解決事例

死亡事故 Cases11

2023.12.18

解決:令和5年9月示談
山梨エリア

【事案の概要】
被害者は、夜間に歩いて幹線道路を横断していました。そこに加害者が運転する自動車が走行してきて、被害者に衝突しました。加害者は、被害者に衝突して初めて、被害者の存在に気づいたようです。
この事故によって、被害者は、頭部に強い衝撃を受けた結果、死亡してしまいました。

刑事手続での対応 ご遺族からご依頼を頂いたのは、交通事故が発生してから半月ほどしか経過していない時点でした。この時点では警察による捜査が行われている最中でしたので、刑事手続の段階から関与させて頂くことになりました。
本件は、「被害者の死亡」という重大な結果が生じていました。そのため、ご遺族に対して、場面に応じた対応をアドバイスするとともに、ご遺族の負担を軽くするため、弁護士が前面に出られる場面では、できる限り代わりに対応することを心がけました。
また、ご遺族は、加害者に対して、強い処罰感情を持っていました。このため、検察官に連絡して、捜査状況や処理方針を確認するだけでなく、ご遺族の処罰感情が強いことを伝え、加害者を起訴するように求めました。
最終的に、検察官は、「被害者の死亡」という結果が重大であること、ご遺族の処罰感情が強いことなどを考慮して、加害者を起訴(略式請求)しました。
自賠責保険金を請求しなかった事情 1 自賠責保険金の請求手続を行うべきか
後遺障害事案では、症状固定と診断されるまで自賠責保険金の請求手続を行えません。これに対し、死亡事故では、死亡という事実が確定しているため、早い段階から自賠責保険金の請求手続を行うことができます。
しかし、自賠責保険金の請求が可能になっていることは、すぐに自賠責保険金の請求手続を行うべきことを意味しません。これらは全く別の問題です。
死亡事故において自賠責保険金の請求手続を行うか否かは、以下の事情を考慮して慎重に判断すべきです。
この点について、コラムでも詳しく説明していますので、ご覧ください。
① 刑事手続で加害者の厳罰を求めるか
ご遺族が自賠責保険金を受け取ると、交通事故で被った損害の一部について「被害が弁償された」という評価を受けます。この事実は、刑事手続において、加害者に有利な事情として考慮されるため、加害者の処分が軽くなる可能性が生じます。
しかし、ご遺族は、「加害者に厳罰を科して欲しい」と望んでいるケースが多いです。ご遺族が厳罰を望む気持ちが強ければ、刑事手続が終了するまで、自賠責保険金を請求すべきではありません。
② 損害賠償手続への影響
損害賠償請求の解決手段として裁判手続(民事訴訟の提起)を選択する場合があります。裁判手続を選択すれば、被害者が被った損害額に加えて、弁護士費用・遅延損害金が加算された賠償金を受け取ることができます。
ところが、受領した自賠責保険金の額については遅延損害金が発生しません。また、裁判所が認定する弁護士費用の額も少なくなります。
受領できる賠償金の額を最大化するのであれば、自賠責保険金を受領しないで提訴することを考慮しておくべきです。
損害賠償請求の手続 1 手続の選択
刑事手続が終了した後、損害賠償請求の準備を始めました。
当初、損害賠償請求の手続として、示談交渉ではなく、訴訟(裁判)を選択しようと考えていました。そのため、訴状や証拠などの作成を進めていましたが、最終的に、示談交渉による解決を進めることに方針を変更しました。
示談交渉による解決を選択した理由は、以下の通りです。
① 過失割合が重要な争点になると見込まれたが、十分な主張立証を行うためには、かなりの時間がかかると考えられた。
② 逸失利益に関して、保険会社との見解が異なる部分があったが、交渉にて溝を埋められる可能性があると考えられた。
③ 示談交渉で納得できる解決が難しければ、その時点で提訴すればよいと考えていた。
2 本事案の争点
この事案における主な争点は、以下のとおりでした。
① 過失割合
被害者は、夜間、片側2車線の道路を横断していました。
また、加害者は、被害者に衝突して初めて、被害者の存在に気づいており、前方の不注視がありました。
これらの事情を考慮して、被害者の過失をどのように評価するのかが問題となりました。
交渉の結果、被害者の過失を20%とすることで合意することができました。
② 逸失利益
被害者の逸失利益を算定するにあたり、
・基礎収入の額
・生活費控除率の割合
をどのように認定するのかが問題になりました。
これらの点については、こちらの提示していた内容を受け入れてもらうことができました。
3 解決内容
最終的に、示談交渉によって、納得できる解決を図ることができました。
弁護士のコメント 1 解決内容について
刑事手続が終わるまでに、かなりの時間がかかりました。このため、当初の見込みよりも、民事(損害賠償請求)の解決までに時間がかかってしまいました。
また、当初は訴訟提起を考えていましたが、示談交渉をすることに方針を変更しました。これは訴訟を提起するよりも、示談交渉の方が有利な条件で解決できる見込みがあったためです。この見込みどおり、納得できる解決を図れたと考えています。
2 依頼者との連絡手段
本件では遠方からご依頼を頂きました。
これまでも「だいち法律事務所」では、九州・四国・中国・中部など、各地からのご依頼を頂いてきました。
遠方だったとしても、依頼者とは、電話・Eメールなどの手段を使って緊密に連絡をとっており、案件の対応に支障が生じたことはありません。また、近年は、LINEを用いたり、リモート会議を行うなどして、より綿密な打合せができるようにしています。
この事案でも、多様な方法を用いて連絡を取り合いました。円滑なコミュニケーションをとったため、十分にご理解して頂いて進めることができたと思います。
3 最後に
だいち法律事務所は、ご依頼を頂いた当初から、ご遺族のお気持ちに寄り添った対応を心がけ、最善を尽くして対応に当たりました。
ご遺族に納得して頂ける結果を得ることができ、喜んで頂くことができました。こちらも十分な成果を得られたことを嬉しく思っています。
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