その他の事案 Cases3
 

その他の事案
手の環指の運動障害

《1手の環指(薬指)の用廃》
【自保ジャーナルNo.2112掲載】
後遺障害等級:12級
解決:令和3年10月8日判決
裁判所:徳島地方裁判所
【事案の概要】
被害者は、原動機付自転車を運転して、片側2車線の道路の第1車両通行帯の左端を進行していました。加害車両は、第3車両通行帯を進行していましたが、そこから直接、路外の駐車場に入るため、第1車両通行帯を横切ろうとしました。この時、加害車両が被害者の運転する原付に衝突しました。

この衝突によって、被害者は、右第4指(薬指)PIP関節の脱臼・剥離骨折などの怪我を負い、「1手の環指の用廃」という後遺障害が残ってしまいました。

提訴前の対応

1事前認定の選択

本件では、事前認定手続によって後遺障害等級の認定を受けました。
通常、だいち法律事務所では、後遺障害等級の認定を受ける際、被害者請求手続を選択するようにしています。しかし、この事案では、事前認定手続を選択しました。それは、以下の事情があったためです。
①だいち法律事務所にご依頼を頂いた時点で、事故発生から9年が経過しており、訴訟を提起した場合に認められる遅延損害金が大きな金額になると見込まれました。遅延損害金の基準となる損害額の元本を減らさないためには、自賠責保険金を受領しておかないことが重要だったのです。
②事故から長い時間が経過していた上に、受診した医療機関の数が多かったため、画像データなどの必要な資料を入手することが困難な状況でした。
③被害者の後遺障害は明らかであり、被害者請求をしなくても、「1手の環指の用廃」に該当することが確実と見込まれました。
2自賠責険金の請求 
だいち法律事務所にご依頼を頂いた時点で、事故発生から9年が経過していました。また、提訴の時点では、10年が経過していました。このため、訴訟を提起した場合に認められる遅延損害金が大きな金額になると見込まれました。訴訟において、より多くの遅延損害金を得るためには、損害額の元本を減らさないことが重要です。被害者の経済状況を聴取し、自賠責保険金の支払を得ておく必要はないことを確認した上で、自賠責保険金を請求しないで提訴することにしました。

裁判の争点

本件で争点となったのは、主に、
 過失割合

 逸失利益の基礎収入
でした。

裁判所の認定

1過失割合
被告(保険会社)は、別冊判例タイムズ№38【225】を参考にして、加害者80:被害者20と主張していました。
しかし、この基準は、あらかじめ前方を走行している車両が、適法に進路変更を行ったところ、後方から直進してきた車両の進路と重なったため、両車両が接触したという事故を想定しています。
しかし、本事案では、加害車両は第3車両通行帯を走行しており、そこから第2・第1車両通行帯を横切って、路外の駐車場に入ろうとしました。このため、「先行する進路変更車と後続直進車」という関係が当てはまりません。
また、加害車両が進路変更の合図を出していても、第2車両通行帯への進路変更と考えるのが通常であり、第3車両通行帯から、第2・第1車両通行帯を横切って、道路外に出ようとするという特殊な動きを予測することは困難なはずです。
これらの点を強く主張した結果、裁判所は、本件事故の過失割合について、加害者100:被害者0と判断してくれました。
2逸失利益
被害者は、事故当時、稼働していましたが、収入はかなり低いものでした。また、被害者は、事故後に退職し、症状固定の時点では無職になっていました。この点を捉え、被告(保険会社)は、基礎収入は100万円と認定すべきと主張してきました。
しかし、将来的に就業の可能性があったこと、現実に就業するに至っていること、事故時は若年だったことなどを主張した結果、裁判所は、基礎収入を200万円と認定してくれました。

弁護士のコメント

1提訴したこと

すでに説明した通り、本件では、事前認定手続によって後遺障害等級の認定を受けた上、自賠責保険金を請求せずに提訴しました。事故発生から10年が経過している事案であり、多額の遅延損害金の支払が見込める状況でしたので、提訴するべき事案だと考えました。
結果的に、遅延損害金の額は、損害額元本の50%を超える額になり、提訴の方針が正しかったと思っています。

2過失割合  
特殊な事故態様だったため、過失割合について慎重に検討しました。
そして、別冊判例タイムズ№38の類型を安易に当てはめてはいけない事案であると考えるに至り、裁判所に理解してもらうため、詳細な主張を提出しました。
結果として、被害者の過失を0と認定してもらうことができ、満足のいく結果を得ることができました。

 
 

 その他の事案  一手の環指(薬指)の用廃
【自保ジャーナルNo.2112掲載】
後遺障害等級:12級 解決:令和3年10月8日判決 裁判所:徳島地方裁判所


【事案の概要】
被害者は、原動機付自転車を運転して、片側2車線の道路の第1車両通行帯の左端を進行していました。加害車両は、第3車両通行帯を進行していましたが、そこから直接、路外の駐車場に入るため、第1車両通行帯を横切ろうとしました。この時、加害車両が被害者の運転する原付に衝突しました。

この衝突によって、被害者は、右第4指(薬指)PIP関節の脱臼・剥離骨折などの怪我を負い、「1手の環指の用廃」という後遺障害が残ってしまいました。

提訴前の対応

1 事前認定の選択
本件では、事前認定手続によって後遺障害等級の認定を受けました。
通常、だいち法律事務所では、後遺障害等級の認定を受ける際、被害者請求手続を選択するようにしています。しかし、この事案では、事前認定手続を選択しました。それは、以下の事情があったためです。
① だいち法律事務所にご依頼を頂いた時点で、事故発生から9年が経過しており、訴訟を提起した場合に認められる遅延損害金が大きな金額になると見込まれました。遅延損害金の基準となる損害額の元本を減らさないためには、自賠責保険金を受領しておかないことが重要だったのです。
② 事故から長い時間が経過していた上に、受診した医療機関がの数が多かったため、画像データなどの必要な資料を入手することが困難な状況でした。
③ 被害者の後遺障害は明らかであり、被害者請求をしなくても、「1手の環指の用廃」に該当することが確実と見込まれました。
2 自賠責保険金の請求
だいち法律事務所にご依頼を頂いた時点で、事故発生から9年が経過していました。また、提訴の時点では、10年が経過していました。このため、訴訟を提起した場合に認められる遅延損害金が大きな金額になると見込まれました。訴訟において、より多くの遅延損害金を得るためには、損害額の元本を減らさないことが重要です。被害者の経済状況を聴取し、自賠責保険金の支払を得ておく必要はないことを確認した上で、自賠責保険金を請求しないで提訴することにしました。

裁判の争点

本件で争点となったのは、主に、
 過失割合
 逸失利益の基礎収入
でした。

裁判所の認定

1 過失割合
被告(保険会社)は、別冊判例タイムズ№38【225】を参考にして、加害者80:被害者20と主張していました。
しかし、この基準は、あらかじめ前方を走行している車両が、適法に進路変更を行ったところ、後方から直進してきた車両の進路と重なったため、両車両が接触したという事故を想定しています。
しかし、本事案では、加害車両は第3車両通行帯を走行しており、そこから第2・第1車両通行帯を横切って、路外の駐車場に入ろうとしました。このため、「先行する進路変更車と後続直進車」という関係が当てはまりません。
また、加害車両が進路変更の合図を出していても、第2車両通行帯への進路変更と考えるのが通常であり、第3車両通行帯から、第2・第1車両通行帯を横切って、道路外に出ようとするという特殊な動きを予測することは困難なはずです。
これらの点を強く主張した結果、裁判所は、本件事故の過失割合について、加害者100:被害者0と判断してくれました。
2 逸失利益
被害者は、事故当時、稼働していましたが、収入はかなり低いものでした。また、被害者は、事故後に退職し、症状固定の時点では無職になっていました。
この点を捉え、被告(保険会社)は、基礎収入は100万円と認定すべきと主張してきました。
しかし、将来的に就業の可能性があったこと、現実に就業するに至っていること、事故時は若年だったことなどを主張した結果、裁判所は、基礎収入を200万円と認定してくれました。

弁護士のコメント

1 提訴したこと
すでに説明した通り、本件では、事前認定手続によって後遺障害等級の認定を受けた上、自賠責保険金を請求せずに提訴しました。事故発生から10年が経過している事案であり、多額の遅延損害金の支払が見込める状況でしたので、提訴するべき事案だと考えました。
結果的に、遅延損害金の額は、損害額元本の50%を超える額になり、提訴の方針が正しかったと思っています。
2 過失割合
特殊な事故態様だったため、過失割合について慎重に検討しました。
そして、別冊判例タイムズ№38の類型を安易に当てはめてはいけない事案であると考えるに至り、裁判所に理解してもらうため、詳細な主張を提出しました。
結果として、被害者の過失を0と認定してもらうことができ、満足のいく結果を得ることができました。