だいち法律事務所

  高次脳機能障害

 

高次脳機能障害

Higher brain dysfunction  
Ⅰ.交通事故における「高次脳機能障害」とは

高次脳機能障害は、脳血管障害、低酸素脳症、精神疾患など、さまざまな原因によって発症します。外傷によって脳に損傷を負った場合に限られていません。
これに対し、交通事故において問題となる高次脳機能障害は、基本的に、「頭部外傷によって脳に器質的な損傷を負った結果」として発症したことが必要です。これに該当するといえるには、

①交通事故によって頭部に外傷を負った

②交通事故の直後に意識障害が生じていた

③頭部のCT・MRI画像によって脳に損傷があることが確認できる

④交通事故から間もない時点で高次脳機能障害の症状が生じていた
などの事情が必要になります。
頭部に外傷を負った後、ケガの治療は終了したのに、「以前はできていたことが、できなくなった」「事故前とは人格が変わってしまった」など、言動に異変を感じた場合は、速やかに専門病院を受診することが重要です。
診察の結果、『頭部外傷による高次脳機能障害』と診断されれば、十分な知識と経験を有する弁護士に依頼し、綿密な立証活動を行っていく必要があります。

Ⅰ.交通事故における「高次脳機能障害」とは

高次脳機能障害は、脳血管障害、低酸素脳症、精神疾患など、さまざまな原因によって発症します。外傷によって脳に損傷を負った場合に限られていません。
これに対し、交通事故において問題となる高次脳機能障害は、基本的に、「頭部外傷によって脳に器質的な損傷を負った結果」として発症したことが必要です。これに該当するといえるには、

   ①交通事故によって頭部に外傷を負った

   ②交通事故の直後に意識障害が生じていた

   ③頭部のCT・MRI画像によって脳に損傷があることが確認できる

   ④交通事故から間もない時点で高次脳機能障害の症状が生じていた
などの事情が必要になります。
頭部に外傷を負った後、ケガの治療は終了したのに、「以前はできていたことが、できなくなった」「事故前とは人格が変わってしまった」など、言動に異変を感じた場合は、速やかに専門病院を受診することが重要です。
診察の結果、『頭部外傷による高次脳機能障害』と診断されれば、十分な知識と経験を有する弁護士に依頼し、綿密な立証活動を行っていく必要があります。

 

Ⅱ.高次脳機能障害者に見られる主な症状

交通事故において問題となる高次脳機能障害は、頭部外傷によって脳に器質的な損傷を負った結果、認知障害、行動障害、人格変化などの症状が生じた状態をいいます。そして、これらの症状は、併存することが多いといわれています。

高次脳機能障害の症状が重度であれば、日常生活を送るために見守りや声かけなどの配慮が必要になることもあります。

高次脳機能障害は、麻痺などの身体的な症状として現れないため、外見だけで障害の深刻さを理解することは難しいです。以下のような症状に気づいたら、早急に専門医を受診してください。

 

1認知障害

認知障害とは、注意・集中力障害、記憶・記銘力障害、遂行機能障害などの総称です。新しいことを覚えられない、気が散りやすい、行動の計画・実行ができない、複数のことを同時に処理できない、話が回りくどく要点を相手に伝えられないなどの症状があります。 

⑴注意障害

注意は、精神活動の根幹をなす重要な機能です。注意に障害があれば、認知、思考、行為、言語、記憶など多様な場面に影響が生じます。

注意障害があると、具体的には以下の症状が見られます。

・物事に対して集中を維持できない。

・時間の経過とともに作業効率が低下する。

・注意を向ける対象を適切に切り替えられない。

・2つ以上のことを同時に行えない。

・作業ミスや勘違いが続いてしまう・反応が遅く、行動や動作がゆっくりになる。

注意障害の有無や程度を明らかにするための検査には、以下のものがあります。

・標準注意検査法(CAT

・Trail Making test

・仮名ひろいテスト

⑵記憶障害

記憶の機能は、以下の3段階に分けられます。

①記銘(情報を覚える)

②保持(覚えた情報を保存する)

③想起(情報を思い出す)

これらの過程に障害が生じることで、以下のような記憶障害が生じます。

【「記銘」に障害】
新しく経験した事柄を覚えられなくなります。

【「保持」に障害】
短い時間しか覚えていられない、覚えていられる記憶の量が限定されるなどの問題が生じます。

【「想起」に障害】
既に保存されてる情報を思い出せなくなります。

記憶障害の有無や程度を明らかにするための検査には、以下のものがあります。

・三宅式記銘力検査

・ベントン視覚記銘力検査

・レイ複雑図形検査

・ウェクスラー記憶検査(WMS−R)

・リバーミード行動記憶検査(RBMT)

⑶遂行機能障害

遂行機能は、以下の一連の過程から成り立っており、日常生活や社会生活を円滑に送るために欠かせない機能です。

①目標を立てる

②目標を達成するための計画を立てる

③行動する

④行動の結果を評価する

⑤結果の評価に基づいて、目標を達成するために行動を修正する

遂行機能に障害があると、以下のような問題が現れます。

・過去に経験したことがない事態に直面すると適切な行動ができなくなる

・状況に適合しない行動をしてしまう

・決まった行動しかできなくなる

・行動が非効率的になる

遂行機能障害の有無や程度を明らかにするための検査には、以下のものがあります。

・BADS

・ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト

・ハノイの塔テスト

⑷病識の欠如

・自分の後遺障害を認識できず、自分は正常だと言い張る。

・障害から回復しようとする意識を持てず、通院やリハビリを拒否する。

⑸地誌的障害

・通いなれた道で迷子になってしまう

・自分がいる場所がわからない

⑹半側空間無視

・片側に対する認識ができなくなる。例えば、右側に置いてある物は認識できるのに、左側に置いてある物は見つけられない。

 

2行動障害

行動障害とは、周囲の状況に合わせた適切な行動ができない、職場や社会のマナーやルールを守れない、行動を抑制できない、危険を予測・察知して回避的行動をすることができないなどの症状のことを言います。

具体的には、以下の例があげられます。

・お葬式に出席しているのに大声を出して会話をしたり、笑ったりしてしまう。

・整列して順番を待てず、割り込みをしてしまう。

・赤信号でも交差点を渡ってしまう。

・羞恥心がなくなり、他人の前で下着姿になったり、陰部を出したりする。

・こだわりが強くなり、他人にも自分のルールを押しつけようとする。

・電気などのスイッチ類を目につくまま衝動的に押してしまう。

・刃物などで自分の身体を傷付ける(自傷行為)。

 

3人格変化

人格変化とは、受傷前にはみられなかった発動性低下と抑制低下をいいます。

具体的には自発性低下、気力の低下、衝動性、易怒性、自己中心性などとして現れます。

⑴自発性の低下

・リハビリの必要性を説明されても、意欲を持てず、リハビリをしようとしない。

・気分の落ち込みが激しく、しばらく動こうとしない。

・外出することを嫌がり、家の中に閉じこもっていようとする。

⑵衝動性・易怒性(暴言・暴力)

・精神状態をコントロールできなくなり、些細なことでキレてしまう。

・家庭内で弱い者、例えば、母親・弟・妹に対して、理由もなく暴言を吐いたり、暴力を振るったりする。

・物に当たり、叩きつけるなどして壊してしまう。

⑶自己中心性

・全てに自分を優先した考えしかできなくなる。自己中心的になる。他人に配慮しない。他人を平気で傷つける。

・失敗は全て人のせいにする。自分の責任を認めない。

・思い込みが激しく、人の意見を全く聞かない。

・こだわりが強く、日常生活でもみられる。

・気分も自己中心的で、約束もすぐやぶる。

⑷他者依存、甘え、幼児化

・言動、行動が子どもっぽい。親に甘える。ぬいぐるみに関心をもつ。

・親に依存して、一人でやろうとしない。

・自発性が無くなった。

・幼児化することにより、性的な羞恥心が無くなり、人前で裸を平気でさらす等の行動をとる。

Ⅱ.高次脳機能障害者に見られる主な症状

交通事故において問題となる高次脳機能障害は、頭部外傷によって脳に器質的な損傷を負った結果、認知障害、行動障害、人格変化などの症状が生じた状態をいいます。そして、これらの症状は、併存することが多いといわれています。

高次脳機能障害の症状が重度であれば、日常生活を送るために見守りや声かけなどの配慮が必要になることもあります。

高次脳機能障害は、麻痺などの身体的な症状として現れないため、外見だけで障害の深刻さを理解することは難しいです。以下のような症状に気づいたら、早急に専門医を受診してください。

 

1 認知障害

 認知障害とは、注意・集中力障害、記憶・記銘力障害、遂行機能障害などの総称です。新しいことを覚えられない、気が散りやすい、行動の計画・実行ができない、複数のことを同時に処理できない、話が回りくどく要点を相手に伝えられないなどの症状があります。 

 ⑴ 注意障害

 注意は、精神活動の根幹をなす重要な機能です。注意に障害があれば、認知、思考、行為、言語、記憶など多様な場面に影響が生じます。

 注意障害があると、具体的には以下の症状が見られます。

   ・物事に対して集中を維持できない。

   ・時間の経過とともに作業効率が低下する。

   ・注意を向ける対象を適切に切り替えられない。

   ・2つ以上のことを同時に行えない。

   ・作業ミスや勘違いが続いてしまう

   ・反応が遅く、行動や動作がゆっくりになる。

 注意障害の有無や程度を明らかにするための検査には、以下のものがあります。

   ・標準注意検査法(CAT

   ・Trail Making test

   ・仮名ひろいテスト

 ⑵ 記憶障害

 記憶の機能は、以下の3段階に分けられます。

   ①記銘(情報を覚える)

   ②保持(覚えた情報を保存する)

   ③想起(情報を思い出す)

 これらの過程に障害が生じることで、以下のような記憶障害が生じます。

   ・「記銘」に障害があれば、新しく経験した事柄を覚えられなくなります。

   ・「保持」に障害があれば、短い時間しか覚えていられない、覚えていられる記憶の量が限定されるなどの問題が生じます。

   ・「想起」に障害があれば、既に保存されてる情報を思い出せなくなります。

 記憶障害の有無や程度を明らかにするための検査には、以下のものがあります。

   ・三宅式記銘力検査

   ・ベントン視覚記銘力検査

   ・レイ複雑図形検査

   ・ウェクスラー記憶検査(WMS−R)

   ・リバーミード行動記憶検査(RBMT)

 ⑶ 遂行機能障害

 遂行機能は、以下の一連の過程から成り立っており、日常生活や社会生活を円滑に送るために欠かせない機能です。

   ①目標を立てる

   ②目標を達成するための計画を立てる

   ③行動する

   ④行動の結果を評価する

   ⑤結果の評価に基づいて、目標を達成するために行動を修正する

 遂行機能に障害があると、以下のような問題が現れます。

   ・過去に経験したことがない事態に直面すると適切な行動ができなくなる

   ・状況に適合しない行動をしてしまう

   ・決まった行動しかできなくなる

   ・行動が非効率的になる

 遂行機能障害の有無や程度を明らかにするための検査には、以下のものがあります。

   ・BADS

   ・ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト

   ・ハノイの塔テスト

 ⑷ 病識の欠如

   ・自分の後遺障害を認識できず、自分は正常だと言い張る。

   ・障害から回復しようとする意識を持てず、通院やリハビリを拒否する。

 ⑸ 地誌的障害

   ・通いなれた道で迷子になってしまう

   ・自分がいる場所がわからない

 ⑹ 半側空間無視

   ・片側に対する認識ができなくなる。例えば、右側に置いてある物は認識できるのに、左側に置いてある物は見つけられない。

 

2 行動障害

 行動障害とは、周囲の状況に合わせた適切な行動ができない、職場や社会のマナーやルールを守れない、行動を抑制できない、危険を予測・察知して回避的行動をすることができないなどの症状のことを言います。

 具体的には、以下の例があげられます。

   ・お葬式に出席しているのに大声を出して会話をしたり、笑ったりしてしまう。

   ・整列して順番を待てず、割り込みをしてしまう。

   ・赤信号でも交差点を渡ってしまう。

   ・羞恥心がなくなり、他人の前で下着姿になったり、陰部を出したりする。

   ・こだわりが強くなり、他人にも自分のルールを押しつけようとする。

   ・電気などのスイッチ類を目につくまま衝動的に押してしまう。

   ・刃物などで自分の身体を傷付ける(自傷行為)。

 

3 人格変化

 人格変化とは、受傷前にはみられなかった発動性低下と抑制低下をいいます。

 具体的には自発性低下、気力の低下、衝動性、易怒性、自己中心性などとして現れます。

 ⑴ 自発性の低下

   ・リハビリの必要性を説明されても、意欲を持てず、リハビリをしようとしない。

   ・気分の落ち込みが激しく、しばらく動こうとしない。

   ・外出することを嫌がり、家の中に閉じこもっていようとする。

 ⑵ 衝動性・易怒性(暴言・暴力)

   ・精神状態をコントロールできなくなり、些細なことでキレてしまう。

   ・家庭内で弱い者、例えば、母親・弟・妹に対して、理由もなく暴言を吐いたり、暴力を振るったりする。

   ・物に当たり、叩きつけるなどして壊してしまう。

 ⑶ 自己中心性

   ・全てに自分を優先した考えしかできなくなる。自己中心的になる。他人に配慮しない。他人を平気で傷つける。

   ・失敗は全て人のせいにする。自分の責任を認めない。

   ・思い込みが激しく、人の意見を全く聞かない。

   ・こだわりが強く、日常生活でもみられる。

   ・気分も自己中心的で、約束もすぐやぶる。

 ⑷ 他者依存、甘え、幼児化

   ・言動、行動が子どもっぽい。親に甘える。ぬいぐるみに関心をもつ。

   ・親に依存して、一人でやろうとしない。

   ・自発性が無くなった。

   ・幼児化することにより、性的な羞恥心が無くなり、人前で裸を平気でさらす等の行動をとる。

 

Ⅲ.交通事故において「高次脳機能障害」が認められる要件

交通事故において問題となる高次脳機能障害は、基本的に、「頭部外傷によって」脳に器質的な損傷を負った結果、発症したものである必要があります。

では、高次脳機能障害について、後遺障害として認定してもらうには、どんな事情が必要なのか、詳しく説明します。

 

1交通事故によって頭部に外傷を負ったこと

交通事故によって頭部に外傷を負った結果、脳に器質的な損傷が生じたといえることが必要です。

これに対し、頭部に外傷を負っていないのに、交通事故の後に高次脳機能障害を発症したという場合は、交通事故を原因として高次脳機能障害が発症したと認めてもらうのは難しいです。

 

2事故後に意識障害が生じたこと

意識障害は、脳の機能に障害が生じたことを示す重要な指標です。脳外傷を原因とする意識障害の程度が重度であるほど、そして、意識障害が続いた時間が長いほど(特に6時間以上継続した場合)、高次脳機能障害が生じる可能性が高く、残存する症状も重篤になるとされています。

ですから、高次脳機能障害が問題となる事案では、意識障害の程度と継続時間の確認が重要です。これらのデータは、初診病院のカルテの記載内容などに基づいて判断されます。なお、意識障害が軽度だった場合でも、画像によって脳に器質的損傷が生じたことが明らかな場合は、交通事故を原因として高次脳機能障害が発症したと認めてもらえる場合もあります。

 

3画像(CT・MRI)によって脳の損傷を確認できること

交通事故を原因として高次脳機能障害を発症したと認定されるためには、脳に器質的損傷が生じている必要があります。そして、脳の器質的損傷の有無や程度を確認するには、頭部のCT・MRI検査によって異常が把握できることが必要です。

ところで、CT・MRIでは脳の器質的損傷が把握できない場合に、PET・SPECTなどの検査結果を根拠として脳に器質的損傷が存在すると説明しようとする試みがあります。しかし、現時点では、CT・MRI以外の検査が脳に器質的損傷が存在することの根拠にはならないようです。

 

4交通事故後の早い時期から高次脳機能障害の症状が現れていたこと

交通事故を原因とする高次脳機能障害は、脳に器質的損傷が生じたことで発症します。脳の器質的損傷は、交通事故の被害に遭った時点で生じているのが通常ですから、高次脳機能障害の症状は、入院中、もしくは退院後すぐなど、受傷から間もない時期に現れている必要があります。

逆に、交通事故によって受傷した後、かなりの間があってから高次脳機能障害の症状が現れた場合には、交通事故を原因として高次脳機能障害を発症したと認めてもらうのは難しいでしょう。

高次脳機能障害を後遺障害として認定してもらうためには、交通事故の直後から、被害者の状態を細かくチェックし、被害者に異常が認められれば、その内容を主治医や看護師に伝えることが重要です。このような対応をすれば、主治医に高次脳機能障害の症状に気づいてもらえます。そして、早い段階から、行動の観察や高次脳機能障害の検査を実施してもらうことができます。

Ⅲ.交通事故において「高次脳機能障害」が認められる要件

交通事故において問題となる高次脳機能障害は、基本的に、「頭部外傷によって」脳に器質的な損傷を負った結果、発症したものである必要があります。

では、高次脳機能障害について、後遺障害として認定してもらうには、どんな事情が必要なのか、詳しく説明します。

 

1 交通事故によって頭部に外傷を負ったこと

 交通事故によって頭部に外傷を負った結果、脳に器質的な損傷が生じたといえることが必要です。

 これに対し、頭部に外傷を負っていないのに、交通事故の後に高次脳機能障害を発症したという場合は、交通事故を原因として高次脳機能障害が発症したと認めてもらうのは難しいです。

 

2 事故後に意識障害が生じたこと

 意識障害は、脳の機能に障害が生じたことを示す重要な指標です。脳外傷を原因とする意識障害の程度が重度であるほど、そして、意識障害が続いた時間が長いほど(特に6時間以上継続した場合)、高次脳機能障害が生じる可能性が高く、残存する症状も重篤になるとされています。

 ですから、高次脳機能障害が問題となる事案では、意識障害の程度と継続時間の確認が重要です。これらのデータは、初診病院のカルテの記載内容などに基づいて判断されます。なお、意識障害が軽度だった場合でも、画像によって脳に器質的損傷が生じたことが明らかな場合は、交通事故を原因として高次脳機能障害が発症したと認めてもらえる場合もあります。

 

3 画像(CT・MRI)によって脳の損傷を確認できること

 交通事故を原因として高次脳機能障害を発症したと認定されるためには、脳に器質的損傷が生じている必要があります。そして、脳の器質的損傷の有無や程度を確認するには、頭部のCT・MRI検査によって異常が把握できることが必要です。

 ところで、CT・MRIでは脳の器質的損傷が把握できない場合に、PET・SPECTなどの検査結果を根拠として脳に器質的損傷が存在すると説明しようとする試みがあります。しかし、現時点では、CT・MRI以外の検査が脳に器質的損傷が存在することの根拠にはならないようです。

 

4 交通事故後の早い時期から高次脳機能障害の症状が現れていたこと

 交通事故を原因とする高次脳機能障害は、脳に器質的損傷が生じたことで発症します。脳の器質的損傷は、交通事故の被害に遭った時点で生じているのが通常ですから、高次脳機能障害の症状は、入院中、もしくは退院後すぐなど、受傷から間もない時期に現れている必要があります。

 逆に、交通事故によって受傷した後、かなりの間があってから高次脳機能障害の症状が現れた場合には、交通事故を原因として高次脳機能障害を発症したと認めてもらうのは難しいでしょう。

 高次脳機能障害を後遺障害として認定してもらうためには、交通事故の直後から、被害者の状態を細かくチェックし、被害者に異常が認められれば、その内容を主治医や看護師に伝えることが重要です。このような対応をすれば、主治医に高次脳機能障害の症状に気づいてもらえます。そして、早い段階から、行動の観察や高次脳機能障害の検査を実施してもらうことができます。

 

Ⅳ.高次脳機能障害の認定を受けるための準備

高次脳機能障害は、外見だけでは判断できない障害です。このため、医師が作成する診断書をはじめ、被害者の症状を正確・詳細にまとめた資料を準備することが大切です。

 

1医師の「正確・詳細な」診断書

高次脳機能障害の内容と程度を正確に診断できる医療機関は限られています。ですから、受診する医療機関を選ぶことは重要です。

また、主治医が高次脳機能障害を十分に理解していても、情報が不足していると正しい診断ができません。患者側から正確な情報を多く伝える必要があります。メモや日記を作成して読んでもらうのは効果的です。

また、患者だけで受診せず、ご家族も立ち会うべきです。高次脳機能障害の患者には病識がないことが多いため、患者だけの受診では正確な情報が伝わらないのです。ご家族も診察に同席して、ご家族から見た患者の状態を説明することが重要です。

 

2ご家族による日常生活状況の報告

高次脳機能障害の病態は、外見からは把握しにくいです。また、患者には病識がないことが多いため、自分の異常を正確に把握することも期待できません。

患者の正確・詳細な状態を把握しているのは、日常的に接する時間が長く、実際に日々の対応を行っているご家族です。自賠責保険の手続において、ご家族が作成した「日常生活状況報告」が必要書類とされているのは、ご家族が最も症状を把握しているからです。

さらに「日常生活状況報告」に加えて、より詳細な「説明書」を提出すべき場合もあります。この「説明書」に記載すべき内容は、十分な経験に基づいて判断する必要があります。だいち法律事務所では、この点についてのアドバイスも行っています。

 

3就労:職場の説明書、児童・生徒:担任の説明書

高次脳機能障害の患者であっても、症状が改善すれば、復職したり、復学したりすることがあります。職場復帰していれば「職場の上司・同僚・部下」、復学していれば「教諭・同級生」などと長い時間を過ごすことになります。これらの方は、患者の症状を把握したり、事故の前後の状態を比較することが可能になります。しかも、第三者の証言なので、ご家族が作成した「日常生活状況報告」や「説明書」よりも高い信用性が認められます。

このため、適切な後遺障害の認定を得るためには、これらの関係者の説明書も重要な資料となります。

ところで、第三者に協力してもらうには、高次脳機能障害に対して理解があることが前提となります。理解が不十分なままで説明書の作成を求めても、異常の見落としや評価ポイントのズレがあるからです。このため、協力を求める場合は、医師やご家族から、高次脳機能障害に関する情報を伝え、十分な観察、正しい評価をしてもらうことが重要です。


Ⅳ.高次脳機能障害の認定を受けるための準備

高次脳機能障害は、外見だけでは判断できない障害です。このため、医師が作成する診断書をはじめ、被害者の症状を正確・詳細にまとめた資料を準備することが大切です。

 

1 医師の「正確・詳細な」診断書

 高次脳機能障害の内容と程度を正確に診断できる医療機関は限られています。ですから、受診する医療機関を選ぶことは重要です。

 また、主治医が高次脳機能障害を十分に理解していても、情報が不足していると正しい診断ができません。患者側から正確な情報を多く伝える必要があります。メモや日記を作成して読んでもらうのは効果的です。

 また、患者だけで受診せず、ご家族も立ち会うべきです。高次脳機能障害の患者には病識がないことが多いため、患者だけの受診では正確な情報が伝わらないのです。ご家族も診察に同席して、ご家族から見た患者の状態を説明することが重要です。

 

2 ご家族による日常生活状況の報告

 高次脳機能障害の病態は、外見からは把握しにくいです。また、患者には病識がないことが多いため、自分の異常を正確に把握することも期待できません。

 患者の正確・詳細な状態を把握しているのは、日常的に接する時間が長く、実際に日々の対応を行っているご家族です。自賠責保険の手続において、ご家族が作成した「日常生活状況報告」が必要書類とされているのは、ご家族が最も症状を把握しているからです。

 さらに「日常生活状況報告」に加えて、より詳細な「説明書」を提出すべき場合もあります。この「説明書」に記載すべき内容は、十分な経験に基づいて判断する必要があります。だいち法律事務所では、この点についてのアドバイスも行っています。

 

3 就労:職場の説明書、児童・生徒:担任の説明書

 高次脳機能障害の患者であっても、症状が改善すれば、復職したり、復学したりすることがあります。職場復帰していれば「職場の上司・同僚・部下」、復学していれば「教諭・同級生」などと長い時間を過ごすことになります。これらの方は、患者の症状を把握したり、事故の前後の状態を比較することが可能になります。しかも、第三者の証言なので、ご家族が作成した「日常生活状況報告」や「説明書」よりも高い信用性が認められます。

 このため、適切な後遺障害の認定を得るためには、これらの関係者の説明書も重要な資料となります。

 ところで、第三者に協力してもらうには、高次脳機能障害に対して理解があることが前提となります。理解が不十分なままで説明書の作成を求めても、異常の見落としや評価ポイントのズレがあるからです。このため、協力を求める場合は、医師やご家族から、高次脳機能障害に関する情報を伝え、十分な観察、正しい評価をしてもらうことが重要です。

 

Ⅴ.高次脳機能障害の被害者とその家族が直面する問題

被害者が「脳外傷による高次脳機能障害」を発症した場合、以下に説明する3つの問題に直面することが多いです。

 

1適切な治療と診断が受けられない

高次脳機能障害の患者は、身体の麻痺が残らず、外見的には健常者と変わらないことが多いです。このため、高次脳機能障害についての十分な知識や経験のない医師にかかると、症状を見落とされ、適切な治療と診断を受けられないケースがあります。

高次脳機能障害が社会問題となった昨今でも、高次脳機能障害に対して十分な知識のない医療機関が存在しています。主治医が十分な対応をしてくれないなら、高次脳機能障害を専門的に診療している医療機関への転院も考える必要があります。

 

2症状の程度が適正に評価されにくい

主治医が高次脳機能障害を十分に理解していなければ、診断書にはその症状の深刻さが記載されません。当然、不十分な内容の診断書を提出しても、適正な後遺障害等級は認定されにくく、実際の症状の重篤さに比べ、認定される後遺障害等級は軽くなってしまうでしょう。

認定される後遺障害等級は、被害者が受けとれる賠償金の額に大きく影響します。不当に低い後遺障害等級が認定されてしまうと、被害者とそのご家族は、長い生涯にわたって経済的にも精神的にも苦しみを引きずることになってしまいます。そうした結果を避けるため、だいち法律事務所は、専門医とも連携し、後遺障害が認定される前の段階から、可能な限りの支援をしていきたいと考えています。

 

3介護費が認められにくい

寝たきり状態である「遷延性意識障害」と比較すると、身体を自由に動かせる「高次脳機能障害」の被害者を介護することには、異なる意味で多大な苦労があります。突発的な異常行動や感情の爆発のため、常に様子を気にしながら生活する必要があるのです。

ところが、高次脳機能障害が2級以下に認定された場合、保険会社は、「随時介護で足りる」、つまり、「必要なときにだけ介護すればよい」から、必要な介護費は少ない額でよいと主張するのです(「随時」と「常時」では、介護費の額に大きな差が出ます)。

こうした場合でも、高額な介護費を認定してもらうには、

・事故前後における被害者の変化が大きいこと

・日常生活に生じている支障が多岐にわたっていること

・介護の内容が多様で、頻度も多く、多大な負担であること

などを緻密に立証する必要があります。

また、3級や5級の高次脳機能障害においても、緻密な立証を行うことで介護料を認める裁判例を獲得できます。

このような立証には、多くのノウハウが必要なので、多くの高次脳機能障害の事案を取り扱った経験のある弁護士に依頼することをお勧めします。

Ⅴ.高次脳機能障害の被害者とその家族が直面する問題

被害者が「脳外傷による高次脳機能障害」を発症した場合、以下に説明する3つの問題に直面することが多いです。

 

1 適切な治療と診断が受けられない

 高次脳機能障害の患者は、身体の麻痺が残らず、外見的には健常者と変わらないことが多いです。このため、高次脳機能障害についての十分な知識や経験のない医師にかかると、症状を見落とされ、適切な治療と診断を受けられないケースがあります。

 高次脳機能障害が社会問題となった昨今でも、高次脳機能障害に対して十分な知識のない医療機関が存在しています。主治医が十分な対応をしてくれないなら、高次脳機能障害を専門的に診療している医療機関への転院も考える必要があります。

 

2 症状の程度が適正に評価されにくい

 主治医が高次脳機能障害を十分に理解していなければ、診断書にはその症状の深刻さが記載されません。当然、不十分な内容の診断書を提出しても、適正な後遺障害等級は認定されにくく、実際の症状の重篤さに比べ、認定される後遺障害等級は軽くなってしまうでしょう。

 認定される後遺障害等級は、被害者が受けとれる賠償金の額に大きく影響します。不当に低い後遺障害等級が認定されてしまうと、被害者とそのご家族は、長い生涯にわたって経済的にも精神的にも苦しみを引きずることになってしまいます。そうした結果を避けるため、だいち法律事務所は、専門医とも連携し、後遺障害が認定される前の段階から、可能な限りの支援をしていきたいと考えています。

 

3 介護費が認められにくい

 寝たきり状態である「遷延性意識障害」と比較すると、身体を自由に動かせる「高次脳機能障害」の被害者を介護することには、異なる意味で多大な苦労があります。突発的な異常行動や感情の爆発のため、常に様子を気にしながら生活する必要があるのです。

 ところが、高次脳機能障害が2級以下に認定された場合、保険会社は、「随時介護で足りる」、つまり、「必要なときにだけ介護すればよい」から、必要な介護費は少ない額でよいと主張するのです(「随時」と「常時」では、介護費の額に大きな差が出ます)。

 こうした場合でも、高額な介護費を認定してもらうには、

   ・事故前後における被害者の変化が大きいこと

   ・日常生活に生じている支障が多岐にわたっていること

   ・介護の内容が多様で、頻度も多く、多大な負担であること

などを緻密に立証する必要があります。

 また、3級や5級の高次脳機能障害においても、緻密な立証を行うことで介護料を認める裁判例を獲得できます。

 このような立証には、多くのノウハウが必要なので、多くの高次脳機能障害の事案を取り扱った経験のある弁護士に依頼することをお勧めします。

Ⅵ.まとめ

高次脳機能障害は、被害者にとっては勿論、ご家族や同僚・教諭にとっても、理解や対処が非常に難しい後遺障害です。

適正な後遺障害等級の認定を受け、適正な額の賠償金を受け取るためには、十分な知識と経験が必要です。

だいち法律事務所では、高次脳機能障害の事案について数多くのご依頼をいただいた経験があります。被害者やそのご家族の心情に寄り添い、ご納得いただける解決ができるよう、十分なサポートを提供することをお約束いたします。

Ⅵ.まとめ

高次脳機能障害は、被害者にとっては勿論、ご家族や同僚・教諭にとっても、理解や対処が非常に難しい後遺障害です。

適正な後遺障害等級の認定を受け、適正な額の賠償金を受け取るためには、十分な知識と経験が必要です。

だいち法律事務所では、高次脳機能障害の事案について数多くのご依頼をいただいた経験があります。被害者やそのご家族の心情に寄り添い、ご納得いただける解決ができるよう、十分なサポートを提供することをお約束いたします。

Ⅶ.当事務所の解決例

だいち法律事務所が取り扱った高次脳機能障害案件に関する判例・解決例を紹介します

Ⅶ.高次脳機能障害事案の当事務所の解決例

だいち法律事務所が取り扱った案件に関する判例・解決例を紹介します

【事案の概要】
被害者は、道路脇を歩行中、背後から進行してきた自動車に衝突されました。
この事故によって、被害者は、脳挫傷、外傷性くも膜下出血などの重大な傷害を負いました。そして、高次脳機能障害、四肢の運動失調、膀胱直腸障害などの重篤な後遺障害が残り、常に介護が必要な状態になってしまいました

【後遺障害等級】
この事案では、まず、後遺障害等級の認定結果に問題がありました。
高次脳機能障害、四肢の運動失調、膀胱直腸障害などの重篤な後遺障害が残っていたにもかかわらず、別表第一第2級1号という認定になってしまったのです。
受任後、被害者の状態を詳細に把握した上で、認定結果を検討したところ、被害者の状態が正しく評価されていないと考えました。
そこで、被害者の状態を裏付ける資料を収集した上で、異議申立を行いました。
その結果、別表第一第1級1号の認定を得ることができました。

【裁判の争点】
別表第一第1級1号の認定を得られた後、訴訟を提起しました。
訴訟における争点は、多岐にわたっていましたが、主な争点は、
・将来介護費の額
・自宅改造費の額
・逸失利益における基礎収入の額
でした。

【裁判所の認定】
1将来介護費
高次脳機能障害、四肢の運動失調などの重篤な後遺障害が残ったため、被害者は、日常生活において自分でできることはほぼなくなっており、日常生活のあらゆることに見守り・声かけ・介助が必要な状態になっていました。
配偶者は、就労していたため、全ての介護を担うことは不可能でした。また、近親者だけで全ての介護を担おうとすれば、近親者に過度の負担が集中し、短期間で介護を継続できなくなる危険がありました。
このため、日中は、介護施設に通所したり、訪問介護サービスを利用するなどして、介護の負担を軽減するための介護スケジュールを組んでいました。
現実に、介護サービスを利用し、介護費の負担を続けていたことは、十分な金額の将来介護費を認めてもらうために有利に考慮される事情でした。また、介護サービスを利用するために必要な費用の水準について、将来的に低額化する可能性はなく、むしろ高額化する可能性があることを強調し、少なくとも現状を維持することは確実であると強く主張しました。
この結果、裁判所は、職業介護人の介護費について、月額102万8506円(1日あたり3万3812円)という高額な費用を認定しました。
これ以外にも、近親者の介護費用として、1日3000円を認定しました。
2自宅改造費
被害者は、四肢の運動失調のため、歩行ができなくなっており、車いすで移動していました。
しかし、被害者の自宅は傾斜地にあったため、玄関にたどり着くまでに階段を上がる必要がありました。車いすでは階段を上がることは不可能だったため、ホームエレベーターを設置し、安全に自宅内に入れるように改造する必要がありました。
また、自宅内も、トイレ・風呂・寝室を障害者用の設備に変更したり、被害者が移動する範囲をバリアフリー化する必要がありました。
訴訟では、これらの工事に要した工事代金の賠償を求めました。
加害者(保険会社)は、改造によって近親者も利便性が向上するという利益を受けているから、工事代金の全額の賠償を認めるべきではないと主張して争ってきました。
しかし、改造のプランは、理学療法士、作業療法士、ソーシャルワーカーの助言などに基づいて作成されたものでした。また、障害者の状態に合わせた改造は、健常者にとっては使いにくい点も多いため、利便性が向上したという事実はないことを主張しました。
これらのことを詳しく主張・立証した結果、工事代金の全額(約1000万円)を損害として認めてもらうことができました。
3基礎収入
逸失利益の計算において、定年退職が予定される年齢以降の基礎収入について、いかなる金額を認定するかが争いになりました。
保険会社は、定年退職すれば収入が大幅に減ることが確実であるから、年齢別の平均賃金(約283万円)を基礎収入とすべきと主張しました。
これに対し、被害者側は、被害者の経歴、資格の取得状況、交通事故の数年前に修士の学位を取得していた事実などから、被害者は就労について高い意欲・能力を持ち、定年退職後も十分な収入を得る蓋然性があると主張・立証しました。
この結果、裁判所は、被害者の基礎収入について、女性大卒65歳以上の平均賃金(約541万円)とすべきと認定されました。

【弁護士のコメント】
既に述べたように、この事案では、当初に認定された後遺障害等級に問題がありました。
訴訟において後遺障害等級の変更を認めてもらうことは難しいです。このため、訴訟を提起する前に、できる限りの対応をして、被害者の状態を「適切に評価」した後遺障害等級を認定してもらっておくことが重要です。
この事案でも、被害者の症状を裏付ける資料をできる限り入手した上で、異議申立書において、資料をどの様に評価すべきかを詳しく説明しました。
この結果、被害者の状態を適切に評価した後遺障害等級を認定してもらうことができました。
その後、訴訟を提起し、裁判が始まりました。
裁判では、争点に対して、詳細に主張立証を行いました。それに加えて、裁判の期日には必ず出席して、裁判官の認識を把握したり、議論するように努めました。
解決に至るまでに長い期間がかかりましたが、最終的に、納得のできる解決を得ることができました。
近親者は、介護や仕事で大変な状況にありながらも、資料の収集や状況の説明などで多大な努力を続けていました。この頑張りも、よい解決を得るために重要だったと思います。

【事案の概要】
被害者は、自転車に乗って、路側帯を走行した後、右に進路変更して道路を横断しようとしました。この時、後方から走行してきた車に衝突されました。この衝突によって、被害者は、急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫・脳挫傷などの傷害を負い、四肢麻痺・高次脳機能障害などの後遺障害が残り、常に介護が必要な状態になってしまいました。

【後遺障害等級】
この事案では、被害者が重篤な後遺障害を負ったため、
別表第一第1級1号
と認定されました。
 
【裁判の争点】
本件では、後遺障害等級は争点になりませんでした。
争点となったのは、主に、
・将来介護費の額
・慰謝料の額
・自賠責保険金、保険会社の内払金の充当の順序
・過失割合
でした。
将来介護費・慰謝料の額については、
・ご家族が作成した陳述書
・介護の状況を撮影した写真
・介護に関する文献
を提出し、必要な介護の内容、介護の負担が大きいことについて詳しく主張・立証を行いました。
また、過失割合について、保険会社は、工学鑑定の専門家の意見書を提出し、被害者の過失が70%もあると主張してきましたので、こちらも工学鑑定の専門家に事故状況の検討を依頼し、被害者の過失割が小さいことを主張しました。

【裁判所の認定】
裁判所は、以下のように判断しました。

1将来介護費
近親者の介護費用   日額1万円
職業介護人の介護費用 日額2万円 
2慰謝料
入通院慰謝料   360万円
後遺障害慰謝料 2800万円
合計      3160万円
3充当方法
自賠責保険金、保険会社の内払金は、遅延損害金に先に充当されると判断されました。
4過失割合
被害者の過失割合は30%と判断されました。
なお、被害者の過失によって減額された部分は、訴訟終了後、人身傷害保険を請求し、ほぼ全額を穴埋めができました。
 
【人身傷害保険の請求】
裁判は、判決によって終了しました。
その後、人身傷害保険を請求することによって、過失相殺によって減額された損害額の大部分(約5500万円)を補填してもらうことができました。

【弁護士のコメント】
1将来介護費
高額な将来介護費を認定してもらうためには、裁判所に、介護の内容や大変さを正しく把握してもらうことが重要です。このため、この事案では、以下の工夫をしました。
・近親者に、介護の内容やの大変さを詳細にまとめた陳述書を作成してもらう。
・介護の状況を撮影した写真を提出し、目で見て理解できるようにする。
・医学文献などを用いて、一般的な介護の手順、注意点を明らかにする。
また、近親者の尋問も実施し、直接、裁判所に介護の実態を訴えました。
この様な努力が実った結果、高額な将来介護費を認定してもらうことができたと考えています。
2充当方法
保険会社は、自賠責保険金を含めた全ての既払金について、損害額の元本に先に充当すべきと主張してきました。そして、保険会社が内払を行った経過などを明らかにするため、保険会社の担当者の証人尋問を請求し、実際に尋問を実施しました。
しかし、交渉の段階において、被害者やご家族に対して、遅延損害金について説明されているケースは皆無です。また、被害者や家族が、事故発生時から遅延損害金が発生していること、充当方法によって遅延損害金を請求できるか否かが違ってくることなどを理解しているはずがありません。これらの点を指摘して反論しました。
こちらが詳細な反論を行った結果、保険会社の主張は認められず、自賠責保険金を含めた既払金は、遅延損害金に先に充当されると判断してもらうことができました。
3過失割合
保険会社は、被害者の過失が70%もあると主張してきました。
重篤な後遺障害を残した事案では、過失割合が10%違うだけで、受領できる賠償金が1000万円単位で変わってしまうことがあります。受け取る金額が大きく減ってしまうと、被害者の将来の生活・介護に影響してしまいます。
そのため、弁護士には、事故状況を正確に把握した上で、適確に主張をする力量が求められます。
この事案では、事故現場を見に行って周囲の状況を確認しました。また、刑事記録を入手した上で、工学鑑定の専門家に検討を依頼し、最終的には過失割合に関する意見書を提出しました。また、同種の事故態様に関する裁判例を数多く分析しました。
この様な対応をした結果、裁判所は被害者の過失割合を30%と判断してくれました。 
4まとめ
 裁判を選択すれば、解決までに時間がかかりますし、手間も増えます。
しかし、被害者や家族が、将来にわたって経済的な不安を持たずに生活できるようにするためには、安易に妥協して示談で終わらせず、裁判によって解決を図ることを選択することも必要だと思います。
そして、本件では、しつこいくらいに主張・立証を尽くした結果、十分な成果が得られました。
人身傷害保険によって過失相殺による減額分の殆どが穴埋めできたこともあり、被害者とそのご家族に満足していただける解決が図れました。 

【事案の概要】
被害者は、道路脇を歩行中、背後から進行してきた自動車に衝突されました。
この事故によって、被害者は、脳挫傷、外傷性くも膜下出血などの重大な傷害を負いました。そして、高次脳機能障害、四肢の運動失調、膀胱直腸障害などの重篤な後遺障害が残り、常に介護が必要な状態になってしまいました

【後遺障害等級】
この事案では、まず、後遺障害等級の認定結果に問題がありました。
高次脳機能障害、四肢の運動失調、膀胱直腸障害などの重篤な後遺障害が残っていたにもかかわらず、別表第一第2級1号という認定になってしまったのです。
受任後、被害者の状態を詳細に把握した上で、認定結果を検討したところ、被害者の状態が正しく評価されていないと考えました。
そこで、被害者の状態を裏付ける資料を収集した上で、異議申立を行いました。
その結果、別表第一第1級1号の認定を得ることができました。

【裁判の争点】
別表第一第1級1号の認定を得られた後、訴訟を提起しました。
訴訟における争点は、多岐にわたっていましたが、主な争点は、
  ・ 将来介護費の額
  ・ 自宅改造費の額
  ・ 逸失利益における基礎収入の額
でした。

【裁判所の認定】
1 将来介護費
高次脳機能障害、四肢の運動失調などの重篤な後遺障害が残ったため、被害者は、日常生活において自分でできることはほぼなくなっており、日常生活のあらゆることに見守り・声かけ・介助が必要な状態になっていました。
配偶者は、就労していたため、全ての介護を担うことは不可能でした。また、近親者だけで全ての介護を担おうとすれば、近親者に過度の負担が集中し、短期間で介護を継続できなくなる危険がありました。
このため、日中は、介護施設に通所したり、訪問介護サービスを利用するなどして、介護の負担を軽減するための介護スケジュールを組んでいました。
現実に、介護サービスを利用し、介護費の負担を続けていたことは、十分な金額の将来介護費を認めてもらうために有利に考慮される事情でした。また、介護サービスを利用するために必要な費用の水準について、将来的に低額化する可能性はなく、むしろ高額化する可能性があることを強調し、少なくとも現状を維持することは確実であると強く主張しました。
この結果、裁判所は、職業介護人の介護費について、月額102万8506円(1日あたり3万3812円)という高額な費用を認定しました。
これ以外にも、近親者の介護費用として、1日3000円を認定しました。
2 自宅改造費
被害者は、四肢の運動失調のため、歩行ができなくなっており、車いすで移動していました。
しかし、被害者の自宅は傾斜地にあったため、玄関にたどり着くまでに階段を上がる必要がありました。車いすでは階段を上がることは不可能だったため、ホームエレベーターを設置し、安全に自宅内に入れるように改造する必要がありました。
また、自宅内も、トイレ・風呂・寝室を障害者用の設備に変更したり、被害者が移動する範囲をバリアフリー化する必要がありました。
訴訟では、これらの工事に要した工事代金の賠償を求めました。
加害者(保険会社)は、改造によって近親者も利便性が向上するという利益を受けているから、工事代金の全額の賠償を認めるべきではないと主張して争ってきました。
しかし、改造のプランは、理学療法士、作業療法士、ソーシャルワーカーの助言などに基づいて作成されたものでした。また、障害者の状態に合わせた改造は、健常者にとっては使いにくい点も多いため、利便性が向上したという事実はないことを主張しました。
これらのことを詳しく主張・立証した結果、工事代金の全額(約1000万円)を損害として認めてもらうことができました。
3 基礎収入
逸失利益の計算において、定年退職が予定される年齢以降の基礎収入について、いかなる金額を認定するかが争いになりました。
保険会社は、定年退職すれば収入が大幅に減ることが確実であるから、年齢別の平均賃金(約283万円)を基礎収入とすべきと主張しました。
これに対し、被害者側は、被害者の経歴、資格の取得状況、交通事故の数年前に修士の学位を取得していた事実などから、被害者は就労について高い意欲・能力を持ち、定年退職後も十分な収入を得る蓋然性があると主張・立証しました。
この結果、裁判所は、被害者の基礎収入について、女性大卒65歳以上の平均賃金(約541万円)とすべきと認定されました。

【弁護士のコメント】
既に述べたように、この事案では、当初に認定された後遺障害等級に問題がありました。
訴訟において後遺障害等級の変更を認めてもらうことは難しいです。このため、訴訟を提起する前に、できる限りの対応をして、被害者の状態を「適切に評価」した後遺障害等級を認定してもらっておくことが重要です。
この事案でも、被害者の症状を裏付ける資料をできる限り入手した上で、異議申立書において、資料をどの様に評価すべきかを詳しく説明しました。
この結果、被害者の状態を適切に評価した後遺障害等級を認定してもらうことができました。
その後、訴訟を提起し、裁判が始まりました。
裁判では、争点に対して、詳細に主張立証を行いました。それに加えて、裁判の期日には必ず出席して、裁判官の認識を把握したり、議論するように努めました。
解決に至るまでに長い期間がかかりましたが、最終的に、納得のできる解決を得ることができました。
近親者は、介護や仕事で大変な状況にありながらも、資料の収集や状況の説明などで多大な努力を続けていました。この頑張りも、よい解決を得るために重要だったと思います。

【事案の概要】
被害者は、自転車に乗って、路側帯を走行した後、右に進路変更して道路を横断しようとしました。この時、後方から走行してきた車に衝突されました。この衝突によって、被害者は、急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫・脳挫傷などの傷害を負い、四肢麻痺・高次脳機能障害などの後遺障害が残り、常に介護が必要な状態になってしまいました。

【後遺障害等級】
この事案では、被害者が重篤な後遺障害を負ったため、
   別表第一第1級1号
と認定されました。
 
【裁判の争点】
本件では、後遺障害等級は争点になりませんでした。
争点となったのは、主に、
  将来介護費の額
  慰謝料の額
  自賠責保険金、保険会社の内払金の充当の順序
  過失割合
でした。
将来介護費・慰謝料の額については、
  ご家族が作成した陳述書
  介護の状況を撮影した写真
  介護に関する文献
を提出し、必要な介護の内容、介護の負担が大きいことについて詳しく主張・立証を行いました。
また、過失割合について、保険会社は、工学鑑定の専門家の意見書を提出し、被害者の過失が70%もあると主張してきましたので、こちらも工学鑑定の専門家に事故状況の検討を依頼し、被害者の過失割が小さいことを主張しました。

【裁判所の認定】
裁判所は、以下のように判断しました。

1 将来介護費
   近親者の介護費用    日額1万円
   職業介護人の介護費用  日額2万円 
2 慰謝料
   入通院慰謝料      360万円
   後遺障害慰謝料    2800万円
   合計         3160万円
3 充当方法
自賠責保険金、保険会社の内払金は、遅延損害金に先に充当されると判断されました。
4 過失割合
被害者の過失割合は30%と判断されました。
なお、被害者の過失によって減額された部分は、訴訟終了後、人身傷害保険を請求し、ほぼ全額を穴埋めができました。
 
【人身傷害保険の請求】

裁判は、判決によって終了しました。
その後、人身傷害保険を請求することによって、過失相殺によって減額された損害額の大部分(約5500万円)を補填してもらうことができました。
 
【弁護士のコメント】
 1 将来介護費
高額な将来介護費を認定してもらうためには、裁判所に、介護の内容や大変さを正しく把握してもらうことが重要です。このため、この事案では、以下の工夫をしました。
 ・近親者に、介護の内容やの大変さを詳細にまとめた陳述書を作成してもらう。
 ・介護の状況を撮影した写真を提出し、目で見て理解できるようにする。
 ・医学文献などを用いて、一般的な介護の手順、注意点を明らかにする。
また、近親者の尋問も実施し、直接、裁判所に介護の実態を訴えました。
この様な努力が実った結果、高額な将来介護費を認定してもらうことができたと考えています。
2 充当方法
保険会社は、自賠責保険金を含めた全ての既払金について、損害額の元本に先に充当すべきと主張してきました。そして、保険会社が内払を行った経過などを明らかにするため、保険会社の担当者の証人尋問を請求し、実際に尋問を実施しました。
しかし、交渉の段階において、被害者やご家族に対して、遅延損害金について説明されているケースは皆無です。また、被害者や家族が、事故発生時から遅延損害金が発生していること、充当方法によって遅延損害金を請求できるか否かが違ってくることなどを理解しているはずがありません。これらの点を指摘して反論しました。
こちらが詳細な反論を行った結果、保険会社の主張は認められず、自賠責保険金を含めた既払金は、遅延損害金に先に充当されると判断してもらうことができました。
3 過失割合
保険会社は、被害者の過失が70%もあると主張してきました。
重篤な後遺障害を残した事案では、過失割合が10%違うだけで、受領できる賠償金が1000万円単位で変わってしまうことがあります。受け取る金額が大きく減ってしまうと、被害者の将来の生活・介護に影響してしまいます。
そのため、弁護士には、事故状況を正確に把握した上で、適確に主張をする力量が求められます。
この事案では、事故現場を見に行って周囲の状況を確認しました。また、刑事記録を入手した上で、工学鑑定の専門家に検討を依頼し、最終的には過失割合に関する意見書を提出しました。また、同種の事故態様に関する裁判例を数多く分析しました。
この様な対応をした結果、裁判所は被害者の過失割合を30%と判断してくれました。 
4 まとめ
 裁判を選択すれば、解決までに時間がかかりますし、手間も増えます。
しかし、被害者や家族が、将来にわたって経済的な不安を持たずに生活できるようにするためには、安易に妥協して示談で終わらせず、裁判によって解決を図ることを選択することも必要だと思います。
そして、本件では、しつこいくらいに主張・立証を尽くした結果、十分な成果が得られました。
人身傷害保険によって過失相殺による減額分の殆どが穴埋めできたこともあり、被害者とそのご家族に満足していただける解決が図れました。
 

Ⅷ.コラム

高次脳機能障害に関するコラムを紹介します

Ⅷ.コラム

高次脳機能障害に関するコラムを紹介します

高次脳機能障害Ⅰ
【症状】 
高次脳機能障害Ⅰ症状
 
 
 
 
高次脳機能障害Ⅱ
【認定の基準】
高次脳機能障害Ⅱ認定の基準
 
 
 
 
  高次脳機能障害Ⅲ
【症状の把握】
高次脳機能障害Ⅲ症状の把握
 
 
 
 
  高次脳機能障害Ⅳ
【等級の基準:自賠責保険】
高次脳機能障害Ⅳ等級基準:自賠責保険
 
 
 
 
  高次脳機能障害Ⅴ
【等級の基準:労災保険】
高次脳機能障害Ⅳ等級基準:自賠責保険
 
 
 
 
  高次脳機能障害Ⅵ
【軽度外傷性脳損傷《MTBI》】
高次脳機能障害Ⅳ等級基準:自賠責保険
 
 
 
 
 高次脳機能障害Ⅶ
【損害項目】
高次脳機能障害Ⅳ等級基準:自賠責保険
 
 
高次脳機能障害Ⅰ症状

高次脳機能障害Ⅰ
[症状] 

 

高次脳機能障害Ⅱ認定の基準

高次脳機能障害Ⅱ
[認定の基準] 

 

高次脳機能障害Ⅲ症状の把握

高次脳機能障害Ⅲ
[症状の把握] 

 

 
高次脳機能障害Ⅰ症状

高次脳機能障害Ⅳ
[等級の基準:自賠責保険] 

 

高次脳機能障害Ⅱ認定の基準

高次脳機能障害Ⅴ
[等級の基準:労災保険] 

 

高次脳機能障害Ⅱ認定の基準

高次脳機能障害Ⅵ
[軽度外傷性脳損傷《MTBI》] 

 

 
高次脳機能障害Ⅰ症状

高次脳機能障害Ⅶ
[損害項目] 

 

Ⅸ.交通医療研究会レジュメ

交通医療研究会で取り上げたテーマの中で、高次脳機能障害に関連するレジュメを掲載しておきます。ご参考になれば幸いです。

Ⅸ.交通医療研究会レジュメ

交通医療研究会で取り上げたテーマの中で、高次脳機能障害に関連するレジュメを掲載しておきます。ご参考になれば幸いです。