篤な後遺障害を負っていたため、全ての日常生活に介護が必要な状態になっていました。
事故当時、被害者と同居していたのは高齢の父親だけであり、重篤な後遺障害を負った被害者を介護することは困難でした。また、自宅の建物は、重度の後遺障害を負った被害者が生活するには適さない構造でした。
このため、被害者は、退院後、介護施設に入所しており、将来的にも施設に入所し続けることが見込まれていました。
⑵ 公的給付
被害者は、看護サービス・介護サービスなどを利用していましたが、その大部分が公的給付によって賄われており、自己負担していた額はそれほど多くありませんでした。
このため、当初、保険会社は、自己負担額のみを前提として、極めて低額の将来介護費を提示してきました。
これに対し、こちらは、将来介護費の認定水準に関する文献などを引用しつつ、裁判例では公的給付を考慮せず、介護費用の総額を前提として将来介護費を認定していることを訴えました。
この結果、保険会社は、提示内容を大きく変更し、年450万円という将来介護費を認めてくれました。
2 過失割合
被害者は、友人と一緒に飲酒した後、帰宅するため、友人が運転する自動車に同乗していたところ、その友人が運転を誤って自動車を路外の畑に転落させました。この事故によって、被害者は、頚髄損傷という重傷を負いました。
被害者は、友人と一緒に飲酒した後、友人が飲酒運転をすることを把握しながら、その自動車に同乗していました。
このため、被害者にも過失があることは否定しようがなく、その過失をどの程度とするかが問題になりました。
3 人身傷害保険
この交通事故には、人身傷害保険を適用できました。しかも、この交渉では、人身傷害保険を利用することにより、被害者の過失によって減額された部分の全額が補填(穴埋め)されることになっていました。
このため、保険会社との交渉においては、過失割合の認定について厳密に交渉することは控えることにし、過失割合については譲歩しつつ、他の損害項目についてはこちらの主張を通すことを目指しました。

弁護士のコメント

1 後遺障害等級の認定
この事案では、主治医に後遺障害診断書などの作成を依頼する前の段階から関与できました。このため、適切な後遺障害等級を認定してもらうために必要な準備を整えてから、被害者請求の手続を行うことができました。
この結果、頚髄損傷という後遺障害が、別表第一第1級1号に該当すると認定してもらうことができました。
後遺障害等級は、損害額の計算に大きく影響するとともに、自動車事故対策機構(NASVA)から受給する介護料の額にも影響するため、とても重要な要素です。この段階から関与できたことは幸運だったと思います。
2 損害賠償請求手続
飲酒後に発生した事故でしたので、提訴した場合に、人身傷害保険が適用できるか否かが争われる虞がありました。このため、提訴すべきか否かは慎重に判断すべきことになり、まずは示談交渉を行うことになりました。
示談交渉では、こちらの主張を考慮した損害額を認めてもらうことができました。また、人身傷害保険を適用することによって、過失割合によって減額された部分を填補することができました。
このため、示談交渉を選択したことにより、大きなメリットが得られた事案でした。
高額な賠償金・保険金を受領することができ、被害者にも、ご家族にも、ご満足頂ける結果を得ることができたと思います。
3 自動車事故対策機構(NASVA)への介護料請求
別表第一第1級1号に認定されれば、自動車事故対策機構から介護料の支給を受けることができます。
この情報を被害者とご家族に伝え、速やかに請求手続を行ってもらいました。 

この介護料制度は、一般にはあまり知られていません。制度の存在を伝え、介護料を受給することで、少しでも被害者の生活を安定させたいと考えました。