機能評価③(Barthel index)
 

第4.機能評価の方法(Barthel index〈BI:バーセル・インデックス〉)

1.概要
Barthel indexは、ADLの自立していない患者が機能回復していく過程を計るための簡易的な査定法として、開発された。
現在、Barthel indexは世界的に普及し、日本でもエビデンスのあるADL評価手法として高い評価を得ている。


2.特徴
⑴ 日常生活の動作を10種類に分類
Barthel indexでは、日常生活に必要な動作を10種類に分類し、それぞれを評価の対象としている。
⑵ それぞれの項目を評価・配点
Barthel indexでは、満点を100点として、それぞれの動作に5~15点で評価する。さらに各動作は満点から5点刻みで評価できるようなってる。そのため点数計算を素早く正確に行うことができる。
⑶ 「自立」の定義
Barthel indexで「自立」と評価するためには、いずれの動作項目においても介助者や監視者が不要であることが求められ、誰もいない状況でも安全に動作ができることが必要とされている。
⑷ 「できるADL」で評価
Barthel indexでのADL評価は、原則「できるADL」で評価する。できるADLとは、患者や利用者が検査や訓練という形で実施できた能力をいう。このため、Barthel indexでは患者や利用者の最大限の能力が評価されやすくなる。
⑸ IADL(手段的日常生活動作)に対する評価はできない
Barthel indexで100点満点であっても1人で生活できるとは評価できない。Barthel indexでは、電話応対や金銭管理など、生活に必要なより高次な動作に関連する評価を行えないためである。


3.10項目の配点
自立できる動作には満点として15点から5点が与えられる。そして全介助や全くできない動作に関しては0点と評価する。
①  食事
10点:自立。標準時間内で食べきれる。自助具の使用は可能。
5点:見守りや介助を要する。(きざみ食を用意する・食べこぼしを管理するなど)
0点:全介助
②  移乗(車いすとベッド間)
15点:介助無しで動作可能。ブレーキやフットレストなどの管理が可能。※歩行自立も15点
10点:軽度の介助や監視・声掛けが必要(ブレーキの管理など)
5点:座ることはできるがほぼ全介助
0点:全介助・不可能
③  整容
5点:自立(整容:洗面・整髪・歯磨き・髭剃り)
0点:部分介助・不可能
④  トイレ動作
10点:自立(衣服の着脱や後始末も含める。ポータブルトイレの場合、その洗浄を含める)
5点:部分介助(身体的介助・衣服操作や後始末・洗浄での手助けも含める)
0点:全介助・不可能
⑤  入浴
5点:自立
0点:部分介助・不可能
⑥  歩行
15点:45m以上の歩行(補装具の使用可 ※車いす・歩行器は除く)
10点:45m以上の介助歩行(歩行器の使用可)
5点:歩行不能の場合、45m以上車いすでの操作可能
0点:上記以外
⑦  階段昇降
10点:自立(手すりなどの使用可)
5点:介助もしくは監視が必要

0点:不能
⑧  着替え
10点:自立(靴・ファスナー・装具などの着脱を含む)
5点:部分介助(標準時間内、半分以上は自分で行える)
0点:上記以外
⑨  排便
10点:失禁なし(浣腸や坐薬の取り扱いも可能)
5点:ときに失禁あり(浣腸や坐薬の取り扱いにも介助を要する者も含める)
0点:上記以外
⑩  排尿
10点:失禁なし(収尿器の取り扱いも可能)
5点:ときに失禁あり(収納器の取り扱いの介助を要する者も含める)
0点:上記以外
Barthel index

4.合計得点とその判定基準
合計点に応じてADLの自立度を評価する。
100点:動作全般が自立している
85点以下:介助を要するが程度は少ない
60点以下:姿勢を変える動き(起居動作)にて介助を要する
40点以下:ほとんどの項目にて大きな介助を要する
20点以下:全介助を要する


5.指標の評価
⑴ メリット
・ 100点満点表記なので自立度が分かりやすい
Barthel indexは100点満点で表す。そのため患者や利用者の得点がそのままパーセンテージ化しやすく、現状をイメージしやすい。
・ 評価区分が比較的少ないため記録しやすい
Barthel indexは評価区分が2~4段階で分けられている。区分が比較的少ないため誰でも簡単に記録することができる。また、点数も5点刻みのため合計点の算出が容易にできる。
・ 最大限の能力を表記できる
Barthel indexでは日常生活動作が完遂できたことを評価する。実際に普段から行っているものではなくても、「できる」ものであれば評価対象となる。したがって患者や利用者の最大限発揮できる能力を表しやすくなる。もし実際の動作でBarthel indexの評価に達していなくても、訓練や指導次第で能力を改善できる可能性がある。
⑵ デメリット
・ 介護度の区分が大まかで患者や利用者ごとの詳細が分からない
Barthel indexでは部分介助・全介助といった大まかな評価しか行わない。このため、Barthel indexだけでは患者や利用者にとって必要な介助について詳細を表すことができない。
・ 時系列的な変化を捉えにくい
Barthel indexでは評価区分が多くて4つにしか分かれていない。このため、わずかな介助量の変化に対して評価の差が現れなかったり、格段に点数が上昇してしまう可能性がある。
・ 「しているADL」(実生活のなかで実際に活用しているADL)の評価ではない
Barthel indexでは「しているADL」を評価しません。そのため日常生活で繰り返し行われる動作において実態以上の評価が下される可能性がある。


6.FIMとの違い
⑴ 最も重要な違い
Bathel Indexは、能力(できるADL)を評価する。
FIMは、実際に行っていること(しているADL)を評価する。
(例)能力的には自分で移乗できるが、実際には心配だからと介助してもらって移乗している ⇒ BIでは“自立”の点数、FIMでは“介助”の点数
⑵ 採点
Barthel Indexは、採点が簡便、しかも満点100点なので分かり易い。
FIMは、項目ごとの採点内容が細かくて難しい。また、満点が126点なので、合計点数での評価が分かりにくい。
⑶ 変化の把握
Barthel Indexは、点数が大まかであるため、細かな変化を捉えにくい。
FIMは、細かなADLの変化を把握できる。